高校2年生のころ、ゴーゴーブームが起こる。その代表格がジョニー・リバースだ。アルバム「ウイスキー・ア・ゴーゴー」の中で「ツイスト・アンド・シャウト」と「ラ・バンバ(La Bamba)」をメドレーにして歌っている。
ここでもスペイン語を耳にするのだが、当時はバンバン、バラバラというようにしか聞こえず、スペイン語とは思ってもみなかった。そもそもバンバとは何かも分からなかった。「バンバ」というと「忠太郎」と続けるのが、当時の大人の常識だったようだが。 「バンバ」とはメキシコのベラクルス(Veracruz、古スペイン語 Vera Cruz、verdadera cruz「真の十字、聖十字」、十字軍が遠征先でキリストが磔刑になった十字架を見つけたんだとか)の民族舞踊のことだそうだ。「ベラクルス」という映画もあったかと思うし、同名の曲もある。のちに、縁あって何度もベラクルスに行くことになるとは思いもよらぬことであった。ベラクルスには美人はいないと、ある日系一世の方が言っていた。美人はグアダラハラに多いそうだが、残念ながら行く機会がなかった。ベラクルスは港町で、シーフードがおいしい。自ら味わったので、「おいしい」と断言できる。また、この町はメキシコのガーシュインと呼ばれるAgustín Lara(アグスティン・ララ)が生まれたところで、あまり大きくはないが、街中に銅像が建っている。ガーシュインが多くの名曲を作ったように、ララにも名曲が数多くある。中でも有名なのは“Solamente Una Vez”(ソラメンテ・ウナ・ベス、「ただ一度」の意)で、ラテン好きな人でこの曲を知らない人はいない。
ところで、ベラクルス州の州都はベラクルスではなく、内陸の Xalapa(ハラパ)である。メキシコのスペイン語のつづりは結構難しい。普通ならjでつづるところを xで書いたりする。「ハラパ」という地名はメキシコのほかのところにもあるが、Jalapaとつづっている。この Jalapa の形容詞形(「Jalapaの」の意)が、いまや日本でもおなじみのあの Jalapeño(ハラペーニョ)である。ベラクルス州の州都のハラパが原産地である。ここは観光地ではないので、ベラクルスに行く途中、ちょっと立ち寄ったことがあるぐらいである。
さて、ロックンロール版「ラ・バンバ」のオリジナルはリッチー・バレンス(Ritchie Valens)だが、写真を見ると、いかにもずんぐりむっくり(pancho)のメキシコ人タイプである。大リーグのドジャースのメキシコ人左腕投手で、筆者がコスタリカに行った年に、ルーキーとして大活躍していた、Valenzuela(バレンスエラ)に似ている。ひょっとして、本名は Ricardo Valenzuela ではないかと思って調べてみたら、やっぱりそうだった。フルネームはリカルド・エステバン・バレンスエラ・レジェス(Ricardo Esteban Valenzuela Reyes) だった。
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