This is me.

- 無用の用 -

65『私という運命について』白石一文

2008-12-25 22:28:54 | 本 2008
白石一文『私という運命について』


【内容情報】
大手メーカーの営業部に総合職として勤務する冬木亜紀は、元恋人・佐藤康の結婚式の招待状に出欠の返事を出しかねていた。康との別離後、彼の母親から手紙をもらったことを思い出した亜紀は、2年の年月を経て、その手紙を読むことになり…。―女性にとって、恋愛、結婚、出産、家族、そして死とは?一人の女性の29歳から40歳までの“揺れる10年”を描き、運命の不可思議を鮮やかに映し出す、感動と圧巻の大傑作長編小説。



なかなか時間が取れずに読み終わるまでに二十日もかかってしまった。


「人は自らの意志で 自分の人生を選び取ることが できるのだろうか?」
というオビが付いている。

とても興味深い作品だった。

女性の29歳~40歳までを書いたもの。ここって女性にとってすごく重要な部分だと思う。
私はまだこのスタートの29歳にもなっていないが、共感出来る部分がたくさんあった。

さらりと読み終わってしまえるけど、考えればすごく重い作品。


作者は、読了感を良くしようと考えて作ったものらしいが、見事に、とても素晴らしい読了感を与えてくれた。


この作者は男性なのだけど、女性の感じる部分を上手く表現していると思う。
最初、読み始めてしばらくは作者は女性だと思い込んでいたほどだ。
女性の私ですら、改めて感じさせられたことが多々あった。
しかし、ただ一つの部分だけ違和感があった。そこで「あれ?」と思い、調べたら男性ということが分かり、ああやっぱり男が書いたものだな、と思った。同じ女性でも、もしかしたらさらりと流してしまう部分かもしれないが。


やはり男女とも共通する「死」については深いものがあった。
小学校の頃からかな、学生にかけて、時々考えていた「死」。
この病気になる前は死ぬことがすごく怖かった。
死んだらどこへ行くのか?私は一体どうなってしまうのか?それを考えたら眠れないほどだった。
答えが分からない。いくらテレビに出ている人が何を言ったところで、実際に体験してみないとわからない。謎の部分。
病気になってから考える「死」ではなくて、小さいころに考えていた「死」について思い出した。
生まれてきたからにはいつか必ず死ぬ。絶対だ。不死はあり得ない。それは避け様のない事だ。


不思議だよね。人間って。

64『黒と茶の幻想(上・下)』恩田陸

2008-12-05 17:44:03 | 本 2008
恩田陸『黒と茶の幻想(上・下)』
 

【内容情報】
太古の森をいだく島へ―学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。過去を取り戻す旅は、ある夜を境に消息を絶った共通の知人、梶原憂理を浮かび上がらせる。あまりにも美しかった女の影は、十数年を経た今でも各人の胸に深く刻み込まれていた。「美しい謎」に満ちた切ない物語。



この本も、最近読んでいる恩田陸の理瀬シリーズの一つ『麦の海に沈む果実』の続編のようなものである。が、しかし、これだけ読んでもいい作品だと思う。内容は一切学園ものでもないし、ただ一人「梶原憂理」という登場人物が理瀬シリーズと一致しているだけだ。


退屈した作品だったが、とても素晴らしい作品だった。
すごく矛盾していると思うが、これが私の感じたものと一番しっくりくる表現だ。


内容は至って簡単だ。解説の川端裕人の言葉を借りれば『大学の同窓生である三十代後半の男女四人が、Y島の森を、数日にわたっておしゃべりしながらハイキングする―ただ、それだけの物語』だ。特に事件が起こるわけでもない。四人が延々と会話をし、回想し、内省し続ける「普通の話」なのである。しかし、解説にも書かれているが『もっとも、これだけ「何も起こらない」のは、エンタテインメントとしては普通じゃないのかもしれない』と思う。

その四人が章ごとに入れ替わり主人公になり、話が展開されていく。これは恩田陸の得意技のように感じる。男にでも女にでもなれる。そんな人のような気がする。
しかし、私は女であるが故にそう思うのであって、実際の男性が読んだら、いやそれは違う、という部分があるのかもしれない。男性に読んだ感想を聞いてみたい気もするが、これは独特な雰囲気がある作品なので、人に薦めにくいなぁ、と思う。


本当に単純な話なのだけど、数ページ毎に人間をじっくり観察したようなことが書かれているのがとても興味深い。

上巻を読み終えた時点でも、これがどんな終わり方をするのか皆目検討がつかなかった。それに、本当にこの本は面白いのか?と何度も思った。しかし、やはり面白かった。
上巻を読むのに5日ほどかかったが、下巻は2日で読んだ。そこにやはりのめり込み度みたいなものが現れていると思う。


いやあ、しかし、あれだなあ。深いなあ。もっと年を取って、私も登場人物たちと同じ三十代後半になって、この本を読んだらまた違う想いに駆られるのかもしれない。

63『アイソパラメトリック』森博嗣

2008-11-28 13:14:38 | 本 2008
森博嗣『アイソパラメトリック』


【内容情報】
森博嗣の撮る写真は、無機的で静謐で孤独だ。しかし、寂しさはない。それらの写真は、撮影した視点、人間の存在を語っている。森博嗣の目で世界を見ることができる。その特異な視点からのインスピレーションで綴られた25の超短編からなる異色の作品集。二〇〇一年に限定版で出版された幻の一冊、待望の文庫化。

【目次】
ブルーファイブ&レッドサイレンス/グリーンファイブ&ブラックビーチ/バイオレットファイブ&ゴールドセンチメント/ピンクファイブ&ブラウンアパラタス/エアスケッチコンストラクションセット



この本は秀逸。
森さんの出している本の中でも5本の指には入るかも。改めて作者にハマった感じ。
読み終えて、なんでもっと早く読まなかったのだろうと思った。
基本、シリーズものばかり追いかけていたからなあ。それに、ピンズ付きのものが欲しいと前々から思っていたからオークションか何かで買おうと思っていたけれど、結構値段がするから手を出していなかったりで今になった。実際に機会をもらわなければ読むのはもっともっと先延ばしになっていたと思う。


ああ、それにしても素敵。

この本ってすごく薄くて100ページもなく、しかも超短編だったので(1ページあるかないか)、これはどちらかというとわざと遅く読んだ。
この本を読み終えるのが惜しいというか、そんな感じ。


この作品を、面白い、と感じることが出来る人とは、たとえ相手がどこの星の人でも仲良くなれる気がする。

62『麦の海に沈む果実』恩田陸

2008-11-20 16:52:31 | 本 2008
恩田陸『麦の海に沈む果実』


【内容情報】
三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。二月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生徒たち。生徒を集め交霊会を開く校長。図書館から消えたいわくつきの本。理瀬が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?この世の「不思議」でいっぱいの物語。



ようやく『麦の海に沈む果実』を読み終えた。なかなか進まなかった。

私は今までこの本を読むために2冊の本を読んできたが、それらの本を読まなかった方が楽しめたかもしれない、と読み終えてちょっと思った。
特に『三月は深き紅の淵を』の第四章でこの話の伏線のようなものが書かれているのだが、それらは書きすぎだと思った。
それに『図書室の海』の話も知らないほうが良かった。あれを読んでいない方がもっと素直に楽しめたと思う。
こちらを読んでから、あの短編集を読むほうが私は面白い気がする。
この長編を味わってから、短編集の伏線のようなものを読む。長編で刻み込まれた内容を短篇で復習?しながら読む、そんな感じで読むのが一番いいと私は思う。


だけど、恩田陸はやっぱいいな。
以前どこかで、恩田陸の学園ものはいい、というようなことを書いているのを読んだ。それを読んだ私は「学園もの?」と首をかしげたが、確かに恩田陸の書くものには学園ものが多い感じがする。『夜のピクニック』だってそうだし、この理瀬シリーズだってそうだ。確かデビュー作『六番目の小夜子』も学園ものだったと記憶している。


うーん、下調べをし過ぎたかな。本当ならばもっと楽しめたような気がする。ちょっと残念だったけど、なかなか面白かったと思う。

61『三月は深き紅の淵を』恩田陸

2008-11-13 00:46:29 | 本 2008
恩田陸『三月は深き紅の淵を』


【内容情報】
鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に二泊三日の招待を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、十年以上探しても見つからない稀覯本『三月は深き紅の淵を』の話。たった一人にたった一晩だけ貸すことが許された本をめぐる珠玉のミステリー。



100ページほどの4つのお話からなるから中篇集、とでも言うのかな。
どうも短篇や中篇となるとスピードが落ちる傾向にある。
一つ読んで、ああ終わった、と思ってってなって時間がかかるのかもしれない。


あー久しぶりに作者に戦慄を覚える作品だった。
めちゃくちゃ好きだ。こういうの。
あらすじを読み返してみて、あれ?これだけ?って思う。もっと他に書くことあるだろうと。しかし、これ以上書くとネタバレになるし、あらすじを読んだだけで、もう読んでしまった感が出てしまうのかもしれないな。このくらいがちょうどいいのかもしれない。


解説で皆川さんが
「《三月は深き紅の淵を》
 なんという魅力のあるタイトルだろう。(中略)
 私も読みたい。でも、その願いは叶えられない。
 存在をほのめかされながら、
 決して読むことのできない幻の本《三月は深き紅の淵を》について書かれたのが、
 本作『三月は深き紅の淵を』である。」
と書かれているが、まさしくそうだ。


4つのお話から構成されている本なのだけど、それぞれの話の雰囲気が全然違う。いや、全然違うように見せかけて、どこか繋がっているような。
そして、一見すると全然違うのにも関わらず『三月は深き紅の淵を』という本を軸に話が展開していく。
中編集のようなのだけど、よくよく目次を見てみると、
第一章~
第二章~
となっている。なかなかよく考えられていると思う。


外側と内側に話が展開していく。
なんだろう、この世界。不思議だ。
穏やかなようだけど、どこか薄ら寒いような後読感がある。
ああ、不思議だ。


これの続きとも言えるのが『麦の海に沈む果実』であるらしい。
これを読むために、本作品と『図書室の海』を読んできたのだ。
ああ、楽しみ。

60『図書室の海 』恩田陸

2008-11-08 00:42:53 | 本 2008
恩田陸『図書室の海 』


【内容情報】
あたしは主人公にはなれない―。関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式、夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。高校で代々語り継がれる“サヨコ”伝説に関わる使命を…。少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外篇(表題作)、『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。恩田ワールドの魅力を凝縮したあまりにも贅沢な短篇玉手箱。

【目次】
春よ、こい/茶色の小壜/イサオ・オサリヴァンを捜して/睡蓮/ある映画の記憶/ピクニックの準備/国境の南/オデュッセイア/図書室の海/ノスタルジア



久しぶりの短編集。
薄い本なのだけど、短編集ということもあり、のめりこみ感が若干少なかったように思う。意外と読み終えるのに時間がかかった。


どれもとても面白い作品だった。
なかなか読み応えのある一冊だと思う。

解説で山形浩生氏が「本書は、恩田陸の予告編コレクションのような性格を持った本ではある。」と書いているが本当にそれらしい。
あとがきで恩田陸がそれぞれの作品について解説しているのだけど、ほとんどの作品がどれかの番外編や予告編の性質を持っている。

特に面白かったと思ったのが、「イサオ・オサリヴァンを捜して」と「オデュッセイア」。
この「イサオ・オサリヴァンを捜して」は『グリーンスリーブス』という長編小説の予告編であるらしいが、探してみたのだけど、まだ小説としては出ていないみたいだ。
そして、「オデュッセイア」も広げようと思えば、広げられそうな予感を含んでいる。


恩田陸ってほんとすごい作家だなあ、と改めて思った。
背筋が寒くなるようなものから、暖かい風がふんわり入ってくるように感じられる、そんな色々な作品がある。しかし、それなのに、どこか統一感のあるような感じがするのだけど、それでいてどれも違って雰囲気を持っているという矛盾のようなものを感じる。

たまには短編集で少しずつ美味しいものを、というのもいいな。

59『99%の誘拐』岡嶋二人

2008-11-03 12:58:44 | 本 2008
岡嶋二人『99%の誘拐』


【内容情報】
末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして十二年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第十回吉川英治文学新人賞受賞作。



ここのところ事件ものばかり読んでいるような気がし、そろそろお腹がいっぱいな感があったので、もう少し毛色の違うものを読もうと思っていたのだが、「吉川英治文学新人賞受賞作」という一言に引き寄せられた。
やはり吉川英治文学受賞作は面白い。吉川英治文学賞と山本周五郎賞のものは私の好みのものが多い。
これもとても面白かった。


この手の、犯人がわかっていながら進んでいく事件ものというのはとてもスリリングだ。
事件を追う側と追われる側の両方の心の動きなどが楽しめる。
とてもよく出来た作品だと思った。

あえて詳しく説明していない部分を残すところなど尚良い。


解説の部分に、“「実行可能か否か」などというつまらぬ観点から評していては、本作の真価を味わいそこねてしまう”と書かれていたが、本当にそうだと思う。
よくよく考えてみると、本当にこんなん出来るんか?と思うのだけど、それをも超えた何かがある。


この作品が出されたのは1988年なのだけど、この当時によくここまで出来たなあ、と思う。
パソコンのことをちゃんと「パーソナル・コンピュータ」と書いているところとか、ネットに接続することの説明が書かれていたり、「モデムという名の魔法の箱」という表現がされていたのが、時代を表していてちょっとおかしかった。



岡嶋二人はもう解散してしまったみたいだけど、他の作品や、現在は一人で執筆しているという井上夢人の作品も読んでみたい。
余談だけど、この岡嶋二人の一人 徳山諄一って、テレビ番組「マジカル頭脳パワー!!」の推理ドラマのトリックメーカーとして参加していたらしい。あれ結構面白かったの覚えているなあ。詳しい内容は全く覚えてないけど。懐かしい。

