「中野のお父さん」 北村薫 文藝春秋 2015.9.15
体育会系な文芸編集者の娘&定年間際の高校国語教師の父。
出版界に秘められた《日常の謎》を、父が解き明かす。
以下、本文より二ヶ所を引用。
「だまし絵というのがある。先入観にとらわれて見ていると、ひとつの姿しか見えない。鍵穴から中を覗いているようなものだな。暗く、救いようのない眺めになる。ーーところが、窓があることに気づいて、そちらに立つと全く違った明るいものが見えて救われる。ーー生きていると、そういうこともある。そうでないと生きられやしない」
「有島武郎がね、《子を持って知る子の恩》て書いたんですって。子供への愛があふれてる」
「ところが雑誌の校正刷りが来たら、《親の恩》に直されてた」
「苦笑して《子の恩》と朱を入れた。ところが、出来上がった雑誌を見たら、 また《親の恩》に直されてたんですって」
これに関して……
私も《親の恩》と思っていた(^^;