明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



最近始めた手法は、最初に陰影を排除することから始めた。次に遠近感をかつての日本的平行遠近法に、と試行錯誤しているのだが、これには陰影がないことが最低条件であろう。私はいい加減な割に律儀なところもあり、そうするからにはそれまでのことを捨て、今後すべてそれでいくべき、と考えてしまうのだが、陰影を描きたくない時は描かず、描きたい時には描く、という日本画の柔軟性を知るにつけ、私も少々学んだ。小学校の3、4年のとき、湖面に映るボートの影を描いて、なんでこんな物を描いた?と教師に問いつめられ『だってそうなってた』。と思った私である。散々馴染んだこの世に未練もある。そこに夜営業している寄席があれば外に漏れる灯りを表現してみたいし、行灯を置けば、それが描く灯りと作り出される陰も表現してみたい。例えば新版画の川瀬巴水のように人間を風景の中に描く時と人物を大きく描く場合は陰影の扱いは違う。そこは別世界とはっきりと分けている。私もそうすることにした。ただし1つの画面の中に矛盾があってはならない。

※『拝啓つげ義春様』
 (後期)21017年10月21日(土)~11月5日(日)『ゲンセンカン主人』展示
ビリケンギャラリー
 住所:〒107-0062 東京都港区南青山5-17-6-101
 TEL:03-3400-2214
 営業時間:12:00 ~19:00(月曜休)
 ホームページ:http://www.billiken-shokai.co.jp/

※『タウン誌深川』25日“明日できること今日はせず”連載5回「芭蕉の実像」

※深川江戸資料館にて九代目市川團十郎像を展示中。11月12日まで。

HP

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