ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「世界地図の下書き」「千両かんばん」「英国ロックを歩く」

2013-08-30 11:17:36 | 
「世界地図の下書き」  朝井リョウ  集英社 2013.7.10

 突然の事故で両親を亡くし、「青葉おひさまの家」で暮らすことになった小学生の太輔。
 悲しみと、施設に行く前に暮らした伯母の家で大人への不信感を募らせていたことで
 しばらく心を閉ざしていたが、同じ部屋の仲間たちのおかげで少しずつ打ち解けていく。
 とくにお母さんのように優しい高校生の佐緒里は、みんなにとって特別な存在だ。

 大学進学の夢に向かっていた佐緒里は、病気の弟のこともあり、夢に蓋をして社会人になることに・・・
 施設を卒業する佐緒里のため、4人の子どもたちは、ランタンに願い事を託して空に飛ばす
 「蛍祭り」を復活させようと、作戦を立て始める。

 素直でも、ひねくれていても、遠慮会釈ない子供の世界・・・
 みんな、必死で生きている。
 せつなくて温かい。


「千両かんばん」  山本一力 新潮社  2013.7.20

 秘伝の継承を目前にして親方に死なれ、弟弟子には先を越され、鬱屈した日々を過ごす
 看板職人・武市のもとへ大店から依頼が舞い込んだ。
 「新しい趣向を」との注文に途方に暮れる武市。
 が、不意に閃いた前代未聞の看板思案に、職人の地が沸き返る。
 依頼主は猛反対、協力を仰いだ棟梁には激怒され、それでも――

 一力さんならではの、小気味いい流れ。
 深川・本所を舞台に、川向こうまで巻き込んでコトを進めていく。
 縁起担ぎ、職人の意地と気風、人との出会い。

 何度も出てくる「正味」という気心が心地よい。

  p241
  新品をありがたがってばかりいては、モノを育てるという気になれない。
  使い込んでこそ、そのモノの本当の値打ちがわかる。 


「英国ロックを歩く」  桑田英彦 スペースシャワーブックス 2013.5.31

 U.K.ROCK LANDMARKS

 ロックレジェンドの足跡を訪ねる。
 ビートルズ、ストーンズ、ツェッペリン、ジミヘン、クィーン、ボウイ、クリーム、クラプトン・・・

 数え上げればキリがない。
 ああ、懐かしい。
 
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「ヒカルの碁」

2013-08-29 14:22:59 | 
当時、連載が始まってしばらく経ってから、この漫画を知って、
それまで発売されていた単行本を買い、掲載終了まで毎週、ジャンプを買ったものだ。
久しぶりに週刊誌を待ってワクワクしたことを思い出す。

当然、単行本は全巻揃えた。
何度か読んで、他の漫画と一緒にずっとしまい込んでいた。

過日、娘が来たときに、取り出してきた。
読んで片付けようとするのを止めて、積んでおいた。

数日前の夜、読み始めたらとまらない。
一気に23巻を読み通した。

依然として碁はわからないが、やはり、面白い♪
ヒカルの成長、佐為が消えたときの焦燥感、気づき・・・

周りの人物も味がある。

残っていく漫画の一つだと思う。





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「沈黙の殺人者」「出雲王のみささぎ」「元禄の雪」

2013-08-28 21:21:45 | 
「沈黙の殺人者」 ダンディ・デイリー・マコール 評論社 2013.3.20

 THE SILENCE OF MURDER 武富博子:訳

 2012年、エドガー・アラン・ポー賞ヤングアダルト小説部門で受賞。
 読み応えのある作品だった。

 野球チームの監督を殺害した容疑で兄ジェレミーが裁判にかけられる。
 妹のホープだけは無実を信じているのだが、
 10年前に話すことをやめた兄は、ひとことも話そうとはしない。

 母も弁護士も〈心神喪失〉で通そうとするが、ホープは納得しない。
 自分なりに調べ始めていく。

 それぞれ恵まれているとはいえない家庭の事情を抱えているホープ、TJ、チェイスが
 事件を通してかかわりあうことで、変化したり成長する。

 最後は思いがけない展開だが、でも、成る程!!
 家族、親子の関係、思春期の恋愛関係がしっかりと描かれている。


「出雲王のみささぎ」  桑原水菜  角川書店  2012.12.30

 宝物発掘師・西原無量の第2弾。
 前作「ほうらいの海翡翠」でも思ったが、発掘や古代史に関する知識がすごい!!

