よやくらき みちやまどへる ほととぎす わかやどをしも すぎがてになく
夜や暗き 道やまどへる ほととぎす わが宿をしも 過ぎがてに鳴く
紀友則
夜が暗いからなのか道に迷ったからなのか、ほととぎすがまさに私の家のあたりを通り過ぎづらそうに鳴いている。
行く道に迷い悩んでいるのはほととぎすだけではなく、まさに作者自身の姿。だからこその強調の「しも」。ほととぎすよ、夜の暗さに道に迷ったのか。だから同じように行く末に悩んでいる私の、まさにその私の家をすっと通りすぎることができずに鳴いているのかという想いですね。