丁度20年前の2001年2月に、愛媛県の水産高校の実習船がハワイ周辺海域で米軍の浮上する潜水艦と衝突して沈没し、若い命が失われた。
この時、ゴルフ場で報告を受けながらプレーを続行したのが当時首相をしていた森喜朗氏だった。世間の猛批判を受け、やがて支持率もひと桁に下がって退陣した。
オリンピック組織委員会会長の森喜朗氏の常識を外れた言動は今に始まったことではない。
調べてみると、
▽「日本の国、まさに天皇を中心とする神の国であるということを、国民のみなさんにしっかりと承知していただく」(00年5月、首相時代に、神道政治連盟国会議員懇談会で。国民主権に反するなどと批判された)
▽「子どもを1人もつくらない女性が、自由を謳歌して楽しんで年取って、税金で面倒見なさいというのは本当はおかしい」(03年6月、自民党少子化問題調査会長時に、少子化などの討論会で)
▽「見事にひっくり返っちゃいましたね。あの子、大事なときには必ず転ぶんですよね」(14年2月、福岡市で講演し、ソチ五輪フィギュアスケート女子SPで転倒した浅田真央選手について発言)
▽「私はマスクをしないで最後まで頑張ろうと思う」(20年2月、日本選手団の公式ウェアの発表会で)
などがあった。このような人なのだ。
誰も森会長に鈴を付けられない。その様子だけが連日TVで見せられる。
きれい事のオリンピック精神云々の以前の問題として、カネさえ集めてきてくれれば多少のことには目をつぶるという政界、組織委員会、スポーツ界の体質が招いた一件ではないか。
真に考えなければならないのはメダル至上の金権主義にどっぷりと浸かっているオリンピックのことである。選手の安全確保のためにも日本はIOCに中止の意向を伝えるべきだ。バッハ会長からは絶対言わない。