エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

スマートプロジェクトと世界最大の需要応答企業EnerNOCとのビジネス連携について

2013-03-06 06:39:23 | Weblog
 先週、東京にて開催された世界最大級のスマートグリッド展「国際スマートグリッドEXPO」出席のために来日したEnerNOC(http://www.enernoc.com/)のMr.Brewster(President&Co-founder)等とスマートプロジェクト代表・加藤は、セミナー・セッション「デマンドレスポンス最前線」において日本IBMとともに講演するとともに、セミナー前後に両組織の連携の在り方について協議しました。
 EnerNOCは日本への進出を図るとともに、ビジネスモデルを「需要応答」(EnerNOCの需要応答のビジネスモデルに関しては、参考を参照)から「エネルギー・マネージメント」、「蓄電や再生可能エネルギーとの統合」さらには「スマートコミュニティ」へと拡大して展開しようとしており、今後連携を具体化させていくことになりました。

 
(参考) 世界最大の需要応答企業であるEnerNOCのビジネスモデル <各種情報に基づき、加藤が取りまとめたもの>

<エナーノックは1万3,500事業者を対象>
 アメリカでは、「アグリゲーター」(需要応答プロバイダー)と呼ばれる事業者が急成長していますが、エナーノック(EnerNOC)は、業務用・産業用電力顧客を対象とするプロバイダーで、アメリカのみならず、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどでもサービスを提供しており、対象とする事業者は合計1万,3500事業者に上っています。需要応答容量は、8.6ギガワット(GW)<出力1GW原発の8.6基分に相当>にも上ります(2013年2月時点)。
 世界最大の需要応答企業と言えますが、アメリカでは、業務用・産業用電力顧客4,500社、8,000施設、6.65ギガワット(GW)<出力1GW原発の6.65基分に相当>の需要応答容量を管理し、取引市場等を通じて電力会社と取引しています(2011年6月時点)。

<「ネットワーク運用センター」で24時間電力需給を監視>
 エナーノックは、契約した電力需要家のスマートメーターに同社の制御ボックスをつないで、1~5分間隔で需要家の電力消費情報を収集しており、ボストンやサンフランシスコなどにある「ネットワーク運用センター」(NOC;Network Operation Center)で電力の需給動向を24時間監視しています。
 そして、発電会社が電力市場における必要電力供給量を調達できないおそれが生じた場合、エナーノックは発電会社から発注を受け、同社と契約している電力需要家(オフィスビルと工場)に必要な電力抑制量を割り振り、電力消費抑制を要請します。
 例えば、発電会社から翌日の午後1時から午後4時のピーク時の間、何メガワットの需要を抑制してほしいという依頼が来た場合、エナーノックは契約している電力需要家に対して、自動制御または電話、ファックス、Eメールなどの手動により節電要請を出します。前者は、契約先との事前の合意により制御可能な機器により行うものです。
 発電会社は、一定期間の需要抑制に対してエナーノックにサービス対価を支払い、エナーノックはその対価から自社の利益を差し引いて、その残りを電力需要家に分配します。

<節電枠を達成できる需要家ポートフォリオの構築がノウハウ>
 要請された何メガワットの節電枠を達成できる需要家のポートフォリオをいかに構築するか(ポートフォリオ・マネージメント)がエナーノックにとっての貴重なノウハウです。
 そのため、需要家との契約締結前に試験的に電力消費抑制の要請を行い、実際のところ各需要家がどの程度節電できるかを正確に見極めるなど対応を行っています。
この場合、需要家ごとにきめ細かく電力消費抑制量を積み上げることとしており、例えば、製造工場やエネルギー供給事業者などで操業を急に止められない事業者であっても、工場の空調温度を下げるといった形で電力消費抑制量を確保しています。

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