エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートグリッド革命」(シリーズ;中国で加速するスマートグリッド)

2010-12-03 06:48:43 | Weblog
中国では、スマートグリッドは中国政府の低炭素政策を支えるものとされています。中国は、05年に制定された再生可能エネルギー法に基づいて、「再生可能エネルギー中長期発展計画」を作成していますが、その中で太陽光、風力などの再生可能エネルギーや原子力の1次エネルギーに占める割合を20年までに15%にまで引き上げることを謳っています。また、再生可能エネルギー法と再生可能エネルギー発電価格と費用分担に関する管理試行弁法にもとづき固定価格買取り制度を導入するとともに、各種の補助金で助成しています。
このうち中国が力を入れている太陽光発電に関しては、08年3月国家発展改革委員会が作成した「再生可能エネルギー開発第11次5カ年計画」では、10年待つまでに太陽光発電の総発電容量を300メガワット(MW)に拡大すること、メガワット級の太陽光発電モデルを実施すること等が示されました。さらに具体的な政策として、09年5月国家エネルギー局は「新エネルギー産業振興策」の概要を作成し、その中で、再生可能エネルギー推進に1300億元(1元=約13円)を投入し、20年までに総発電容量を1万メガワット(MW)に引き上げ、そのため1740メガワット(MW)の太陽光発電所を建設するとしています。
10年3月に開催された全国人民代表大会(全人代)において、温家宝首相は11~15年の次期5カ年計画の主要事業としてスマートグリッドを位置づけ、国家エネルギー局が国内の大半の地域の送電を手がける国有企業、国家電網などと協力して整備を進める方針を明らかにしました。11~15年で2兆元、16~20年にも1兆7000億元の投資を計画しています。10年は準備段階として、天津市、南京市などで研究施設の開設や送電網の実験などを実施することとしており、2000億元超の資金を投じる予定です。
スマートグリッドに関する米中協力も推進しており、09年11月オバマ大統領と中国胡錦涛国家主席が、スマートグリッドに関する共同研究を含む「米中クリーン々エネルギー技術に関する共同イニシアティブ」を発表するなどの動きを示しています。この中では、米中再生可能エネルギーパートナーシップの立ち上げや、米中エネルギー協力プログラムの設置について合意しているます。民間ベースでは、既にアメリカのGE社は、スマートグリッドを含む業務提携の合意を取り付けています。インテルは、中国本土の80%と10億人のユーザをカバーすべく、State Grid Corp of China(SGCC)との間で、グリッドモデリングのためのシミュレーションソフトウェア、ネットワークの隔離と発電所の自動化、組み込み機器向け技術のアプリケーションの開発を行うための技術協力協定を結んで活動を展開しています。
 また、中国政府とアメリカのソーラーメーカーであるファーストソーラーは、09年9月8日、内モンゴルの砂漠で2ギガワットの太陽光発電を行うための協定に調印しました。19年完成を目指すもので、これは、内モンゴルのオルドス市に11.9ギガワットの再生可能エネルギー発電パークを建設する計画の一環です。日本最大のメガソーラーは、現在シャープが堺市に建設しているもので28メガワットですので、今回のファーストソーラーものはシャープのものの71倍、原子力発電一基で1Gワット程度ですから、原子力発電の2基分に相当します。また、家庭の太陽光発電は一軒当たり通常3.5キロワット程度ですので、380万軒分に相当する巨大なものです。中国は現在原子力発電建設にも積極的に取り組んでいますが、原子力発電2基分に相当する巨大なソーラー発電への取組みは、中国政府の意欲的な電源開発への取組みを示すものです。

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