 今度の舞台は出雲。
 出雲風土記の元となった出雲古記というものがあったという設定。
 そんな本があったら、面白いだろうな。
 青銅器がたくさん出た荒神谷遺跡の近くを発掘し、青銅の骸骨が出たとか
 鋳型が沢山出たとか、いかにもありそうで、つい事実かと思ってしまう(^^;

 地名と神話の関係などは、説得力がある。
 実際にそんな文献があるのだろう。

 遺跡に捏造を加えた祖父、文献のみを拠り所としているらしい父、
 それぞれを否定して、なお発掘に関わっている無量の、心の変化が興味深い。

 始めはオチャラケた性格としか思えなかった長倉萌絵が発掘コーディネーターを目指し、
 無量の幼馴染で文化庁にいた相良忍が、文化庁をやめて萌絵の同僚となる。

 第1作目が大和、2作目が出雲ときて、3作目があるとしたら、
 今度はどこだろう。


「元禄の雪」  斉藤洋  偕成社 2012.11

 過去半年以内に読んでいるのに、右から左と忘れてて(笑)
 再度、読んでみた。

 源平、蒙古ときて、洛中の火 に楠正成がいたのだったか。
 戦国で信長や秀吉に会い、天草の乱があって、今度は赤穂浪士だ。
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「なぜ日本人は世間と寝たがるか」

2013-08-27 10:55:27 | 
「なぜ日本人は世間と寝たがるか」 佐藤直樹 春秋社 2013.4.20

空気を読む家族、という副題
 
 今更ながら、納得することが多かった。
 「世間」と「社会」・・・
 かつての「甘えの構造」を思い出す。

日本には社会とい西欧から輸入された言葉はあるが、実体としとは存在しない。
社会は日本の明治時代の近代化=西欧化の過程のなかで、1877年ごろに、societyを翻訳したものである。
当時の人がこのsocietyの訳語として「世間」をあてなかったのは、
 societyという独特の西欧の人的関係が、当時の日本には存在しないことがわかったからであろう。
 社会という人的関係はあくまでも人間の尊厳と一体のindividualからできあがっており
 個人という概念もまた当時存在しなかったために、1884年ごろ訳語として個人をあてたのである。
日本は先進工業国のなかではindividualの輸入に失敗した唯一の国ではないか。
そのため日本人が生きる世界では、現在でも底部には「世間」という人的関係が存在し、
その上部に乗っかるかたちで社会という人的関係が存在するという二重構造となっている。
いわば、社会はあくまでも表面上のタテマエであって、
その根底にはつねにホンネとしての「世間」が存在しているという構造になっている。

「世間」のルール
① 「贈与・互酬の関係」であり、お中元・お歳暮に代表されるような「お返し」のルール
愛情行為であっても「これだけしてやったのに」という気持ちがどこかにある
② 「身分制」
日本ほど年齢にこだわるところは、たぶん、ない。
みんな「年齢相応」という「世間の目」を気にしている。
年齢の上下という身分が「世間」のルールになっているから。
ブラザー・シスターには年齢の上下がない。 一人称も敬語も然り。
身分の問題は差別の問題でもある。
③ 「共通の時間意識」
日本では言葉はあるものの、依然として個人が存在してない。
そのために、個人が生きる「個人の時間意識」も存在しない。
いつも「みんな一緒」でなければならないという同調圧力が生じる。
個人が存在しないために、自分と相手との区別が不明確になり、
   必然的にべたべたの関係になる。
④ 「呪縛性」
みんながやる通りにやらないと「世間体が悪い」だの
   「世間に申し開きができない」だの。
日本人がもっとも恐れるのは「世間」から排除されること。

恋愛は、12世紀ヨーロッパにおいて「発見」されたというのが定説。
その頃、都市化とキリスト教の「告解」の普及によって「私」が意識されることになる。
 「内面」の発見によってindividualたる個人がうまれ、
この「私」が成立してはじめて恋愛が成立した。

