ほぼ一週間ぶりに、郊外で紅葉狩り ♪
今日は、紅葉が輝いていた。
紅葉を眺めながらのお弁当は格別。
日が陰る、
日が照る……
美しい秋に見惚れた。
ほぼ一週間ぶりに、郊外で紅葉狩り ♪
今日は、紅葉が輝いていた。
紅葉を眺めながらのお弁当は格別。
日が陰る、
日が照る……
美しい秋に見惚れた。
「秋山善吉工務店」 中山七里 光文社 2017.3.20
ゲーム会社を辞め、引き籠っていた史親の部屋からの出火で家と主を失った秋山家。
残された妻の景子、中学生の雅彦、小学生の太一の三人は、史親の実家「秋山善吉工務店」に世話になることに。
慣れない祖父母との新生活は、それぞれの身に降りかかるトラブルで災難続き。
一方、警視庁捜査一課の宮藤は、秋山家の火災は放火だったのではないか、と調べ始める。
大工の善吉爺ちゃん、大立ち回り。
カッコいい♪
自分の未来の選択肢を限っている雅彦に言う。
「見えないのは探さないからだ。まさかぼうっと突っ立ってたら、向こうから明るい未来とやらがやって来るのか。ふざけるんじゃねえ。そういうのは自分で歩いて、草を掻き分けて、爪先立ちして探すもんだ」
「勝手に自分を決めつけて、勝手に不平不満拵えて、勝手に諦めやがって。少し自分の思い通りにならないと、すぐにへそ曲げやがる。要は楽な方楽な方に逃げてるだけじゃねえか。汗も涙も血も流さんような怠け者に、どこの誰が振り向いてくれるってんだ」
そして、息子について、刑事に言う。
「怪我もしてなきゃ病気もしていない。それなのに、まともに仕事に就こうとしない。自分には合わない仕事だの能力が生かせられないだの知った風な口利きやがって。五体満足な癖しやがって働こうとしないようなヤツは俺から言わせりゃ、人間のクズだ」
「都合の悪いことは全部他人のせいにする。色んなモノから逃げ回ってるヤツは大抵そう考える」
不言実行、昔気質の職人ーー
普段の言葉数は少ないけれど
目配り、気配りが行き届いてる。
筒井康隆・「わたしのグランパ」の
グランパを連想した。
どっちのジイチャンも粋で伝法な感じで、
ヤクザとの立ち回りもあった。
あっ、
秋山善吉もグランパも、
子どもを助けるために亡くなった、わけだ。
一本筋の通った人々は、魅力的だ。
「有楽斎の戦」 天野純希 講談社 2017.8.22
信長の弟・有楽斎。
「本能寺の変」「関ヶ原の戦い」「大坂の陣」
を、生き延びた。
怯えて、喚いて、逃げるーー
それでも生き延びたのは、たいしたもんだ。
書き下ろしは、
「源五郎の道」「有楽斎の戦」の2篇。
他に4篇。
「宗室の器」…………『決戦!本能寺』
「有楽斎の城」………『決戦!関ヶ原』
「秀秋の戯」…………『決戦!関ヶ原2』
「忠直の檻」…………『決戦!大坂の陣』
それぞれ、『決戦』シリーズに所収。
「刀圭」 中島要
生真面目で融通がきかない若き町医者・
井坂圭吾の成長物語、ってとこかな。
ーーお前はゆるぎなき「圭」となれ。
そこが狂えば、薬も毒になりうるのだぞ。
と、今は亡き父親に何度も聞かされた。
薬を盛るために使う匙は「刀圭」と呼ばれ、
医師のことを「刀圭家」とも言った。
古代中国の貨幣「斎刀銭」の下端にある丸い孔を「圭」と言い、その孔の大きさが薬を量る基準になったことから生まれた言葉だ。
そんな真っ直ぐすぎる性格だから、
病弱で遊び人の薬種問屋の若旦那に反発する。
様々な「正しさ」があって、
それらは必ずしも
並び立つことが出来るわけではない。
そんな現実にぶつかって迷い、悩む。
己は正しいのに……
ということは、周りが正しくない……
ああ、これって、
近頃のよくある "鬱" に似てる。
人は皆、支えあって生きている、
周りに自分を気遣ってくれてる人々がいる……。
周りの登場人物たちが、味がある。
「スローバラード」 小路幸也 実業之日本社
2016.9.20
順番が回ってくるまで、ずいぶんかかった。
"小路=しょうじ" さんだったのね (^^;
1964年生まれかぁ。
シリーズ4作目ということを知らなかった(>_<)
でも、スーッと読めた。
五十代になったダイは喫茶店のマスター。
学生時代からの仲間たちも歳を重ねた。
〈家族〉と引き換えに手放したのはあの頃の〈自由〉と、思ってはいけない。それは、比べてはいけないものだ。
私たちはもう若い時間をとうに過ぎた年配の男たちだ。自分の意思で手にしたものを理由もなしに簡単に手放してはいけない。
