エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

科学者としての良心を問われているIPCC

2010-04-14 21:00:19 | Weblog
 地球温暖化をめぐる議論に科学的な根拠を提供してきたIPCCへの風当たりが強まっています。
IPCCへの批判の始まりは、07年の第4次報告書に誤りがあることが10年1月、イギリス紙の報道で発覚したことです。温暖化の影響でヒマラヤの氷河が2035年にも消失するとした記述が、環境保護団体の報告書から引用した科学的根拠のないものと判明しました。オランダ政府も、IPCC報告書が自国国土の海水面より低い部分が実際より多く書かれているとして、修正を求めました。これに対してIPCCは声明で誤りを認めるとともに、報告書の他の部分には問題がないことを強調ました。しかし、イギリスのメディアは、報告書の他の部分にもに科学論文を根拠としていない部分があることを批判しています。
 昨年11月に英国で発覚した「クライメート(気候)ゲート事件」もIPCCの評判に影を落としています。温暖化研究で有名なイーストアングリア大学の研究者のメールが大量にネット上に流出し、気温データの改ざんの疑いや、仲間内で温暖化に懐疑的な研究をIPCC報告から閉め出す相談をした様子が暴露されました。

今年1月下旬の温暖化問題に関する新興国間の会議の折、中国国家発展改革委員会の解振華副主任は「気候には自然変動の要素がある。温暖化の科学には開かれた態度で臨む」と語りました。解副主任発言の真意は明らかではありませんが、中国が温暖化の科学への疑問を今後ちらつかせ始めれば、ただでさえ難航している国際交渉はさらに混迷するでしょう。
 IPCCは第5次報告書を14年までにまとめる方針です。パチャウリ議長の去就に関心が集まるのに加え、今後本格化する報告書の作成過程では、従来にない厳しい監視の目が注がれることになります。IPCCは、2月27日の外部専門家委員会で、第5次報告書の作成過程を見直すことを公表しています。

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