まきもくの あなしのやまの やまびとと ひともみるがに やまかづらせよ
巻向の 穴師の山の 山人と 人も見るがに 山かづらせよ
よみ人知らず
穴師の山に住む山人だと人から見えるくらいに、たくさん山葛をつけなさい。
「穴師の山」は地名、「巻向の」は「穴師の山」にかかる枕詞です。歌全体としては、通常よりもなお一層神を祭りましょうということですね。
まきもくの あなしのやまの やまびとと ひともみるがに やまかづらせよ
巻向の 穴師の山の 山人と 人も見るがに 山かづらせよ
よみ人知らず
穴師の山に住む山人だと人から見えるくらいに、たくさん山葛をつけなさい。
「穴師の山」は地名、「巻向の」は「穴師の山」にかかる枕詞です。歌全体としては、通常よりもなお一層神を祭りましょうということですね。
しもやたび おけどかれせぬ さかきばの たちさかゆべき かみのきねかも
霜八たび 置けど枯れせぬ 榊葉の たち栄ゆべき 神のきねかも
よみ人知らず
霜が幾度置いても枯れることのない榊葉のように、ますます栄えて行くに違いない神に仕える巫女たちよ。
「栄ゆ」は「榊葉」と「きね」の両方にかかっています。「きね」は神に仕える者の意、最後の「かも」は詠嘆の意の終助詞ですね。
かみかきの みむろのやまの さかきばは かみのみまへに しげりあひにけり
神垣の 三室の山の 榊葉は 神の御前に 茂りあひにけり
よみ人知らず
神垣で囲まれた三室の山の榊葉は、神前で茂りあっています。
ここから 1086 までは「神遊びの歌」。詞書には「採物の歌」とあります。「神遊びの歌」は「神楽歌」の古称と見られ、神事に歌われた歌謡全般を指す言葉のようです。「採物」は祭祀で神職や舞人が手に持つ道具のことですね。「神垣」は神がいる場所を囲む垣根の意です。
しはつやま うちいでてみれば かさゆひの しまこぎかくる たななしをぶね
しはつ山 うち出でて見れば 笠結ひの 島漕ぎ隠る 棚なし小舟
よみ人知らず
しはつ山を出て見渡すと、笠結いの島に漕いで隠れてゆくのが見える、棚なし小舟よ。
詞書は「しはつ山ぶり」。「しはつ山」「笠結ひの島」はいずれも地名と思われますが詳細不明です。「棚なし小舟」は舟べりに板のない小さな舟のことで、0732 にも登場しましたね。
ほりえこぐ たななしこぶね こぎかへり おなじひとにや こひわたりなむ
堀江こぐ 棚なし小舟 漕ぎかへり 同じ人にや 恋ひわたるらむ
よみ人知らず
みづくきの をかのやかたに いもとあれと ねてのあさけの しものふりはも
水茎の 岡のやかたに 妹とあれと 寝ての朝けの 霜の降りはも
よみ人知らず
岡の仮屋で妻と私が共寝をした翌朝の、霜が降りて寒いことといったら。
第二句「岡」は九州の地名との説もあるとのこと。第三句「あれ」は「我」の意。「朝け」は明け方の意ですね。最後の「はも」は詠嘆を表します。