58『慟哭』貫井徳郎

2008-10-29 12:07:52 | 本 2008
貫井徳郎『慟哭』


【内容情報】
連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。こうした緊張下で事態は新しい方向へ!幼女殺人や怪しげな宗教の生態、現代の家族を題材に、人間の内奥の痛切な叫びを、鮮やかな構成と筆力で描破した本格長編。



貫井徳郎のデビュー作。

二つの物語が平行して進んでいく。とてもテンポが良く、すらすらと読めた。
これも先が気になり、どんどん読み進めていき、あっという間に読み終えた。

なかなか興味深い内容だった。
警察の内部の話とか宗教の話とか。
個人的に興味深かったのが、作品中に出てくる「S学会」「S新聞」という言葉。
私の家はもう学会には入っていないが、新聞だけは今も取っている。
昔学会に入っていて(どういう経緯で入ったのかは知らない)それの名残のような感じ。というか、ただたんにテレビ欄が見慣れてみやすいからとっているらしいけど。


信じるという行為(という表現はおかしいかもしれないが)は、とても怖いものだと思った。人は一旦信じてしまうとそれにどんどんのめりこんでいく。一歩引いてみれば明らかなのに、最初は信じられるかもしれないという疑いも含めた気持ちを持ちつつ、しかし藁にもすがる思いからだんだんと信じ込んでゆく。そして、次第には自分が信じたいという思いから、信じることをやめられなくなっていく。


たまたま古本屋で100円で購入できたのだけど、これはいい買い物だったと思う。
もう一度読み返してみてもまた違う視点から観ることが出来そうな、面白い作品だと思う。


ここから少しネタバレ?(誰が犯人とか人物名とか具体的なことは何も書いてはいない)















途中で犯人がわかってしまったのは、ちょっとあれだったなあ。
色々読んでいる所為なのか、特に犯人を考えながら読んでいたわけじゃないけれど、途中でアッと気づいてしまった。
最後はどういうふうに締めくくられるのか、それが気になって、一気に読んだという感じ。
でも、半分過ぎぐらいまでは何がどうなるのか全くわからずにドキドキした。

57『ゼロ時間へ』アガサ・クリスティー

2008-10-26 23:57:41 | 本 2008
アガサ・クリスティー『ゼロ時間へ』


【内容情報】
残忍な殺人は平穏な海辺の館で起こった。殺されたのは金持ちの老婦人。金目的の犯行かと思われたが、それは恐るべき殺人計画の序章にすぎなかった―人の命を奪う魔の瞬間“ゼロ時間”に向けて、着々と進められてゆく綿密で用意周到な計画とは?ミステリの常識を覆したと評価の高い画期的な野心作を新訳で贈る。



以前からアガサ・クリスティーの作品を読んでみたいと思っていたのだが、なかなかタイミングがなかった。
本当は『そして誰もいなくなった』を読みたいと思っていたのだが、いつの間にか自分のチェックリストに入っていた(チェックしていたのだからそれなりの理由があるだろうと思い)これを読むことにした。


感想は、うーん・・・正直期待しすぎたのかもしれなかった。面白かったのは面白かったのだけど、読み終わって「面白かった!」と言える感じがなかった。
私は犯人を考えながら読むのだけど、なんとなく途中でわかってしまったところもいただけなかったかもしれない。
でも、すごくよく出来ている作品だと思った。伏線の張り方などが上手い。ああ、なるほど・・・!と思わされる部分もあった。
この「ゼロ時間」という言葉がいい。


内容とは関係ないが、私が読んだのは田村隆一訳のものなのだけど、訳の仕方がちょっといまいちな感じがした。言い回しが古いというか、日本語的にちょっとおかしいと感じる部分があったので、もし、これから読もうと思う方がいらっしゃったら、現在新訳で出ているらしいので、そちらをおすすめしたい。

56『償い』矢口敦子

2008-10-23 17:49:27 | 本 2008
矢口敦子『償い』


【内容情報】
36歳の医師・日高は子供の病死と妻の自殺で絶望し、ホームレスになった。流れ着いた郊外の街で、社会的弱者を狙った連続殺人事件が起き、日高はある刑事の依頼で「探偵」となる。やがて彼は、かつて自分が命を救った15歳の少年が犯人ではないかと疑い始めるが…。絶望を抱えて生きる二人の魂が救われることはあるのか?感動の長篇ミステリ。



ストーリーの展開が良く、次から次へと色んなことが起こる。先へ先へ急ぐうちにあっという間に読めた。


本を読む前に、初めて読む人の作品なのでどんな人かと思い、表紙をめくったところを読んで驚いた。
「1953年北海道生まれ。病気のため、小学校五年で通学をやめ、通信教育で大学を卒業する。」
すごい、と思った。なんの病気かもどこでどうなったのかも検索しても詳しく書かれていないが、小学校で通学をやめて通信教育で大学まで卒業出来るのか、と。
一体どのような人生を歩んできたのだろう。一体どのような人なのだろう。とてもひかれるものがある。
1953年生まれなら、現在は55歳だろうか。その年代の人でしかも女性で、そんなことが可能なのか。不可能ではないと思う。しかし・・・。


