漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0789

2021-12-27 19:39:40 | 古今和歌集

しでのやま ふもとをみてぞ かへりにし つらきひとより まづこえじとて

死出の山 ふもとを見てぞ 帰りにし つらき人より まづ越えじとて

 

兵衛

 

 死出の山の麓を見て引き返してきました。私につれないあなたより先には越えまいと思って。

 詞書には、病気で具合が悪かった時、親しい仲であった人が見舞いにも来てくれず、治ってから見舞いをよこしたので詠んで送ったとあります。心細くて、見舞いに来てほしいときに来てくれず、元気になってからのこのこと(?)やって来た相手に、皮肉たっぷりに「あなたより先にだけは死ぬまいと思って、死出の山を麓だけ見て帰って来たのよ」と詠み送ったということですね。
 兵衛(ひょうえ)は、平安時代前期の貴族藤原高経(ふじわら の たかつね)の娘とされる人物で、0455 以来の登場。古今集への入集はこの二首となります。

 



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