This is me.

- 無用の用 -

『君の名残を(上・下)』浅倉卓弥

2009-06-29 09:57:42 | 本 2009
『君の名残を(上・下)』浅倉卓弥
 

【内容情報】
幼馴染みで、剣道部主将を務める高校生、白石友恵と原口武蔵は、雨が降りしきる下校途中、忽然と姿を消してしまう。二人が目覚めたそこは平安末期、動乱の前夜だった……。
生きていく為、その運命を受け入れていくしかない二人。その行方は。



こんなあらすじだけで、この本の何を紹介しているというのだろう。




読み終わったあと、あぁ終わってしまった・・・・・・というような無力感がただそこにあった。


ページを捲る毎に、読み進める毎に、だんだん左側が薄くなっていく。
それがすごく勿体無い気もするのだけど、先を読まずにはいられない。




上巻では、切なさ、やる瀬なさ、に襲われ、
下巻では、もう涙を流さずには読めなかった。

一体何がこれほどだったのだろう。



解説のタイトルに、
「SFミステリーや歴史小説としても一級品、
 だがそれ以上に十分な重みを備えている」
と書かれているのだけど、本当に、そう。重みがある。

おそらく幾人もの人生を、それも壮絶な人生を、まるで己が体験したかのように感じるからかもしれない。




歴史が嫌いな人はもしかしたら読むのが苦痛かもしれない。
だけど、これは、本当に素晴らしい作品だと思う。



あーなんかたくさん書きたいことがあったはずなのになあ。
なーんにも浮かばないや。






私は確りと流されているのだろうか。

taste of heart

2009-06-27 09:12:41 | 空作








この日を待ってた 誰の目にも触れず
時は流れ 心も流れ 行き着く先はただ一つ
夢に見てたときを いざ目の前にして
涙が流れ 心は溢れ 跪くのが精一杯

綺麗なものに囲まれ
一切合財に気がつかず
私はここまでやってきた

この日を待ってた 誰も気がつかない
それを恐れず 何も迷わず
ありふれた言葉ばかりを並べ
小さな手を求めた ここはどこだろう
涙が流れ 心は溢れ 跪くのが精一杯

ずっと鏡を見ていた
それに気付いて目を閉じた
お前はここまで来てしまった


頼りないのは 
見下ろした景色は
何もかもを破壊するだろう


流れる汗にそっと手を触れて
少し舐めてみた
生きた味がした

つかめているだろうか

2009-06-15 21:14:25 | Weblog
どれほどの言葉を尽くされただろう。
私は、一体、いくつの言葉を尽くしたのだろう。
それは敵うわけがなく。

懸命に追いつこうとしても、すぐに私の前を行く。
振り返ったときの足あとの数の違い。

言葉とは音で、
文字とは記号で、
それらを組み合わせ、
目が見えるから、視覚に頼り、
耳が聞えるから、聴覚に頼っている。
それらがなければ、私という存在を、想いは、可能だったのだろうか。

『風の墓碑銘(エピタフ)―女刑事 音道貴子(上・下)』乃南アサ

2009-06-14 16:15:26 | 本 2009
『風の墓碑銘(エピタフ)―女刑事 音道貴子(上・下)』乃南アサ
 

【内容情報】
貸家だった木造民家の解体現場から、白骨死体が発見された。音道貴子は、家主の今川篤行から店子の話を聞こうとするが、認知症で要領を得ず、収穫のない日々が過ぎていく。そんな矢先、その今川が殺害される…。唯一の鍵が消えた。捜査本部が置かれ、刑事たちが召集される。音道の相棒は…、滝沢保だった。『凍える牙』の名コンビが再び、謎が謎を呼ぶ難事件に挑む傑作長篇ミステリー。



これで、音道貴子シリーズの長編は全部読んだことになるのかな。
短篇があと3冊あるって感じか。

『凍える牙』がとても面白かったのは覚えているのだけど、中身がどうしても思い出せない・・・・・・。
前作の『鎖』も既に微妙だったりするので、どれが一番かは決めにくいな。
是非一言書きたかったのだけど~。


