エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

D象限へのショートカット路線と「Linux型」経営

2011-09-26 00:19:07 | Weblog
今後世界的に進展するスマートグリットの展開および日本のポジションは、「技術」×「戦略」×「政策」で決まります。このうち「技術」に関しては、以上の考察から日本の優位性はかなりあると考えてよいと思いますが(ただ、韓国、中国等の追い上げのスピード早く、油断は禁物です)、むしろ、今後のポイントは「戦略」と「政策」にあります。この両者でいかにダイナミックな、かつ、グローバルな対応ができるかによって勝負が決まります。
このうち「戦略」での対応を考える際重要なのは、「スマートグリッドの進化モデル」を思い出すことです。今、スマートグリッドはA象限からB象限またはA象限からC象限へと進もうとしていますが、B象限やC象限はスマートグリッドが最終的に行き着く先ではありません。最終的な行き着き先はD象限であり、そこでの「スマートグリット革命」のパラダイムは、誰でもエネルギーを作れる=誰でも新しいビジネスを起こせるという「You Energy」パララダイムです。日本企業の「戦略」形成で重要なことは、D象限へのショートカット路線です。
「You Energy」パララダイムの下では、自社技術を特許等で守り、モノづくり、モノうりで収益を稼ぐという昔ながらのビジネスモデルを継続させることは、自社技術は守れたとしても他社が新たな技術を投入して市場を席巻すれば、自社技術はたちまち時代遅れになってしまいます。このことは、いち早く破壊的イノベーションに直面した電子機器やテレビの分野において、EMS(Electronics Manufacturing Service)形態をとる中国などの企業が日本のモノづくり、モノ売りを駆逐していることからもうかがい知ることができます。「スマートグリッド革命」が進展する時代においては、従来型のビジネスモデルでは、早晩韓国、中国などに競争上の優位性を奪われます。
これからは、経営のスピードを上げ、仲間をつくり、その中から競争優位性を形成するという「Linux型」経営が基本となります。たとえば、電子機器の世界でもJVC・ケンウッドは、中国のEMSを巻き込んでM-LinXという新しいサービスを提供するシステムを世界に供給しようとしています。M-LinXにより、インターネット網を活用してFM・AMラジオ放送と同じ音声を受信できるというサービスで、ネットを利用することで、電波障害などが起こらず、難聴取地域でもクリアなラジオ放送を聴けるようになります。音声とは別に画像などの付加データを受信できる技術仕様も開発中で、動画、静止画、文字情報などの情報を追加することが可能となります。
提携先の海外のメーカーから中国のEMSに対して、M-LinXなどの多様なサービスを利用することができるBlue-ray Discレコーダー、HDD、デジタルハイビジョンチューナー、FM・AMチューナー、デジタルアンプを1台に集約したホームAVC機器であるRYOMAの生産をアウトソーシングさせ、「JVC・ケンウッド*海外メーカー*中国EMS」のビジネスネットワークにより、製品を売るだけではなく特許料収入を継続的に獲得しようというビジネスモデルの根本的転換がここにあります。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