河原の大臣亡せたまひてのちに、いたりて、塩釜といひしところのさまの荒れにたるを見てよめる
きみまさで けぶりたえにし しほがまの うらさびしくも みえわたるかな
君まさで 煙絶えにし 塩釜の うらさびしくも 見えわたるかな
河原の大臣が亡くなってのちにやってきて、塩釜という場所が荒れてしまっているのを見て詠んだ歌
あなたさまがいらっしゃらなくなって、塩を焼く煙を絶えてしまった塩釜が、うら寂しく見えていますよ。
この歌は、古今和歌集(巻第十六「哀傷歌」 第852番)に入集しています。
「河原の大臣」は第52代嵯峨天皇の皇子で左大臣の源融(みなもと の とおる)のこと。その邸宅の庭に、奥州の塩釜を模した一角があったとされています。百人一首(第14番)の歌も著名ですね。
みちのくの しのぶもぢずり たれゆゑに みだれそめにし われならなくに
陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに