スパニッシュ・オデッセイ

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「デスパイネ」(Despaigne)の謎に迫る

2018-01-23 17:22:41 | 名前
 デスパイネ(Despaigne)姓はフランス起源だということはわかっている。
 
 たぶん、D'Espaigne(From Espaigne)だろうと推測しているのだが、Espaigne の語はなかなか見当たらない。フランスの古語か方言で「スペイン」を意味する Espagne の異形の Espaigne という語がないかと、しつこく探している。 
  ちょっと目先を変えて、Google 辞書でバスク語に当たってみたら、「スペイン」のことは“Espainiako”というようである。いくらか Espaigne に似てきた。
 ところで、南フランスにラングドック(Languedoc)という地方がある。
 
 この地域ではオック語(Lengad'òc、西 lengua de oc)が話されるから、それが地域名にもなったわけである。
 現代のフランス語では「はい」は“oui”(ウィ)というのは常識だが、オック語ではそれを“oc”というところから、そう呼ばれるようになったらしい。
 オック語については全くの素人なので、ウィキペディア「オック語」を参照願いたい。
 
 【オック語の話される地域】
 オック語と一口にいっても、「大きく分けて北オック語(オック語版)、南オック語(フランス語版、イタリア語版)、ガスコーニュ語の三つに分けられる。これらを一つの言語の方言とみなすか、それぞれを異なる言語とみなすかは意見が分かれている」(ウィキペディア「オック語」より)。
 
 【オック語の方言】
 フランス語の Espagne に相当する Espaigne という形がオック語にあることを願うが、なかなか調べがつかない。たったそれだけのために高価な辞書を購入するというのも業腹である。そこで、国会図書館の蔵書を検索してみた。
 Espaigne と入力すると、2件ヒットした。1件は人名で Dora D'Espaigne である。アポストロフィーを取ったら、“Despaigne”である。もう1件は書名である。

Discours politique, tres-excellent pour le temps present: composé par vn gentil-homme Francois, contre ceulx de la Ligue, qui taschoyent de persuader au Roy, de rompre l'Alliance qui'il a auec l'Angleterre, & la confirmer auec l'Espaigne

というタイトルである。これは国会図書館のサイトに書かれていたものをコピペしたものである。“auec”という語は現代のフランス語では“avec”(英 with、「アベック」の元になった語)とつづるが、本来は u も v も区別していなかった。現在でも“BVLGARI”というブランドがあるではないか。
 それはともかく、タイトルの最後の方は「イギリスとの同盟を破棄して、スペインとの同盟を確固としたものにする」と読める。「スペイン」はフランス語では“Espagne”(定冠詞付きで“l'Espagne”)だが、ここでは“l'Espaigne”となっている。
 Espaigne という形をやっと見つけ、やっぱり “Despaigne”は“D'Espaigne”(From Spain)のことだったかと確信した。
 

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