作品はとてもよかった。
あらすじを読んだだけだと、薄っすらとしたものしか伺えない。
読み進めていっても、最初の方はちょっと中を踏み込んだ程度なのだけど、それがページを進めるごとに変わっていく。
一言で表すと「とても深い話」だった。
深く、重い。

事件が起こることも重要なのだが、それに絡み付いてくる心情というのか、それがすごく深く、重いのだ。重いというか厚いというか。


「人の肉体を殺したら罰せられるけれども、人の心を殺しても罰せられないんだとしたら、あまりに不公平です」
「他者の心を傷つけた者は、どうやって裁かれるべきなのだろう。」

色々なことを考えさせられた。

不思議な世界感のある作品だった。

55『ブルー・ハネムーン』篠田節子

2008-10-21 10:59:08 | 本 2008
篠田節子『ブルー・ハネムーン』

【内容情報】
姉小路久美子の職業は結婚詐欺師。美貌と抜群のプロポーションに目がくらんだカモから合法的に金を巻き上げていく。やり手の証券マンを手玉に取り、次のターゲットをシステムエンジニアに。そこで出会った美青年・関畑が資産家の御曹司だと知ると、古屋敷を借りて大がかりな罠を仕掛け、今度も大成功、のはずだったが…。ノリにノっている著者の異色作。



久しぶりの篠田節子の本。
『女たちのジハード』がとても面白く、それから篠田さんの本は時々読んでいる。

これも面白かった。
この人の書くものは内容が多彩で、すごく凝っているなあ、といつも思う。
今まで何冊か読んだが、すべて内容がバラバラ。よくこうも色々なものが書けるものだと思う。たぶん、その都度あちこちに足を運んだりして、勉強したりしているのだろうな、というのが伺える。

今回の『ブルー・ハネムーン』は、ちょっと一風変わったサスペンス・ミステリー。
深く感動するとかそういうのではないが、爽快な映画を観た後のような余韻が残っている。

54『ユージニア』恩田陸

2008-10-18 23:07:23 | 本 2008
恩田陸『ユージニア』


【内容情報】
「ねえ、あなたも最初に会った時に、犯人って分かるの?」こんな体験は初めてだが、俺は分かった。犯人はいま、俺の目の前にいる、この人物だ―。かつて街を悪夢で覆った、名家の大量毒殺事件。数十年を経て解き明かされてゆく、遺された者たちの思い。いったい誰がなぜ、無差別殺人を?見落とされた「真実」を証言する関係者たちは、果たして真実を語っているのか?日本推理作家協会賞受賞の傑作ミステリー。



久しぶりにハマりこんだ。
恐るべし恩田陸。

約400ページほどある本を今までにない速さで読んだ。ホント久しぶりだなあ、こんなスピードで本を読んだのは。いつぶりだろう。だいたいダラダラ読んで、これぐらいの厚さだと1週間はかかるのに、ほぼ3日ぐらいで読んだだろうか。
最後の方なんて気になって気になって仕方なかった。
電車の中で読んでいて、あまりにもキリが悪いし気になるしでホームを歩きながら読んで(どっかの銅像か)、階段に差し掛かって危ないからその手前で立ち止まって読んだ。


書き方が上手い。引き込まれる。
ほとんどの章は一人の話によって構成されていている。一人の人間がずっと喋っているのだ。章毎に人物が代わって話す。
そのなんて言うのか、伏線というのか、そういうのがすごい。

でも、読み終わった感じとして、実はあまり良くない・・・・・・。
犯人が誰かわからない。
犯人というのか、真相というのか。
ネットで色々見てみたのだけど、疑問はたくさん挙げられているのだが、肝心のところがわからない。
やはり自分で謎を解くしかないのか。
私に出来るだろうか。

これは繰り返し読んでも楽しめる本だと、読みながら感じた。
あまりミステリーでこういったことを考えることはないのだけど、これは一種違う種類のミステリーだと思う。いや、これはミステリーなのか?と考えてみたが、やはりミステリー以外の何物でもない。
最後まで読んで、改めて思った。
もう一度読んでみたい、読まないと、と。


印象に残ったところ。
 事実というのはある方向から見た主観に過ぎないということ

53『うたかた/サンクチュアリ』吉本ばなな

2008-10-14 17:59:49 | 本 2008
吉本ばなな『うたかた/サンクチュアリ』


【内容情報】
複雑な家庭環境の中、これまで会わずに育った「兄妹」が出会った瞬間から恋を育む―。互いに愛する人を失った男女が出会い、やがて何かに導かれるようにして寄り添ってゆく―。運命的な出会いと恋、そこから生まれる希望や光を、瑞々しく、静謐に描き、せつなさとかなしい甘さが心をうつ珠玉の中編二作品。明るさのさしこむ未来を祈る物語。定本決定版。

