ドンドンこにしの備忘録

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「鬼子」 新堂 冬樹 読了!

2014年08月13日 00時56分09秒 | 作家 さ行
「鬼子」(上・下)[幻冬舎文庫] 新堂 冬樹 (著)  2014.8.5読了 。

売れない作家の袴田勇二は、同居していた母の民子が死んで以来、急に暴力的になった息子の浩に翻弄され続けていた。妻の君江までよそよそしくなったばかりか、袴田の唯一の味方だった娘の詩織が浩の不良仲間に凌辱され、完全に家庭崩壊の危機に直面していた。いったいなぜ、素直な息子が悪魔に豹変したのか?稀代のストーリーテラーの新境地。

袴田は編集者の芝野から息子の浩の悪行と家庭崩壊のすべてを暴露するノンフィクション『鬼子』の執筆を迫られていた。断れば作家生命を失う。本を出せば生き恥をさらす。収入源も断たれ苦悩するが、娘の詩織が自殺し、完全に地獄に突き落とされる。それでも浩の暴拳はエスカレートし、ついに息子殺しを決意する。最後まで目を放せない衝撃作。

新堂/冬樹
1966年生まれ。金融会社勤務を経て、現在は都内各所でコンサルタント業を営む。第七回メフィスト賞受賞作「血塗られた神話」(講談社ノベルス、講談社文庫)でデビュー



まあ、新堂さんの小説でこの手の主人公の場合は、病的に勘違い野郎の可能性が高いので、たぶんこんなことなんだろうと予想はついた。急に良い子の長男が時を同じくして母親とともに変になるというのは、まあこんなんだろう。
また、一番善人っぽい登場人物は得てしてとんでもないろくでなしだったり、切れ者であったりというパターンが多いので、この物語に登場する善人も陰でなんかやってんだろうとは思っていたが…すべての顛末を書くわけにはいかないので、アレだけど、あの小説のアレは出来すぎというか無理があるというか、急に書けるもんかな? だから思いもよらなかっよ。反則っぽいからしょうがないけど。
ほんと、この小説は、主人公のアホさ加減に笑わされて、壮絶な家庭内の状態に驚かされて、ちょっと(ちょっとね)泣かされる、インパクトのある小説でした…8点。(新堂さんのなかのマイベスト3に入れとくよ)