ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「剣客商売」

2014-03-12 17:07:18 | 
「鬼平」同様、たまに読み返す。

秋山小兵衛は93歳まで長生きし、40歳も若いおはるの方が先に亡くなると
何度か出てくる。
池波さんが長生きなさっていたら、
小兵衛の更なる老いをどんな風に描いただろう。

ポツリポツリと、心に残る科白がある。

「金貸し幸右衛門」

 借金は、おのれの金ではございませぬ。危急をしのぐ方便でございますゆえ、どこまでも、
 これを返済することによって、危急が消え去り、ひいてはその人の信用も却ってますのでございます。

「徳どん、逃げる」

 人の世の中は、みんな勘ちがいで成り立っているものなのじゃよ。いいかえ、弥七。
 それほどに、人が人のこころを読むことはむずかしいのじゃ。ましてや、この天地の摂理(うごき)を
 見きわめるなぞ、なまなかの人間にはできぬことよ。なれど、できぬながらも、人とはそうしたものじゃと、
 いつも、わがこころをつつしんでいるだけでも、世の中はましになるのさ。

「小判二十両」

 親と子というものはな、生み落し、生まれ出るということだけで成り立つものではないのじゃ。
 生んだ後、生まれた後の親子の暮しあってこそ、親であり子であるのじゃ。

「逃げる人」

 人の世の善と悪とは、紙一重じゃ。

「暗殺者」 波川周蔵の妻・静の父があるとき言ったという言葉

 言葉に出してしまうと、人の真実(まこと)というものが、却って通じなくなってしまうものじゃ。

「二十番斬り」 小兵衛の恩師・辻平右衛門の言葉

 なまじ、口にのぼせると味気なくなることもあり、却って肝要の事が通ぜぬ場合もある。
 言葉と申すものは不自由なものよ。

「浮沈」 やはり辻平右衛門の言葉

 恩は着せるものではない。着るものだ。


鬼平、剣客商売、藤枝梅安など、池波作品は、疲れているときでも読める。
かわせみ、居眠り磐音、山本一力さん、澤田ふじ子さんなどの、時代小説も同様。

時代に関係なく、読み継がれていくんだろうな。
コメント
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