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- 無用の用 -

59『99%の誘拐』岡嶋二人

2008-11-03 12:58:44 | 本 2008
岡嶋二人『99%の誘拐』


【内容情報】
末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして十二年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第十回吉川英治文学新人賞受賞作。



ここのところ事件ものばかり読んでいるような気がし、そろそろお腹がいっぱいな感があったので、もう少し毛色の違うものを読もうと思っていたのだが、「吉川英治文学新人賞受賞作」という一言に引き寄せられた。
やはり吉川英治文学受賞作は面白い。吉川英治文学賞と山本周五郎賞のものは私の好みのものが多い。
これもとても面白かった。


この手の、犯人がわかっていながら進んでいく事件ものというのはとてもスリリングだ。
事件を追う側と追われる側の両方の心の動きなどが楽しめる。
とてもよく出来た作品だと思った。

あえて詳しく説明していない部分を残すところなど尚良い。


解説の部分に、“「実行可能か否か」などというつまらぬ観点から評していては、本作の真価を味わいそこねてしまう”と書かれていたが、本当にそうだと思う。
よくよく考えてみると、本当にこんなん出来るんか?と思うのだけど、それをも超えた何かがある。


この作品が出されたのは1988年なのだけど、この当時によくここまで出来たなあ、と思う。
パソコンのことをちゃんと「パーソナル・コンピュータ」と書いているところとか、ネットに接続することの説明が書かれていたり、「モデムという名の魔法の箱」という表現がされていたのが、時代を表していてちょっとおかしかった。



岡嶋二人はもう解散してしまったみたいだけど、他の作品や、現在は一人で執筆しているという井上夢人の作品も読んでみたい。
余談だけど、この岡嶋二人の一人 徳山諄一って、テレビ番組「マジカル頭脳パワー!!」の推理ドラマのトリックメーカーとして参加していたらしい。あれ結構面白かったの覚えているなあ。詳しい内容は全く覚えてないけど。懐かしい。

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