明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



志ん生制作中に手が止まる。私からすると人形はできるだけ無表情が良く、動作もほとんどない方が良い。見る側からすれば想像力の働く余地があるだろうし、被写体として考えても、どうこうしているところより、撮影のしようが広がるからである。志ん生は多少表情があるが、晩年の病気で倒れた後の志ん生で、高座で膝の上に両手をただ置いている。という予定であった。しかし志ん生といえば酒である。酒を口に運ぼうとしている格好をさせたい、という気が押さえがたくわいて来る。作りたいのを我慢し、髪を切ったりして、時間をつぶしながら胸に手を当ててみると、どうやら志ん生のCDを流し、酒を飲んでいる志ん生を眺めながら酒を飲んでみたい、という“邪念” が迷わせているようである。そんな趣味に作品を付合わせるわけにはいかない。初志貫徹。ただ正座している怖い顔のお爺さんでいくことにする。

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