ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「わたしに会いたい」

2024-05-19 06:41:04 | 

 

「わたしに会いたい」 西加奈子 集英社 2023.11.10

 

2019年から22年に発表された7編と書き下ろし1編。

 

「わたしに会いたい」

ある日、ドッペルゲンガーの「わたし」がわたしに会いに来る。

 

「あなたの中から」

女であることにこだわる「あなた」に、私が語りかける。

 

「VIO」

年齢を重ねることを恐れる24歳の私は、陰毛脱毛を決意する。

「あらわ」

グラビアアイドルの露(あらわ)は、乳がんのためGカップの乳房を全摘出する。

 

「掌」

深夜のビル清掃のアルバイトをするアズサは不思議な能力を手にする。

 

「Crazy In Love」

(カナダで)乳がん摘出手術を受けることになったふみえと看護師の束の間のやりとり。

 

「ママと戦う」

題を見たとき、てっきりママと敵対するのかと思ったら……

フェミニズムに目覚めたママと一人娘のモモが、戦うことを決意したのだった。

 

「チェンジ」

デリヘルで働く私は、客から「チェンジ」を告げられる。

 

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「この村にとどまる」

2024-05-17 09:05:08 | 

 

「この村にとどまる」 マルコ・バルツァーノ 新潮社

 

 訳者 関口英子

 

北イタリア、チロル地方のクロン村。

ドイツ語圏の小さな村は、ファシズムの台頭でイタリア語を強制され、ヒトラーの移住政策によって分断される。

主人公のトリーナは、言葉の力を信じて地下墓所などで子どもたちにドイツ語を教え、戦後はダム建設計画に反対する夫を支え続けた。

権力者たちの理不尽に翻弄され、生き別れになった最愛の娘に長年手紙を送り続けたトリーナ。

 

いま、レジア湖の下にクロン村が眠っているーー

 

 

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「川のある街」

2024-05-16 23:23:16 | 

 

「川のある街」 江國香織 朝日新聞出版 2024.2.28

 

両親の離婚によって母親の実家近くに暮らしはじめた望子。

そのマンションの部屋からは郊外を流れる大きな川が見える。

父親との面会、新しくできた友達。

望子の目に映る景色と彼女の成長を活写した「川のある街」。

 

河口近くの市街地を根城とするカラスたち、結婚相手の地方都市にやってきた麻美、出産を控える三人の妊婦……。

閑散とした街に住まうひとびとの地縁と鳥たちの生態を同じ地平で描く「川のある街 Ⅱ」。

 

四十年以上も前に運河の張りめぐらされたヨーロッパの街に移住した芙美子。

認知症が進行するなか鮮やかに思い出されるのは、今は亡き愛する希子との生活だ。

水の都を舞台に、薄れ、霞み、消えゆく記憶のありようをとらえた「川のある街 Ⅲ」。

 

〈場所〉と〈時間〉と〈生〉を描いた三編。

 

   ーー〈帯〉よりーー

 

 

 

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「プレデター」

2024-05-15 21:43:09 | 

 

「プレデター」 あさのあつこ 集英社 2023.7.30

 

深刻な格差社会が進んだ2032年の日本。

都市がゾーンに分断される。

行動様式も売買履歴も金融資産も、日々生きることそのものがデータ化され、数値化され、そんな現実に慣らされてしまう。

いつの間にか、知らぬ間に。

 

あさのあつこさんの、#6の世界を連想した。

 

アラフォーの雑誌記者・明海和はストリートの取材を続けるうち、謎の集団・プレデターに襲撃される。

 

プレデターとは捕食者、まさに人を狩る者。

武器の扱いに長け、戦闘術を身につけ、平気で人を殺せる。

ストリートチルドレンだけでなく、子どもを拐ったり、プレデターに仕立て上げられていた。

政府の意にそわない者や、邪魔者を抹殺するためにーー。

 

ストリートチルドレンの問題に関わって、これはおかしい、変だと思い、現実を目の当たりにしながら、その現実をいつの間にか受け入れていた。

諦めていたとも言い換えられる。

自分に現実を変えられる力などない。

どう足掻いても無駄なだけだ、とーー。

 

高い支持率を保ったまま長期政権が維持される。

影を生み出さない光はない。

 

P108

「今、大手のマスコミはほとんど機能してないでしょう。定例会見以外の取材は政府の許可がないとできないんだから(略)」

 

P272

「C、D、Eどこも、下のゾーンに比べれば自分たちは幸せだとおもっているし、F、Gの住民でさえ、ゾーン外に比べれば内側にいるだけマシだと考えている。そこに、受け入れやすい幸福論をばらまけば、満足度や現状維持を望む声は高くなる(略)身の丈に合った幸福を知り、それ以上は求めない。この国では美徳とされますもんね」

「不幸も失敗も不遇も、全部、自己責任にしてしまう。自己責任だと思ってしまう。自分で責任を取らなくちゃならないと思い込むことも美徳にされてしまうんです」

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「奔れ、空也」

2024-05-10 18:20:51 | 

 

「奔れ、空也」 佐伯泰英 文藝春秋 2023.5.10

 

「居眠り磐音」の続きではないが、

磐音とおこんの息子・空也の武者修行・十番勝負。

 

薩摩で始まった十番勝負だが、私が読んだのは三番か四番まで。

それ以降は読む気にならなかったが、

今回が武者修行完結の十番目というのでリクエストした。

 

久々の佐伯さん。

還暦を迎えた年から「居眠り磐音」を書いたという。

2023年で81歳かーー。

作品数がハンパない。

すごいなぁ。

 

 

 

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