エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

画期的なアメリカのスマートグリッド促進税制と日本への提言

2011-03-31 00:18:20 | Weblog
アメリカ国内で再生可能エネルギー導入を進めるためにとられている税制上の措置にPTC(Production Tax Credit)があります。これは、再生可能エネルギー設備の最初の10年間の稼動に対して1キロワットアワー当たり1.8セント(インフレ率により毎年調整される)の税金が控除されるというものです。
 さらに、2005年連邦エネルギー政策法(Federal Energy Policy Act of 2005)によって、住宅部門やビジネス部門における再生可能エネルギー導入のための投資に対し30%の税額控除を認めるという画期的な税制上の措置であるITC (Investment Tax Credit)が導入されました。税額控除(tax credit)は支払うべき税額から控除額を差し引くもので、今回のcreditは事業費の30%のためこの30%分の税金がまるまる安くなるもので、税率を掛ける前に控除額を差し引くdeductionよりも減税額が大きくなります。
 PTCとITCは選択制です。また、PTCにしろITCにしろ、税額控除制度は企業収益が黒字の場合に効果を発揮し景気動向に影響されるものであるため、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、地熱発電に限り、投資される資産価値の30%に相当する助成金を交付する制度もスタートしています。
 ITCに関しては、当初の有効期限が2008年末となっており期限切れが強く懸念されましたが、08年10月に太陽光発電に関しては8年間、風力発電に関しては2年延長されました。また、電力会社にも始めて適用され、メガソーラーの導入に対しても優遇措置がとられることになりました。これにより設置コストが30%も軽減されるので、電力会社の投資判断に決定的な影響を与えます。
 さらに、2010年1月8日オバマ大統領は、スマートグリッド、ビルに省エネ・エネルギーマネージメント、太陽光、風力関連の製造業への投資に対する最大23億ドルのITCを通じて1万7000人、関連する民間投資54億ドルで4万1000人、計5万8000人の雇用を創出する考えを示しました。対象事業は2014年までに施設建設に着手することが求められていますが、対象事業の3割は10年中に着手予定です。控除額の合計は23億ドル、事業者側の負担と合わせると77億ドル規模の事業への投資となります。。
 今回の助成対象事業は、風力、太陽光・太陽熱発電関連装置、変圧器やスマートメーターなどのスマートグリッド関連装置、省エネ型の照明や空調機器などの省エネ関連装置、高効率なタービンなどの産業用装置、電気自動車やバッテリー関連装置、原子力関連装置、二酸化炭素回収・貯留(CCS)関連装置など、極めて広範にわたる装置の製造施設の建設です。
 今回の対象事業の募集に当たっては予想を上回る総額約80億ドル、500件を超える申請があったため、政府は今回対象とされなかった事業のうち有望なものを支援するため、バイデン副大統領は09年12月、減税枠の50億ドル程度の上積みに向けて議会と調整する考えを示しています。
 日本でもITCのように、住宅部門やビジネス部門における再生可能エネルギー導入のための投資に対して税額控除を認める制度を構築すべきです。また、PTCは再生可能エネルギーによる発電に関するものですが、住宅部門やビジネス部門における省エネに関しても、将来スマートメーターの導入をイギリスのようにすべての家庭やビルを対象にするように拡大し、PTCと同様の考え方に基づいて、省エネ1キロワットアワー当たり○円(銭)という税額控除制度を創設すべきです。

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