ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「モンスター」「刃傷」「虹の見えた日」

2014-03-03 15:50:34 | 
「モンスター」  百田尚樹  幻冬舎 2010.3.26

 「ボックス!」で知って以来、好きな作家だけれど・・・
 昨今の発言に、かなり幻滅。
 でも、小説は相変わらず面白い。

 極端に不細工な顔立ちの主人公。
 どうしようもなく目立つほど、醜いと感じる人にお目にかかったことがあるだろうか~
 と、自分の人生を振り返る。

 幼い頃から、親兄弟にすらからかわれ、幼稚園や学校でからかわれ、いじめられ、疎外されたら、
 どんなに根が明るい性格でも、まず間違いなく、正確は僻みっぽくなるだろう。
 自意識が目覚めると、鏡をみるたびに愕然とするわけだし・・・

 好きな異性がいると口にすることは勿論、アイドルを好きだということすらイジメの対象となる。
 美醜を意識しなかった幼い頃の思い出にすがり、秘めたる恋心を引きずる。

 思いがエスカレートした高校時代、思う相手に自分が見えなければと
 メチルアルコールを飲ませようとしたが、それは一瞬にしてバレる。
 以来、彼女はモンスターと呼ばれ、家族からも見捨てられる。
 短大に進学しても蔑まれ、就職もママならない。

 そこで整形手術に出会う。
 普通の風俗業にすら断られるが、M女として雇われたのを皮切りに
 得たお金で整形を繰り返す。
 少しずつ見られる顔になるにつれ、稼ぐお金も増えてくる。
 目、鼻、骨格や歯・・・整形を繰り返し、完璧な均衡の美人となるも、
 こんどは、ほとんど気づかないほどのわずかなずれを加える。
 機械で作った完璧さではなく、人の手でつくった焼き物や彫刻のように。

  私は彼女たちの前で自分の美しさをひけらかすようなことは絶対にしなかった。
  それが彼女たちに控えめな人という印象を与えたようだ。美しい女性は皆、自分の容姿に関しては控えめだ。
  なぜなら美は一目瞭然だからだ。自分の美しさを説明する必要も、美しさの秘訣を語ることもない。
  なら黙っていればいい。それに一瞬でも自分の美しさを自覚している素振りを見せた途端、
  多くの女性たちの憎悪の込もった怒りを買うのがわかっている。
  醜い女だった私は、誰よりもそれを知っていた。

  男の難しい話を聞くこつは、話の内容ではなく、声のトーンだけ聞くことだ。それに男は
  ここ一番の話をする時は、「どうだ」という顔を見せるからわかりやすい。その時に大きくうなずいたり
  感心したりするふりをしてやれば、男は大喜びする。そして時々は質問してやることだ。
  首と傾げてもう一度お願いします、と言ってやると、男は嬉々として説明する。(略)
  だから私はいろいろ難しい話を沢山聞いた。世の美人はこうした話題に触れる機会が、
  ブスに比べて百倍くらい多いのだということを初めて知った。

 個人的には全くご縁がない整形手術、
 近頃の韓国では、お化粧と同じ感覚でやっていると聞いたことがある。
 ミスコンでは、似たような顔が集まるのだと。

 この小説では、風俗嬢やAV女優たちも普通に整形しているとあった。
 元の生活に戻るときに、顔を戻すのだと。
 言われてみれば、如何にもありそうな話だ。

 美人優遇というのは、絶対にあると思う。
 少しずつ美しくなっていく過程で、"美"を考え、
 周囲の、特に男たちの反応を冷静に観察する。
 考えようによっては、主人公の成長物語かも・・・


「刃傷」 上田秀人 講談社文庫 2011.6.15

 ブックオフに行った(笑)
 上手い具合に、105円のところに第8作目があって、迷わず購入♪
 それ以降はまだ半額コーナーだったので保留。
 
過去の不正に目をつけられたと思った伊賀者が、併右衛門を狙う。
衛悟のいない江戸城で斬りつけられた併右衛門は、脇差で受けるも鞘が割れ、白刃をさらし。
殿中法度にふれたと目付に捕らわれ、切腹、お家断絶を覚悟するが…。

前巻の最後に、
一連のゴタゴタが済んだら、衛悟を瑞紀の婿にとなってて、
この巻で、瑞紀も知るが、この縁組にも闇の手が伸びそう。

家斉の父の懐刀の冥府防人が 興味深い。


「虹の見えた日」 澤田ふじ子 幻冬舎 2013.11.25

公事宿第21集。

田村菊太郎の恋人・お信の娘のお清が、女公事師を目指すことに。

人情話や捕物帖系はいつも、しばらくすると細かい内容を忘れてしまう(^^;
だから、何度も楽しく読める(笑)
コメント
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