しかしながら、やはりこのシリーズは面白い。
この「面白い」という記憶だけ残って、あとは上書きされていくのだろうけど。


乃南アサの書き方も絶妙なんだよなあ。
これってどうなるんだろうなーなんてボーっとしているうちに、ドンっと大きなものが降ってきて、え?なに?え?っていう具合になったりする。
それで、続きが気になってサクサクっと読めちゃったりするんだよな。
でも、サクサク進むくせに、これは私の変なクセでもあるのだけど、とてもいいところがすぐに過ぎていくのが惜しくって、所々何回も読み直したりした。



このシリーズもテレビドラマにしたら面白いだろうになぁ、と思った。
調べてみたら、『凍える牙』しかなってないのね。
しかも、NHK-BSだったのかぁ。うちじゃあ観れないなー。


この本は、2006年8月に刊行されているのだけど、最近の本だけあるのかな?すごく印象的だったのが、犯人の供述。
こういうことを言う人が本当に居そう・・・と、ちょっと怖かった。



さて、短篇のシリーズをまた折を見て読んでいこうかなあ。

記録

2009-06-08 21:12:55 | Weblog
5月25日の通院にて、薬が一種類減った。
4月になって先生が変わり、2ヶ月続けて「特に何もありません」と答えたのもあるだろう。
粉薬(ニューレプチル)0.02gが寝る前に処方されていたが、少量だということもあり無くなった。
26、27日と二日間だけだが、早朝に目が覚めて眠れなかった。
その後はいつも通り眠れる生活。安定したかに思われた。

5月の末ぐらいから少し調子が悪くなってきたかな、と感じ始めた。
6月頭から現在まで、ここ一週間ほどだんだん調子が悪くなってきている。
やる気がおきない。
本は読める。
Wiiをする気が起きない。
仕事は行っている。
食欲もある。
外へ出かけたりも出来る。
しかし、訳がわからないまま悲しくなり、泣いてしまう日が多くなった。
ここ一週間ほど何度か泣いている。
何がこんなに悲しいのかわからない。
いや、わかっている気もするが。
泣けるだけまだましか。

そのうち良くなるだろう。

『プロに訊け!-明日が見えた瞬間』木村政雄

2009-06-08 16:49:51 | 本 2009
『プロに訊け!-明日が見えた瞬間』木村政雄


【内容情報】
転機をチャンスに変える「プロ」のノウハウを紹介。

「成功」の反対は「失敗」、いいえ「妥協」です! ビジネスパーソンに向け、成功の陰にある挫折・失敗とそれを乗り越えた先にあるものを、著名人が自らの言葉で語る。

著名人が語る失敗・挫折の先にある成功

人気マルチメディアサイト「元気e-NET」およびメルマガ「元気e!メール達人の言葉」に連載されているBSデジタルラジオ461CHの番組「元気e!」(2003年4月~2005年5月放送)が本になりました。
厳しい現代社会を生きるビジネスパーソンに、各界著名人自らがその挫折や経験を基に活きたメッセージを語り、現状および将来に対する不安・不満・閉塞感を持つ読者に、ビジネスにおける「失敗から学ぶ方法」「挫折を乗り越えた先に見えるもの」などさまざまな元気の出る言葉を贈ります。



この本、一体なんで家にあったんだろう。
・・・・・・つい最近も同じようなこと書いた気がする。
おそらく、何かの懸賞で当たったんだと思うんだけどなあ。
これに応募したわけじゃなくって、その中でB賞とかC賞に当たったんだと思う。
と、よく分からないままに読んだが、なかなか面白かった。



やっぱり成功している人ってのは、何かしらあるな。
それが「運」だったり、長年持ち続けていた「思い」だったり。


一つのチャンスやピンチをどうするか。
きっかけをつかめるかどうか。
気付けるかどうか。



この本に載ってる人ってのは、いわゆる成功している人らしいが、それぞれ言ってることが微妙に違うのが面白かった。
活かすも殺すも自分次第、か。
しかし、何人かが今の人たちについては、同じように語っていたな。
そこが興味深かった。やっぱそう思うんだなーって。



