阪神タイガースのマルテ選手(Jefry Leonal Marté Paulino)の父の父姓は Marté である。日本語では「マルテ」(「マーテ」、「マーテイ」という表記も)だが、アクセントは「マ」が高く発音されている。ということで、スペイン語でも英語でもアクセントは Mar にあるものと思っていた。
実際、Marte という、アクセント記号のない姓もあり、これは Mar が強く発音される。
“Historia Apellidos españa”によると、スペインでのランキングは4095位。決して多くない。世界的な分布を見ると、絶対数でも人口比でもドミニカ共和国が多い。絶対数1位のドミニカ共和国48825人に対して、スペインは5位につけているものの1300人である(“Forebears”による)。
Marte は「ローマ神話の軍神のマルス」という意味が第一義だが、「火星」という意味もある。
さらに、意味が広がり、「戦争、戦士」、「(錬金術で)鉄」という意味にもなった(小学館『西和中辞典』より)。
それでは、Marté はどうであろうか。“Forebears”によると、世界にたった2人しかいない。ドミニカ共和国に1人と米国に1人である。マルテ選手はメジャーリーグのデトロイト・タイガースとロサンゼルス・エンジェルズにも在籍していたので、米国の1人とは、このマルテ選手のことではないだろうか。
世界にたった2人しかいない Marté 姓は世界ランキング10,609,428位という、超レアな姓なのである。
ところで、Marté にはどんな意味があるのだろうか。martar という動詞があれば、その活用形(直説法点過去1人称単数)になるのだろうが、あいにくそんな動詞は見当たらなかった。
辞書を見ていたら、Martí という項目があった。固有名詞だが、辞書に載るほどの有名な人物である。キューバの詩人で、「キューバ独立の父」と呼ばれる José Martí(ホセ・マルティ)である。
ひょっとして、マルテ選手の姓 Marté は偉大な人物 José Martí に肖って、あえて語尾にアクセント記号(tilde)をつけたものなのだろうか。それとも、Marte の e の上に汚れでもあって、それがアクセント記号と間違えられただけなのだろうか。
なお、Marti というアクセント記号なしの姓もある。世界ランキングでは Martí の269,494位に対して、Marti は6723位である(“Forebears”より)。
よろしくね
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ
スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。