* * * * *

人を好きになることは本当にかなしい。
であったときからずっと、二人はいつでも二人きりで満点の星空の下にいるような気がした。暗く光るオーロラに照らされて、遠い氷河を見つめているようだった――。
透明な空間の中に、運命的な恋の瞬間と海の底のように静謐な愛の風景を描きだす「うたかた」、喪失の痛みを抱く二人の奇跡にも似た出会い「サンクチュアリ」の二中篇を収録。芸術選奨新人賞受賞。

* * * * *



あとがきに、「何回読んでみても、とても自分が考えた話とは思えず、首をかしげる私です。二度とは書けません」と書かれてあった。
そうかな?と思った。どの辺がそう思うのか聞いてみたい。


印象に残った言葉
 だいたい人に話そうなんていう気は、希望のあるうちにしか起こらないものだ。


恋をするって、楽しくって、哀しくって。
でも、とってもきれい。

52『国境の南、太陽の西』村上春樹

2008-10-12 15:29:53 | 本 2008
村上春樹『国境の南、太陽の西』


【内容情報】
今の僕という存在に何らかの意味を見いだそうとするなら、僕は力の及ぶかぎりその作業を続けていかなくてはならないだろう―たぶん。「ジャズを流す上品なバー」を経営する、絵に描いたように幸せな僕の前にかつて好きだった女性が現われて―。日常に潜む不安をみずみずしく描く話題作。



『ねじまき鳥クロニクル』以来の村上作品。
相も変わらずの文章。文体。何度も読み返したくなる表現方法。村上作品はやはり面白い。とても興味深いものだ。

他の村上作品を読むと落ち着くのだけど、これを読んでいる間ずっと落ち着かない気持ちになった。
はっきり言ってこの作品は全体的に好きじゃあない。
それは私の身の回りで起こった出来事と結びつけてしまうからだろう。
だけど、好きじゃない感じがずっと漂っている作品なのに、ある所ですごく目頭が熱くなった。
ものすごく人間の「生」というものを感じた。そこでは感動さえした。
こんなふうに書かれたものって他にあっただろうか。
すごく大切なものを真綿でくるんで投げてしまう行為、という意味不明な文章が今頭に浮かんだ。
なんかそういう感じを受けた。

これから内容に触れていると思うので、これから読みたいと思う方はご注意を。















wikiの概要に「『ねじまき鳥クロニクル』を執筆し、第1稿を推敲する際に削った部分が元になり、そこに更に加筆する形で書かれている。」とあった。
読み終わって考えてみると、どこがどうなのかさっぱりだが、読み始めてすぐのところでとても興味深い一文があった。
最初の数ページで、「一人っ子」というフレーズが出てきたのだ。
それを読んで、ああ確かに繋がっているかもしれない、と思った(ブログの『ねじまき鳥~』の記事に一人っ子について書いていた)。
たったそれだけのことだし、村上作品には多くの同じようなキーワードが出てきたりするから、それだけでどうとは言えないし、結局のところ、私にはどこがどうなのかはわからなかった。そこまで読み解ける読解力はない。

この「一人っ子」ということについて、作品の中で「一人っ子が両親にあまやかされていて、ひ弱で、おそろしくわがままだというのは、僕が住んでいた世界においては揺るぎない定説だった。」と書かれていた。
今まで自分がわがままだとは思ったことがなかったけれど、よくよく考えてみたら、私の思考はわがままだからこそのものかもしれない。
短絡的というか、そういう部分のことが。自分の思い通りにならなかったら不安定になったり、相手や自分を必要以上に悪く思ったりする。
この部分を読んでそういうことを思い返して、ああ私はわがままなのかもしれない、と思った。


この本の登場人物を自分と重ねてしまうと書いたが、前の彼が主人公の僕で、今の彼女が初恋の相手(島本さん)、そして、私たちは結婚なんてしていなかったが、私が主人公の奥さん(有紀子)、と書くとなんともまあ間抜けな思考だが、どうしてもそういう感じで読んでしまった。

