エリックは地下室からスクリブ街への出入り口の鍵をクリスティーヌに渡していました。
この出入り口というのはp267のラウルの言葉から察するに
「鉄格子のはまった入り口」らしいのです。
現地に行って探したのですが、現地はスクリブ街だけでなくオペラ座の正面以外は鉄柵で囲まれていて、その外から眺められるだけだったのでよく分かりませんでした。
ま、フィクションだし・・・とあまり気にしてなかったのですが・・・。
「年取った裏方は昨日のように覚えている。
パリ・オペラ座のスクリーブ通りに面した地下室、天井の壁には鉄柵が埋められているこの場所で記憶は鮮やかに甦る。
この部屋からは皇帝の宮殿の中にあった警察の独房が望めたのだ。
アルジェリア戦争の間には、この牢獄が一杯になる事が多かった。
パリ国立歌劇場の老人達は、宮殿の石壁に囲まれた夜の静寂を裂いて、悲鳴が聞こえたのを忘れてはいない。」
ミシェル・サラザン 「パリ・オペラ座」 音楽の友社 p291
解り難いですね。
この部屋からは皇帝の宮殿の中にあった警察の独房が望めたのだ。
が特に。
オペラ座の近くに「皇帝の宮殿」なんてあったんだぁ、と感心。・・・でも、地下から見える宮殿なんて?
ナポレオン三世の時代に国家の顔として建てられた事を考えて「皇帝の宮殿」とは「オペラ・ガルニエ」の事だと勝手に推察。スクリブ側に「皇帝のロトンド」もありますし・・・。その建物内に警察の独房が置かれていたというふうに解釈してみました。
この文章の続きを読むと学生運動で掴まった者の尋問、パリ・コミューン時に監獄代わりに使われた例を挙げているのでやっぱりオペラ座地下の描写なのだと思います。
エリックの時代とこの本が書かれた頃では時間が隔たりすぎなのですが、似たような構造物が存在したんだ。と言う・・・ただそれだけです。