そのことを私たちはわかっている。わかっているからこそ、お互いの胸の内にふと流れる淋しさを共有もする。
ただ、それを表に出しては、口にしてはいけない。
仲間の息子が家出した。
それを探るうちに、「あの頃」の記憶が呼び起こされる。
過去と現在の連鎖。
やたら、煙草を吸うシーンがあった。
行き詰まったとき、やりきれないとき……
昭和のオジサンたちは、煙草で一息つく。
そのうち、シリーズを読んでみよう。
以下、既刊紹介より。
1980年代を回想するーー
「モーニング」
親友の葬儀で福岡に集まっていたダイ(弓島大)たち。「東京へ帰って自殺する」と言い出した仲間の一人を思いとどまらせるための、ロングドライブが始まるが……。
1990年代、〈弓島珈琲〉始まるーー
「コーヒーブルース」
北千住の〈弓島珈琲〉の店主となったダイ。近所の小学生から、姉を探してほしいと頼まれる。三栖刑事ら常連たちの協力で捜査を始めた矢先、五
年前の事件に関わる男が現れる。
2000年代、ダイは39歳にーー
「ビタースイートワルツ」
ダイの元に、二つの事件が舞い込んだ。恩人で常連客でもある三栖刑事が、〈ダイへ〉というメッセージを残して失踪。店を手伝うあゆみからは、親友と連絡がとれないと相談される。
「図書館の魔女 (上) (下)」 高田大介 講談社 2013.8.9
第45回メフィスト賞受賞。
鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、
王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす
「高い塔の魔女」マツリカに仕えることとなる。
古今の書物を繙き、数多の言語を繰って
策を巡らせるがゆえ、
「魔女」と恐れられる彼女は
自分の声を持たないうら若き少女だった。
少女は"言葉" で世界を拓く。
マツリカはキリヒトに
言葉は一方通行で不可逆、という。
ーー後戻りしないということ。取り戻せないということ。ひとたび口に出した言葉を、少なくとも口に出したということは取り消すことが出来ないように、ひとたび書き記した言葉を末梢しても一度書いたという事実は変わることがないように、言葉は時間の中で一つの方向に向かって紡がれ、あとへ戻ることは決してないのだ。
片腕の一人・キリンにマツリカは言う。
ーー選んだことは状況や論理の然らしむる必然に過ぎない。その人固有の自由の発露は選ばなかったことにある。人は、何を選ばなかったか、それによってのみ他ならぬ自分を顕している。
久しぶりに、
ずつしり感があるファンタジーに出合った。
早く読み進みたいと気持ちは逸るが
丁寧に読むことが求められる。
上巻を読んでから、下巻を読むまで
ずいぶんと間があいた。
『ことば』を身につけてゆくキリヒトと、
『ことば』を繰る図書館の魔女・マツリカ。
二人だけの秘密が、互いの距離を近づけていく。
だが一方で、周囲の強国との緊張感は
高まるばかり。
発言力を持つがゆえに、
一ノ谷と図書館は国内外から索制され、
マツリカを狙う刺客まで遣わされる。
彼らは、迫る危険と渦巻く陰謀に
知略で立ち向かう。
以下、少し引用。
知恵や知識は増えれば増えた分だけ新たな知恵や知識を呼び求めるようになる。
知的好奇心には満腹というものがない。
書物を著すというのはね、隠さないということがその本質に含まれているんだよ!書を著すならば、それは世に問うこと、世に知らせること、すべてを人目にさらして審判を問うということだ。
意思によって、決断によって、人は運命や宿業を超えていくのだ。
キリヒトはマツリカの元を去ることになるが、
この離れを去っていくのもそんなに辛いことではなかった。帰ってくるのだから。帰ってくるために今日ここを発つのだから。
「図書館の魔女 烏の伝言」 高田大介 講談社
2015.1.27
伝言は "つてこと" と読む。
全巻を通じて、
滅多にお目にかからない漢字が頻出。
異郷=ことくに、窟=やぐら、質=むかわり、
等々、ルビにイチイチ着目。
混乱している国……
囚われた姫君を助け出すために、
山の民と、みなしごたちが、
陰謀に荒む港町を駆け抜ける。
悪さを働くみなしごたちにも
折ってはならぬ節(せつ)があり、枉(ま)げてはならぬ約がある、何故こうも弱いもの虐げられるものばかりが固く操を貫いているのか。
3冊とも650ページ以上あったかーー
読み応え十分だった。