貫之集 577
としつきは むかしにあらぬ けふなれど こひしきことは かはらざりけり年月は むかしにあらぬ 今日なれど 恋しきことは かはらざりけり 年月がたって、昔の面影もない今日ではあるけ
貫之集 566
あさなあさな けづればたまる わがかみの おもひみだれて はてぬべらなり朝な朝な けづればたまる わが髪の 思ひ乱れて はてぬべらなり...
貫之集 565
あふことを つきひにそへて まつときは けふゆくすゑに なりねとぞおもふ逢ふことを 月日にそへて 待つときは 今日行く末に なりねとぞ思ふ...
貫之集 557
ももはがき はねかくしぎも わがごとく あしたわびしき かずはまさらじ百羽掻き 羽掻く鴫も わがごとく 朝わびしき 数はまさらじ...
貫之集 551
なげきこる やまぢはひとも しらなくに わがこころのみ つねにゆくらむなげきこる 山路は人も 知らなくに わが心のみ つねに行くらむ...
貫之集 549
ゆくすゑは つひにすぎつつ あふことの としつきなきぞ わびしかりける行く末は つひにすぎつつ あふことの 年月なきぞ わびしかりける...
貫之集 548
なみだがは おつるみなかみ はやければ せきぞかねつる そでのしがらみ涙川 落つる水上 はやければ せきぞかねつる 袖のしがらみ...
貫之集 504
かりにのみ ひとのみゆれば をみなへし はなのたもとぞ つゆけかりけるかりにのみ 人の見ゆれば 女郎花 花の袂ぞ 露けかりける...
貫之集 432
山里に時鳥鳴きたりこのさとに いかなるひとか いへゐして やまほととぎす たえずきくらむこの里に いかなる人か 家ゐして 山時鳥 たえず聞くらむ...
貫之集 426
古里の花を見るあだなれど さくらのみこそ ふるさとの むかしながらの ものにはありけれあだなれど 桜のみこそ ふるさとの 昔ながらの ものはありけれ...
貫之集 417
おなじ年、宰相の中将屏風の歌、三十三首元日、ふるき男の女のもとに来てものなどいふあたら...