「いえ」は「世間」の出先機関。

「非婚化」と「晩婚化」がはじまった時代として1975年がターニングポイント。
90年代以降家族の「解体」がすすむが、
日本社会において、希望がもてなくなる、
 つまり、努力が報われる見通しを人々がもてなくなりはじめたのが、1998年。
アメリカの親は子どもが悪いことをしたら、家に閉じ込めておくぞといって脅すが、
日本の親は家から締め出すぞと脅す。
日本の子どもたちは、罰というものがウチ世界からの排除であることを学ぶのである。

いわば「世間」には歴史がない。
では「世間」にとって歴史はどのようなものか。
それはあらかじめ計算できるものではなく、突然襲いかかってくる台風や嵐などのように
受け身で体験する事件でしかなく、歴史的事件に見舞われても、
 しばしの間耐え忍んでいれば通り過ぎてしまうもの。
日本の「世間」においては「共通の時間意識」があり、個人が存在しないために、
 西欧のような直線的な歴史意識が生まれなかった。
 日本人は神と対峙するのではなく、あくまでも「世間」との関係において生きてきた。
 そのため年中行事に象徴されるような、「円環的時間」の流れに身をゆだねてきた。

 「直線的時間」のもとにおいては、歴史は自分がつくるものであり、
 それを変えることができるものだと考える。
「社会変革」という言葉は、社会は変えることるという人々の意識を意味する。
ところが、「世間変革」という言葉は存在しない。
 このことは、「円環的時間」のなかでは、「世間」は所与のものとして、
 自分では変えることができないととらえられていることを示している。
「しかたない」という言葉が、それをよくあらわしている。

 改めて、日本人というものを考えた。
 喉元過ぎれば忘れてしまう。
 戦争責任然り、失言問題然り・・・
 「個」が確立してないから、「空気読めない」と悩み「ムラ」から出たがらない。
 「個」がないところには当然、「個の責任」もない。
 「世間が悪い」で片付けてしまったりする。
 「甘え・弱さ」と「優しさ」の混同もある。
 
 権力者たちにとっては、御しやすいだろうな・・・
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「歓喜の仔上・下」「嵐にいななく」

2013-08-25 20:00:15 | 
「歓喜の仔 上・下」 天童荒太 幻冬舎 2012.11.20

多額の借金を残して父は失踪、母は植物状態…
 長男の中学生・誠は、父の肩代わりと生活のため、日中と夜の仕事に加え、
 暴力団絡みのアブナイ仕事もやらざるをえない。

 現実問題として、行政介入を拒否する家庭は有りそうだし…

 いじめ、差別、テロ、裏切り…
残虐な世界でも、切り拓いていく運命。

誰が、とか、どの国の者が、とか、そんなこと、生命全体の流れや、つながりからすれば、
何の問題でもないんだ。大切なのは、おれたちが生きつづけるということなんだ。
おれたちって、言う、その「おれたち」の意味、わかるか。
おれもおまえもいつ死ぬがもしれない、殺されるかもしれなち。
でも「おれたち」は生きつづけていく。
周りを見回せば、わかるよ。おまえの周りにいるのが、「おれたち」なんだ。
目を閉じれば、わかるよ。瞼の裏に広がる世界に存在するのが、その「おれたち」なんだ。
おれたちは滅びない。いつだって生まれる。生きようとするおれたちのエネルギーは、
 時を超え、場所を超えて、つながっていく。生きようとするおれたちは、きょうだいだ。
それこそが、本物のきょうだいなんだ。

という、ラストの方の言葉が、心強い。


「嵐にいななく」 L.S.マシューズ 小学館 2013.3.18

AFTER THE FLOOD 2008 イギリス
三辺律子 訳

嵐があって、海が町を飲んだ。
少年は、移り住んだ新しい土地で、素晴らしい馬と出会った。

ペットは飼えない。
 馬を飼うには、運送や運搬に役立つ「家畜」にしなければならない。
 ジャックは、隣人のマイケルの力も借りつつ
 手にいれた馬・バンの訓練をする。

 風力発電や電動式の畑のような発展した科学技術があるのに、
 馬車を使ったり、手仕事で農作業をしている。
 携帯電話はあるけど高価で、テレビの使用が制限されている。
 一般人は車を持っていない。
砂糖やコーヒーが高級品。
 舞台はイギリスのようなのに、干ばつや雨季がある。
 
近未来にありそうな光景…
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