おなじ六年春、左衛門督殿屏風の歌
冬
おもひかね いもがりゆけば ふゆのよの かはかぜさむみ ちどりなくなり
思ひかね 妹がり行けば 冬の夜の 川風寒み 千鳥鳴くなり
おなじ承平六年(936年)、左衛門督殿の屏風の歌
冬
恋しい思いに耐えかねて女のもとに行くと、冬の夜の川風が寒いので、千鳥の鳴く声も身に染みて聞こえて来るよ。
「左衛門督(さゑもんのかみ)」は、忠平の長男藤原実頼(ふじわら の さねより)のこと。
この歌は、拾遺和歌集(巻第四「冬」 第224番)にも入集しており、秀歌として名高い一首です。