「翼がなくても」 中山七里 双葉社 2017.1.22
陸上200m走でオリンピックを狙う
アスリート・市ノ瀬沙良を悲劇が襲った。
交通事故に巻き込まれ、左足を切断したのだ。
加害者である相楽泰輔は幼馴染みであり、
沙良は憎悪とやりきれなさでもがき苦しむ。
ところが泰輔は何者かに殺害され、
5000万円もの保険金が支払われた。
動機を持つ沙良には犯行が不可能であり、
捜査にあたる犬養刑事は頭を抱える。
事件の陰には悪名高い御子柴弁護士の姿が
ちらつくがーー。
沙良は、パラリンピックを目指そうと
気持ちを切り換え、
持ち前の一直線な性格で、前に進む。
義足を調え、
研究データを提供するということで
大学の研究所と共にチームをつくる。
義足は何百万円もする。
そのお金の出どころは……。
1位かそれ以外かーー
沙良の無茶とも言える潔さや気持ちの強さ、
それに向かって努力する姿が、
いっそ清々しい。