エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

インドのスマートグリッドと日本によるモデル構築

2011-12-26 06:41:16 | Weblog
日本、インド両政府は、インドの首都ニューデリーと西部の商業都市ムンバイの間でインフラ整備と産業集積を進める「産業大動脈構想」について、日本のスマートグリッドなどの環境技術を導入し、温暖化ガスの排出を抑えた開発を目指しています。計画ではまず、「産業大動脈構想」の対象地域である6州に24の「モデル地区」を設定。電力需要を太陽光や風力、バイオ燃料など再生可能なエネルギーで賄う仕組みを導入し、スマートグリッドも推進します。自治体や企業向けの「環境ガイドライン」もつくり、温暖化ガスの排出などで新基準を採用する予定です。
貨物鉄道の建設費のうち第1期工事(約920キロ)については、日本政府はODAの円借款で拠出する方針です。周辺に予定されている工業団地や道路などのインフラ整備約900億ドルのうち700億ドルは民間資金を活用しますが、両政府は構想を推進するために共同で設立する1億5000万ドルの基金に、国際協力銀行が半額を拠出する契約にも調印しました。今度インドの他の地域のモデルとなるものと期待されます。
11年に開始する実証実験は、デリーとムンバイの付近にある2、3の都市が対象です。送電網の整備や通信機能付きのスマートメーターの設置などで1都市あたり数百億円を投じます。実験の結果を見極めたうえで、12年以降にはインドの十数の都市で実用化に踏み切る計画です。日本としては、インドでの実績を足がかりに、同事業の受注をアジアや中東などの国々にも広げたい考えです。


シンガポールのスマートグリッド

2011-12-26 00:25:56 | Weblog
09年11月シンガポールのエネルギー市場監督庁(EMA)は、スマートグリッド導入に向けた実証実験「インテリジェント・エナジー・システム(IES)パイロットプロジェクト」を開始しました。またシンガポール政府は、07年から太陽光発電を中心とするクリーンエネルギー産業の振興を進めており、政府の支援の下で建物への太陽電池パネルの設置も進みつつあります。EMAは、太陽光発電コストが低下すれば太陽電池の導入がさらに進むと見込んでおり、太陽電池や風力発電など電力供給が一定ではない再生可能エネルギー電力を既存の送電網につなげて電力の安定供給を図るには、電力の変動に対応できるスマートグリッドの導入は不可欠だとしています。
実証実験を行う拠点となるのが、国立の南洋工科大学(NTU)です。同大学にはスマートグリッド関連システムを研究する基盤が整備されているだけでなく、大学構内に導入済みの再生可能エネルギー電力を送電網に取り込むことができます。このほか、同大学に近接する場所に建設中のクリーンエネルギー専門の工業団地「ジャラン・バハール・グリーンテック・パーク」や一部住宅、商業ビルでも実験を行う計画で、さまざまな建物に対応できるスマートグリッドの構築を目指しています。
EMAは、スマートグリッドの構築は電気自動車の普及のためにも必要だとしています。EMAと陸上交通庁(LTA)は09年5月、電気自動車の実証実験のため経済開発庁(EDB)、科学技術研究庁(Aスター)など関連官庁で構成するタスクフォースを発足させ、実験に必要な車両や充電スタンドなどについて日産自動車・ルノー連合と地場電力会社ケッペル・エナジーと協力覚書を結びました。電気自動車の本格普及に伴う電力需要の増加に対応するためにもスマートグリッドは不可欠で、電気自動車が将来、電力需要のピーク時に電力を送電網に再売却するための蓄電装置として機能する可能性もあります。
シンガポールでは、スマートグリッドと情報通信Tネットワークとの相乗効果も期待されています。シンガポールは高度な情報通信Tネットワークを国家主導で整備してきていますが、国内の既存の送電網に加えて15年までに国内全土に超高速通信網(通信速度1Gbps以上)を整備しています。