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漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0881

2022-03-29 06:18:53 | 古今和歌集

ふたつなき ものとおもひしを みなぞこに やまのはならで いづるつきかげ

二つなき ものと思ひしを 水底に 山の端ならで 出づる月影

 

紀貫之

 

 二つはないものと思っていたのに、山の端でもない水底に出た月であるよ。

 詞書には「池に月の見えけるをよめる」とあります。歌意、情景はわかりやすいですね。貫之は月に限らず、水面に映る光景を好んだようで、そうした歌がたくさんあります。いくつかご紹介しますね。

 

そらにのみ みれどもあかぬ つきかげの みなぞこにさへ またもあるかな

空にのみ 見れども飽かぬ 月影の 水底にさへ またもあるかな

貫之集 311

 

ふたつこぬ はるとおもへど かげみれば みなぞこにさへ はなぞちりける

二つ来ぬ 春と思へど 影見れば 水底にさへ 花ぞ散りける

貫之集 298

 

うめのはな まだちらねども ゆくみずの そこにうつれる かげぞみえける

梅の花 まだ散らねども 行く水の 底にうつれる 影ぞ見えける

貫之集 113



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