僕は初恋の相手島本さんと再会をして、奥さん有紀子との間で心が揺れる。そして僕はある時はっきりと島本さんを選ぶのだけど、その彼女は僕の前から消えてしまう。
最後は結局有紀子のところに戻ったが、その有紀子がすごいと思った。
僕は、君を傷つけたが、これから先君を傷つけないという約束は出来ない、と言う。しかし、有紀子はそれでも構わない。あなたが好きだ。今度は私があなたを傷つけてしまうかも知れないのだから。と言う。
これは私には真似が出来ない。
確かに人間の心なんてとても流動的でその時約束は出来たとしても、それをずっと守り通せるかどうかなんてわからない。わからないのに約束をして、そしてそれを破るぐらいならこの僕のように言うほうが正直だと思う。
だけど、人間正直だけでは生きていけない。
そして、作品の中で、有紀子は僕に「私と別れたい?」と尋ねる。
「僕の話を聞いてくれないか?」と言った主人公に対して、有紀子は「その女の人の話なんて何も聞きたくない」ときっぱり言う。
ここは本当にわかるなあ、と思った。
彼女の話なんて聞きたくもない。世の中には聞きたい女性もいるかもしれないが、少なくとも私は有紀子と同じ意見だ。
その過程の話やなにやかやは知りたくもない。聞きたいのは、私と別れたいかどうか。答えはイエスかノオしかないのだ。

私と別れた彼は月に何度か会っている。
当たり前のことだが、以前のようにそんなに頻繁ではないにしろ、月に数回は会っている。
会っていると言っても最近では昼ごはんを食べに行く程度だ。
だいたい私の仕事が終わったあとどこかで待ち合わせをして、二人で遅い昼食をとり、ぶらぶらと本屋などへ行ったり、お茶をしたりして晩ご飯までには帰ってくる。
時間にしたらほんの2,3時間程度だ。
その間に交わされる話と言えば、音楽の話か本の話、それに他愛のない世間話のようなものだ。
時々仕事について話をしたりするが、それ以外の話はしない。
彼女のことなんて聞いたりもしないし、もちろん向こうもそんな話はしてこない。
今どういう状態なのか。あれから会ったりしているのか。うまくいっているのか。時たま聞いてみたい思いが頭を過ぎるが、聞いてどうなることでもない。どうせ自分自身が乱れてしまうことはもうわかりきったことだ。
それに、本当にそのことについて私は知りたいと思っているのかどうかもわからない。知ってどうするというのだろう。もしうまくいっていたら事態は変わらない。もしうまくいっていないとしたら、どうなのだろう。また彼とやり直したいと思うのだろうか。有紀子のように、何もかも受け入れ、あなたが好きだと言えるのだろうか。
それにはもう私の心は変わり過ぎた。
今は自分から連絡を取らないし、彼女に悪いと思って何も彼に働きかけていない。いや、彼女に悪いからだろうか。それさえもわからない。とにかく何も働きかけていない。
彼と会っているその時間は私自身寛いでいるのかどうかもわからない。話をする。笑う。緊張もしない。しかし、寛いで安心できているかどうかというとわからない。
多分、そのように「話しにしたくない話」というものが存在するからだろう。そこで薄い壁のようなものが出来てしまっているのだろう。少なくとも私はそう感じている。
私は有紀子のように、別れる前から彼に好きな人が居ることを薄々感じていた。実際にそれを相手に確認はしなかったが、そういうのは自然にわかることだ。

私が消えてしまったらどうなるのだろう、と考えた。
今後何もしなかったら、どうするのだろう。どう思うのだろう。
本当に消えてしまおうか。
消えてしまうことは簡単だ。
ブログは読んでいないし、携帯に連絡が来ても返事をしなければいい。
それで一切は無くなる。
なんて簡単な繋がりなのだろう。

彼が一体何を考えているのか全くわからない。
単純に茶飲み友達ということなのだろうな。


一体私は何を書きたかったのだろう。
この作品を読んで、たくさんのことを考えた。それだけこの作品がリアリティというものを持っているということかもしれない。

51『「婚活」時代』山田昌弘 /白河桃子

2008-10-09 17:43:51 | 本 2008
山田昌弘 /白河桃子『「婚活」時代』


【内容情報】
「パラサイト・シングル」「格差社会」で知られ、「報道ステーション」等のテレビ・新聞・雑誌でもおなじみの気鋭の家族社会学者山田昌弘教授と、結婚・恋愛・少子化をテーマに圧倒的な質量の取材と執筆・講演活動を続けるジャーナリスト白河桃子。今、日本で、結婚と恋愛の実態とその解明を語らせたら右に出る者のいない両氏による本書は、驚くべきスピードで進む晩婚化・非婚化の要因と実態を明快にリアルに伝え、まさに、『「婚活」時代』以前と『「婚活」時代』以後と時代を二分する衝撃の書といえよう。が、本書の本当の斬新さは、これが社会学の本であると同時に、具体的な「婚活」の方法と各種サービスの賢い活用法までを網羅した、いわば「婚活のすすめ」とも呼ぶべき実践の書ともなっている点かもしれない。



