The Phantom of the Opera / Gaston Leroux

ガストン・ルルー原作「オペラ座の怪人」

手持ち無沙汰の絞首刑執行人

2007年03月07日 | ルルー原作「オペラ座の怪人」
さてさて何故この演目が「手持ち無沙汰の絞首刑執行人」などと呼ばれるのでしょう?

囚人は灼熱の責め苦に、鏡の生み出す悪夢のような密林を出口を求めてさ迷いついに正気を失い、ありえないはずのライオンの咆哮、死臭に群がるツェツェ蝿の羽音を聞きます。

拷問部屋の囚人からは決して見えない小窓からは、この世で最も愛らしい顔立ちの姫君と恐ろしい死神がその様子を涼し気な様子で眺めています。
彼等は優雅に絹張りの椅子に腰掛け何もしません。

なぜなら囚人は操り人形のように奇術師の脚本通り、その地獄の業火のような暑さ、頭を犯す幻想の数々がやがてその灼熱の森の木にぶる下がった絞首刑の縄を苦悩から開放する救いだと思うに至るのです!

そう・・・この演目は術者は何もせず囚人自らその縄を乞い求め、「自ら死刑を執行する」恐ろしい感覚を操る悪魔・・・エリックの演目なのでございます。




原作から発想を得た創作です。