[シカゴ 28日 ロイター] 米アグリビジネス大手カーギルCARG.ULは28日、通称「ピンクスライム」と呼ばれるアンモニア水で防腐処理された加工肉の生産量を削減すると発表。それによりハンバーガー価格の上昇につながる可能性があるとの見方を示した。
ピンクスライム肉をめぐっては、安全性への懸念が消費者の間で高まっているのを背景に、米ファストフード大手のマクドナルド(MCD.N: 株価, 企業情報, レポート)に続き、今月に入ってからはスーパーマーケット・チェーン第2位のセーフウェイ(SWY.N: 株価, 企業情報, レポート)と同3位スーパーバリュー(SU.N: 株価, 企業情報, レポート)も取り扱いを中止している。
また、同加工肉を製造する米ビーフプロダクツ・インク(BPI)は2日前、国内3州に持つ4工場のうち、3工場の操業を60日間停止すると発表したばかり。BPIの操業停止では650人の雇用に影響が出る可能性があるが、カーギルの生産削減が雇用に与える影響は明らかになっていない。
ハンバーガー価格の上昇が牛肉需要を減退させるとの懸念から、28日のシカゴ・マーカンタイル取引所では、畜牛先物価格が1%以上の下落となった。
同加工肉は米国ではハンバーガーのつなぎとして広く使われており、米農務省(USDA)や専門家は安全性に問題はないとの見解を示している。
米「ピンクスライム」問題、州知事3人が工場視察
[サウス・スー・シティ(米ネブラスカ州) 29日 ロイター] 通称「ピンクスライム」と呼ばれるアンモニア水で防腐処理された加工肉を製造する米ビーフプロダクツ・インク(BPI)は29日、州知事3人とメディアを同社工場に招き入れた。同加工肉の安全性をめぐる懸念が消費者の間で高まって以来、製造現場が公開されたの今回が初めて。
BPIは26日、テキサス州、カンザス州、アイオワ州の3工場の操業を60日間停止すると発表。同加工肉に関する「誤った情報」が操業停止の直接的な原因だとしていた。
ネブラスカ州サウス・スー・シティの工場に招かれたのは、米大統領選の共和党指名争いから撤退したテキサス州のリック・ペリー州知事のほか、カンザス州のサム・ブラウンバック知事とアイオワ州のテリー・ブランスタッド知事。3人は米牛肉産業支援派として知られ、反ピンクスライム運動は不当な風評被害だとの見解を示し、工場視察中にハンバーガーを食べて見せた。
また、ペリー知事は「こうしたデマが飛び交い始めると、会社が丸ごと倒産する可能性もある」と述べ、ピンクスライム問題が地元経済に与える影響を懸念した。BPI3工場の操業停止では、650人の雇用に影響が出るという。