全然関係ないけど、乱丁がある本って初めて当たったわ。
おまけに字が抜けてる箇所があった。
色んな意味で、当たった、のかな。






人生一度きり。

『棚から哲学』土屋賢二

2009-06-06 23:49:06 | 本 2009
『棚から哲学』土屋賢二


【内容情報】
なぜ人類は進歩しないのか、どうすれば究極の満足が得られるか、悔いのない人生はあるか、人に信用されるにはどうすればいいか、景気回復の決め手は何か、クリスマスやバレンタイン・デーはどうあるべきかなど、あるゆる難問に明快な答えと笑いを提出しつつ、失敗と悔悟の日々を送るツチヤ教授の「週刊文春」連載爆笑エッセイ。



土屋作品三冊目。

考えてみると毎回同じような感じなのだけど、飽きない。
これぞ不思議土屋本。


三冊目にして、この人ってすっごいかも、って思った。
どこがどう、という問題じゃなくって、そして今までバカにしてた訳でもないが、この人ってすごいかも、ってなんとなく思った。
こりゃおそらく全部読んでいくな。奥が深いもの。


土屋作品の面白いところは、まず、カバーの裏って何て言ったっけ・・・?そこに書いてある「著者紹介」から始まる。ここを立ち読みするだけでも面白い。
そして、内容。
そして、解説。
今回の解説は土屋先生のお母さんが書いてた。
いやーこれも笑わせてもらった。お母さんて!噂によると弟さんが書いたものもあるらしい。




『なぜ勉強の機会があるうちに後悔しないのか、というと、
 第一に、勉強の機会があるうちに「勉強しておけばよかった」と
 後悔することは文法上不可能だからであり、
 第二に、勉強するよりも後悔する方が楽だからである。』
 「悔いのない人生」より

ここは、かなり勢いよくぶつかってきた。

そういう時期なだけだろう

2009-06-02 23:49:39 | Weblog
途轍もなく憂鬱な世界へようこそと君は言ったが、
果たしてそうなのだろうか。
問いかける術もなく、
そこかしこに溜まった泥水に足を浸す真似は許されないだろう。
どうしたんだい?と問われても、
そんな無意味な質問は止めてくれたまえ、
としかいいようがない。
大丈夫?も然りだ。
答えは、
意味が通じるのなんて関係なく、
暗闇に慣れた目のように、
瞳孔がそうなったままなんだ。
ちょっと鬱っぽいね。
なんて、
熱っぽい、
みたいな感覚で捉えるのはやめてくれないか。
止めてほしいことばかりだ。
楽しいことばかりが人生じゃないさ、
と、
苦しいことがあった時みたいに言ってみる。
別に何があったってわけじゃない。
全てが相対的に悲観して見えるときだって、
誰にだってあるだろう。
しかし久しぶりの気分だ。
心が折れてしまいそうなんだ、
とついつい言ってしまいそうになる。
十分それを感じているのに。
だからと言って、
これが解消されようとすれば、
また新たに問題は発生するのだ。
それは十分にわかっている。
今がちょうどぬるま湯につかっている状態で、
それがちょうどいい、
というのは十分に理解しているつもりだ。

やっちまった。

『迷路館の殺人』綾辻行人

2009-06-01 22:48:53 | 本 2009
『迷路館の殺人』綾辻行人


【内容情報】
奇怪な迷路の館に集合した四人の作家が、館を舞台にした推理小説の競作を始めたとたん、惨劇が現実に起きた。完全な密室と化した地下の館で発生する連続殺人の不可解さと恐怖。逆転また逆転のスリルを味わった末に読者が到達する驚愕の結末は?気鋭が異色の構成で挑む野心的な長編本格ミステリー。



館シリーズ第三弾。
とうとう、綾辻行人にハマってしまった・・・ような気がする。


これは、ちょっと、あれ、面白かった、なんて言葉では片付けられない何かがある。
読みながら布団の上に思わずひっくり返ったのは初めてではなかろうか。

かなりインパクトがあったなー。

私はすごく気に入ったが、好き嫌いがすっごく分かれそうな作品かも。





 
  『迷路館の殺人』には入口の先に入口があり、出口の向こうに出口がある。

  出口だと思って出た後で振り返ったら、全く違った光景だった・・・

   ―解説より―

この解説を書いているのは詩人さんらしいが、これがなかなか面白かった。