ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「熱源」「ほたる茶屋」

2020-12-18 09:36:48 | 

 

「熱源」 川越宗一 文藝春秋 2019.8.30

 

樺太アイヌの闘いと冒険。

歴史上の人びとも顔を出す……

 

 

「ほたる茶屋 千成屋お吟」 藤原緋沙子 KADOKAWA 2020.6.1

 

日本橋で御府内のよろず相談を引き受ける千成屋。

人々に手を差し伸べる女将・お吟。

 

全体にサラッとした感じ。

 

125ページに『憮然とした』があった。

本来の意味とされる「失望してぼんやりとしている様子」ではなく、

誤用の「腹を立てている様子」の意味合いで。

二次小説などで目にする際はいつも後者だし、

ほぼ6割の人々が後者だと思っているという調査がある。

こうなればもう、誤用ではなく、そんな意味もあると考え直すしかないのかーー。

 

 

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「青い眼が見た幕末・明治」

2020-12-13 16:06:52 | 

 

「青い眼が見た幕末・明治」 緒方 修 芙蓉書房出版 2020.6.25

 

プチャーチンの秘書官、ゴンチャローフ

アメリカの初代日本総領事、ハリス

ハリスのオランダ人通訳、ヒュースケン

イギリスの仕事駐日大使、オールコック

約25年滞日した英国人外交官、アーネスト・サトウ

イタリアの通商使節、アルミニヨン

デンマーク人海軍士官、スウェンソン

お雇い当代技師、ブラントン

ロシア人口革命家、メーチニコワ

英国公使館書記官、マウンジー

滞日29年のドイツ人医師、エルウィン・ベルツ

英国人紀行旅行家、イザベラ・バード

 

ごく最近、

いつかは再読するだろうと何十年も書棚で眠っていた本を捨てたのだが、

その中に「ベルツの日記」「大君の都(オールコック)」「一外交官の見た明治維新」などがあった……

どれもこれも、ほぼ半世紀前の文庫本で、

その当時の本はすべて、文字が小さい!

内容がどんなに面白くても、目が疲れて読めない(^^;

紙が変色しているし、古本屋に持っていっても引き取ってもらえそうない。

潔く、廃棄したのだった。

 

世界との関連からとらえる日本、いずれも興味深いが、

読んだときのみ『フ~ン』とか『ヘエ~』……

感性も記憶力も、鈍化してることを実感。

ヤバい!

 

サトウの回想録「日本における一外交官」がロンドンで出版されたのは1921年。

出版後、敗戦までの25年間、日本では禁書として扱われてきたことを、初めて知った。

 

因みに、

アンブローズ・ビアス『新編悪魔の辞典』では

「外交(diplomacy) 祖国のために偽りをいう愛国的な技術」

筒井康隆『現代語裏辞典』によると

「がいこうかん(外交官) 自国の恥を代表する体現者」

 

「武士道とは死ぬことと見つけたり」などという戯言は、

「徳川時代に武士が都市に住み、戦もしなくなってからの話にすぎない。要するに武士道とは、武士が不用となった時代に生まれた観念」

(柄谷行人『世界史の実験』)

 

「忖度精神に縛られ、自覚的にうそをつく組織としての徳川時代の官僚制度が、

日本の行政の中枢に居座っているのでは…

 

 

 

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「流人道中記 (上)(下)」

2020-12-06 09:17:52 | 

 

「流人道中記 (上)(下)」 浅田次郎 中央公論新社 2020.3.10

 

万延元年(1860年)。

姦通の罪を犯したという旗本・青山玄蕃に、奉行所は青山家の安堵と引き替えに切腹を言い渡す。

だがこの男の答えは一つ。

「痛えからいやだ」

玄蕃には蝦夷松前藩への流罪判決が下り、押送人に選ばれた19歳の見習与力・石川乙次郎とともに、奥州街道を北へと歩む。

口も態度も悪い玄蕃だが、道中で行き会う抜き差しならぬ事情を抱えた人々を、決して見捨てぬ心意気があった。

 

流人と押送人は奥州街道の終点、三厩を目指し歩みを進める。

道中行き会うは、父の敵を探し旅する侍、無実の罪を被る少年、病を得て、故郷の水が飲みたいと願う女……。

旅路の果てで、玄蕃の抱えた罪の真実が明らかになる。

武士の鑑(かがみ)である男がなぜ、恥を晒して生きる道を選んだのか。

 

P251

刀というものはの、腕前がどうのではなく、持っているだけでまともな話し合いができぬのだ

 

P267 (考え込む石川に青山が言う)

「あんたが思うほど他人はあんたを見ちゃいねえ。あんたの話も聞いちゃいねえ。ましてやあんたの気性がどうだなんて、誰も考えちゃいねえ」

 

下P76

ふいに僕は「斬る」と「殺す」が同義であると知った。

人の命を奪うことに変わりはあるまい。だが武士はけっして「殺す」とは言わない。まるで「斬る」がどのような場合であれ正当な行為であるかのように。

(略)

もしや僕らのうちには、殺人を勲しとする野蛮な気風がいまだ生きていて、武士道なるものの正体はそれなのではあるまいか。

 

P167

のう、石川さん。あんたは苦労人ではのうて、苦労性だぞえ。くよくよ悩む苦労など、苦労のうちにも入るまい。本物の苦労はの、いちいち憶えておったら命にかかわるゆえ、頭が勝手に忘れるのだ。

 

下P288~

われら武士はその存在自体が理不尽であり、罪ですらあろうと思うたのだ。

武士の本分とは何ぞや。それは戦だ。

政を担う武士の道徳は戦国のまま硬直した。

たちの悪いことに、そうした武士は権威なのだ。

 

下P292

「存外のことに、苦労は人を磨かぬぞえ。むしろ人を小さくする」

 

 

 

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