「関越えの夜」 澤田瞳子 徳間書店 2014.2.28
澤田さんの作品を一通り読みたいと、
リクエストしたら在館中で、すぐに借りられた。
本には、この4月に購入した印があったが、
栞の紐を見ると、誰も読んだ跡がない。
最初に読めるって、何だか嬉しい。
東海道浮世がたり、の副題通りの連作。
東海道を行き交う人びとの悲喜こもごもを描く。
「満つる月の如し」 澤田瞳子 徳間書店 2012.3.31
仏師・定朝。
藤原氏が権勢を誇る平安時代。
仏像造りの礎を築いた稀代の仏像と、
彼を支えたひとりの僧侶の絆を描く。
御仏とはいったい、どこにおわすのかーー
若い定朝に甘楽丸は言う。
「御仏を信じられずば、御仏を信じる人々を見ればよいのじゃ。その者の向こうには必ず、御仏が見えてくるでなぁ 」
小式部は言う。
「人は色々なところで、多くの選択をして生きていくのよ。どの道が正しかったなんて、臨終のときにならなきゃ分からないわ。だったら今、あなたが最もいいと思う道を行きなさい」
「もしそれが見つからないのなら、とにかく自分がしたいようにするの。仮に結果が悪かったとしても、自分で決めたことだもの、別の体験型道をいやいや行くよりも、ずっと納得できるはずだわ」
「万が一、選んだのが地獄への道だとしてもかまうものですか。人に決められた浄土への道より、そのほうがよっぽどましなはずよ」
そして定朝は……
「僕はこれまでいったい、なにを愚かに迷うていたのでしょう。真実の御仏の姿とは、人の裡にこそあるのですね」
その想いを写した
平等院の阿弥陀如来が完成した。
何度か拝顔した平等院の阿弥陀如来に
また、お会いしたくなった。
もちろん、大好きな、雲に乗った仏様たちにも。