エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

実証された需要応答の効果

2011-10-17 07:18:06 | Weblog
アメリカでスマートメーターによる需要応答の効果を実証したものとして、米DOEの国立研究所であるPacific Northwest National Laboratoryにより08年に行われたGridwise Olympic Peninsula Demonstration Projectがあります。これは、Pacific Northwest Gridwise Testbedというテストベットを活用して行われたもので、5分間隔のダイナミック・プライシングによる効果をブロドバンド環境で実証したものです。実証の結果、これによりピーク電力を15~17%減少させるとともに、平均的な家庭で15%電気料金を安くすることができるということが明らかになりました。こうしてアメリカでは、ダイナミック・プライシング(リアルタイム・プライシング、ピークカットに協力した際の時のリベート、ピーク時の電力使用の節減に同意した家庭に対する電力料金の値下げの3つを内容としています)の有効性が実証され、それが広範に普及される素地ができました。
需要応答の効果については、09年6月に発表された連邦エネルギー規制委員会(FERC)のスタッフ報告書は、19年に実現できる負荷平準として4つのケースを提示しています。それによると、①現状レベルの需要応答が継続された場合は38ギガワット(GW)(4%)、②現状レベルの需要応答がすべての州に拡大した場合は82ギガワット(GW)(9%)、③全世帯にスマートメーターが導入され、ダイナミック・プライシングが初期設定された場合は138ギガワット(GW)(14%)、④全世帯にスマートメーターが導入され、ダイナミック・プライシングを含めすべてのプログラムが実行された場合は188ギガワット(GW)(20%)の負荷平準が需要応答 により実現することができると報告されています。
 また、同スタッフ報告は、需要応答を実現するための課題として、①法的課題(卸売価格と小売価格の直接的な連結の欠如、計測と検証への取組み、リアルタイムでの情報共有の欠如、実効性の少ない需要応答プログラムの設計、需要応答のコスト分析に関する合意の欠如)、②技術的課題(AMIの基盤の欠如、コスト高、互換性やオープンな標準の欠如)、③その他の課題(顧客の認識と顧客への教育の欠如、環境への影響に対する関心)をあげ、これらの課題を早急に解決するとともに、ダイナミック・プライシングの価格体系の導入を全米レベルで行うことを求めています。
ここで興味深い調査結果をご紹介したいと思います。カリフォルニア州の電力会社PG&Eが、3年かけて2500人の顧客を対象に2000万ドル規模のパイロット事業を実施したところ、ピーク時の需要削減率は、使用時間による料金情報の場合で8%、ダイナミック・プライシング設定のシグナルの場合で13%、スマートサーモスタットの場合で27%なのに比し、ゲートウェイシステムを用いた場合は43%にもなることが判明しました。後述するOpen ADRとユーザによる負荷制御が可能な機器の普及重要になります。

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