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2018年ワールドカップ(Copa Mundial)コロンビア代表のイスキエルド選手

2018-06-22 21:15:35 | 名前
 日本が強豪コロンビア(Colombia)に勝った。めでたい限りである。
 コロンビア代表選手の中には面白い姓の選手もいた。まずは、イスキエルド選手。
 
 ウィキペディア「ホセ・イスキエルド」によると、フルネームは「ホセ・エリベルト・イスキエルド・メナ」 (José Heriberto Izquierdo Mena)。
個人名は José Heriberto、父の父姓が Izquierdo、母の父姓が Mena である。
 個人名の José は英語の Joseph に相当するが、何度も触れているので、詳細は省く。Heriberto は初めて聞く名前である。スペイン語版ウィキペディア“Heriberto”によると、ゲルマン起源の名前で、 «el brillo del ejército», «el resplandor del ejército»(「軍隊の星」といったところか)という意味らしい。
ejército をサッカーのチーム(equipo)に置き換えて、「チームの星」のような活躍が望まれる。
母の父姓 Mena は“Historia Apellidos”によると、スペインでのランキングは第249位。珍しくはない。“Blasonari”というサイトによると、Mena 姓は地名由来だそうである。mena はバスク語で、スペイン語の“mineral, “vena de mineral”の意だとか。mineral は英語も同形で、vena は英語の vein(静脈)の関連語である。ただし、この場合は「静脈」ではなく、「鉱脈」の意味である。
家紋は次のとおり。
  
 【“Escudo de la familia Mena” より】
 さて、父の父姓の Izquierdo は「左」という意味である。日本にも「左」さんはいる。「名字由来net」によると、全国でおよそ410人いるそうで、ランキングは14141位である。日本ではかなり珍しい名前である。
 スペインの「左」さん、Izquierdo さんはスペインでのランキングは、なんと104位。ずいぶん多い。ただし、筆者には Izquierdo さんという名の知り合いはいない。フランス語では「左」は gauche(ゴーシュ)である。「セロ弾きのゴーシュ」はフランス語の gauche から来ているという説もある。
 「左」が出てくると、当然「右」も気になる。 上記のサイトによると、「右」さんは全国でおよそ20人。ランキングは69810位である。「左」よりもずっと少なくなる。
 では、スペインではどうか。「右」はスペイン語では derecho である。“Historia Apellidos”によると、Derecho さんはスペインでは22545位。Izquierdo さんが104位なのに対して、天と地ほどの開きがある。
 なぜ、「左」(Izquierdo)さんのほうが多いかというと、左利きの方が少数派で、ニックネームになりやすいからではなかろうか。ただ、「左利き」という意味の zurdo(スルド)という語もある。これも姓になっていて、スペインでのランキングは2277位である。単に「左利き」だったら、ニックネームとしては izquierdo(左)ではなく zurdo(左利き)の方がふさわしいと思うのだが。
 ところで、小学館『西和中辞典』の izquierdo の項には次のような熟語が載っている。
 tener mano izquierda(口)手腕がある、手抜かりがない
 levantarse con el pie izquierdo (口)朝からついていない、一日中へまばかりする
 イスキエルド選手にはへまばかりしないで、抜かりなくプレーしてもらいたいものである。
  
 【Izquierdo 家の紋章“Escudo de la familia Izquierdo”より】

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