Tは当初から背景に、男性の後姿を配することを考えていた。過去にもアダージョでは、着物の姿の女性に二度共演してもらったが、今回は労働する男の背中が必用である。そこで、日ごろT屋やK本の常連あたりをなんとなく物色していた。日々の労働のおかげで、様々な表情を持った背中がいくらでもある。とはいっても15万部出ていて、ハケ率ほぼ100パーセントに近いアダージョの表紙に登場してもらうわけであるから、誰でも良い、というわけにもいかない。そうこうして思いついたのが、同じマンションの階下に住むYさんである。私の想定している人物と同じ仕事を経験しているし、小学生の頃、将来Tのような仕事をしたいと、Tに手紙を出したことがあるというではないか。まさにうってつけである。そこで何かの折に、その話をしておいたのである。ところが制作も佳境に入ってきた今日この頃。昨日も書いたように、画面に要素が多く、デザイナーとも画面上のスペースについて、事前に打ち合せが必要な状態である。つまりこの上何かを加えるのは、厳しい状態になってきている。 Yさんは携帯電話は昔から使用しているが、最近ようやくメールを始めた。そして三日と空けず電話かメールが来る。「あれはどうなりました?」「ああ乱歩展ですか。搬入も無事すみました。是非観に行ってください」。「アダージョの方は?」「あ、そっちですか・・・。」 というわけで、締め切りよりも、別なものに追い詰められつつある私である。私はなんであの時、あんな余計なことをいってしまったのであろうか。それが本日の雑記のタイトルである。
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