80才のハツラツ日記

愈々名実共に80才を迎え、人一倍好奇心を燃やして、元気な行動の随筆日記です。

百田尚樹著「永遠の0(ゼロ)」を読んで

2010年07月24日 | 本の情報
講談社文庫です。
帯紙に「最高に面白い本大賞第1位」と派手な広告です。
かなり売れているらしいので、買って読みました。

太平洋戦争の終戦直前に特攻隊になって戦死した祖父の、人となりを調べたくて、
60年経った今日、僅かに残された記録を探し、当時の彼の戦友を訪ねて、
戦時中の話や祖父との接触の様子を聞くストーリーです。

従って主人公(祖父)はこの小説には出て来ません。
過去の戦友の話を聞く内に、次第に祖父の人間としての全貌が浮かび上がって来ます。

軍人でありながら、戦場に出ていながら、
絶対に生きて帰りたい、そして妻と未だ見ぬ娘に会いたいと口癖の様に言っていた祖父。
戦友から臆病者、逃げてばかりいる奴とからかわれ、蔑まれていた男。


零戦の操縦に掛けては天才と迄言われた、物凄い技術の持ち主。

それが最後に特攻隊で米艦に突入する物語です。


様々な生き残りの元戦友の話から、日本の負け戦の全貌が極めて判り易く説明されます。
他の太平洋戦争に関する本は結構読みましたが、
これ程判り易く書かれているものは無かった様に思います。

本当に過酷な戦争、涙なしでは読めません。戦争を知らない若者に是非読んで欲しいです。

最後に全く想像も附かない、衝撃の大どんでん返しがあります。
本当に泣けてしまいました。最終章は電車の車内で読まなくてよかったです。


一部の批評に、戦争の描写の場面に剽窃(ひょうせつ=他人の文章を盗み取る)があると、
けなしていましたが、それを上回る素晴らしい全体の構成で、全く感動の極みでした。