村上春樹『スプートニクの恋人』
【内容情報】
22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。―そんなとても奇妙な、この世のものとは思えないラブ・ストーリー。
あらすじを読んで、なんだラブ・ストーリーか、と思いながら読み始めたら7行目で裏切られたようなショックを受けた。
読み終わった最初の感想は、ふ~ん、と言った感じだろうか。
ああでもやっぱり好きだなあ村上春樹、と思った。
こういう気分のときにすごく読みたくなるのだけど、今回はたった1冊でしかもそんなに分厚いわけじゃないのに時間がかかってしまった。
心に残ったとこ。
どうしてみんなこれほどまでに孤独にならなくてはならないのだろう(略)これだけ多くの人々がこの世界に生きて、それぞれに他者の中になにかを求めあっていて、なのになぜ我々はここまで孤絶しなくてはならないのだ。何のために? この惑星は人々の寂寥を滋養として回転をつづけているのか。
ぼくらはこのように黙々と生を送っていくことができるのだ。手をのばして定められた量の時間をたぐり寄せ、そのままうしろに送っていくことができる。