ようやく読みました。久しぶりの自己啓発系の本。

あら~えりちゃん、ついにこういう本に手を出しちゃったの?どうしたの?焦ってるの?と思われるような本のタイトル。
諸君、タイトルを読んだだけで判断してはいけない。以前に私も、タイトルを読んだだけでだいたい内容がわかりますよね、なんて受け売りの言葉を発してしまったのだが、これや意外と面白かった。この本は、この言葉を発してしまった方にもらったのだが、前言撤回いたします。なかなか参考になりました。(急に丁寧


こういう本の感想は、内容に触れずには書きにくいので、これから読もうと思っている人がいたら、以下は読まない方がよいかと。












まず、読み始めて20ページで苦笑い。
年収○百万の男じゃないと結婚したくない、とか言ってる女性がホントにいるんだ、と思った。
確かに、私の地元の友達で、仕事をしていない男とは結婚、いや付き合うことすら考えられない、などと言っている子がいるけど、こうもあからさまに言っている人がいるとは思ってなかった。
相手に経済面で依存をしようなんて今の時代無理にも程がある。
大手の企業がバンバン倒産やらなんやらしていく時代に、それはないだろう。
職を確保するのすら難しい時代だ。無理言っちゃあいけない。
そんなんで切り捨てていってたら、そりゃあ結婚出来ないよ。


内容にもあったが、今の女性はもう磨きをかけるのはそれぐらいにした方がいいらしい。それよりも、お城から飛び出して白馬に乗って王子様を迎えに行く、という時代になっているとか。ふ~ぬ

それと、読んでて、そうそうと思ったこと。
最近思うのが、街を歩いていたら若いおばさん(失礼!)が多い。
後ろ姿だけだと本当に年齢がわからない。どこかの男子じゃないけど、振り返って初めて、あぁこの人結構年齢いってる、と思うことが度々ある(男子じゃないのでガッカリまではしない)。しかも、私は勿論のこと(これは私に問題があるのだが)、そこらへんの女の子より足は長いしスタイルはいいし、ときている。
なんだか時代が変わってきちゃってるよなあ。


それと読んでいて一番突き刺さったのはここ。
「ちゃんと仕事をもっていることが、女性の婚活の必須条件」
・・・・・・。
必須ですか。まあねえ、必須とまではいかないにしろ、この時代、そうだろうな。
男の方もそれほどの給料はもらえてない人がほとんどで、一人暮らしも大変だろうし、その上、食い扶持が一人増えるなんて考えたらぞっとしちゃうよな。


ここに三大結婚情報サイト?みたいなのが載っていたので、ちょっとネットで見てみたんだが、こりゃアカン。
「健康」という項目があるのだ。
それを見た瞬間、登録する気が失せた。(登録する気だったのか?!
やっぱり、健康は必須だろうなあ。
そりゃ私も結婚するなら不健康か健康かと問われたら、健康な人がええもん。人のこと言えんわな。
不健康、子どもは欲しくない・・・だんだん私を許容してくれるだろう範囲が狭まっていく。


しかし、頭で考えている分には私は今の時代となかなか合っていると思うのだけどなあ。
男の人に食わせてもらおうなんてこれっぽっちも考えていないし。そりゃあ、今こんなんだから結局のところ食わせてもらうしか仕方ないけど、あからさまにそれを前面に出すつもりはない。
ていうか、私ってこのまま結婚するとなると相手に食わせてもらうのか。今気付いた。
なんか嫌だなあ。
人の金でご飯を食べるわけだろ。それってどうなの。もしかしたら、人の金で自分の物を買ったり、人の金でオシャレしたり、人の金で・・・・・・。
気が引ける。嫌だ。

これって父親が昔酔っ払って、母親とケンカするとすぐに言ってた言葉が離れないからだろうなあ。
「誰のお陰で○○出来ると思ってるねん」
これ言っちゃおしまいなんだろうし、「じゃあ誰がアンタの飯作ったり、洗濯したり、掃除したりと、仕事以外のところでの安定を図ってくれているんだよ」と言う理屈もわかってる。それで相互が成り立っているというのもわかってるんだけど、散々聞かされたので、そう言われるのが本当に嫌だ。今時こういうこと言う人は少ないかもしれないけど、やっぱり心で思ってるんじゃないの?とか思っちゃうしなあ。疑心暗鬼。


そして、今の時代では、すり合わせ、がかなり必要らしい。
すり合わせというか、歩み寄りというか、そういうの。
そういうのをするには、二人で話し合いをしなければならない。
日本人はこれが苦手らしいが、私は相当苦手だ。
言わずにわかってもらおうなんて本当に甘えているし、怠慢のほか何ものでもないよな、やっぱり。


結婚というシステム(と言ってももう過言ではないだろう)は私には向いていないのかもなあ。
色んな意味で。



読みながら、思ったことをメモしていってのものだからかなりまとまりがないな。