明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



先日作ったのは全11人と書いてしまったが14人であった。相変わらず数字にいい加減である。現在私が手掛けているのは如何なる物なのか、知ったかぶりをするためにも確認しておきたい。 水墨画が中国から伝来する前、平安から鎌倉にかけて宮廷に仕える公家の絵師による公家に似せた〝似せ絵”が描かれた。また、それまでは多くが想像で描かられて来たのと違い、実見した高僧を迫真的に描いた彩色画〝頂相”(ちんぞう)が描かれる。私が参考にした曽我蛇足の一休宗純などがそうだが、禅宗でも特に臨済宗により盛んに描かれて来たことを知らず、この一休も、寒山拾得と同じ臨済宗だ、と偶然と思い込んで手掛けていた。恥ずかしい話だが、作ってしまえばこちらのもの、知らなかったこともメリットにカウントしている。 そうこうして新興仏教、禅宗が中国より持ち帰ったのが水墨画で、中でも私がモチーフとしているのが、道教また仏教に関する人物をモチーフにしている〝道釈人物画”ということになる(私はあくまで人形作って写真に撮るのだが)こうして改めて考えると、一体私は何をやっている?と思わないでもないが、デイアギレフがコクトーに「私を驚かせてみろ」と言った。私は私自身を驚かせたい、とは常々思っているが、他人はともかく自分を呆れさせてみよう、とまでは思っていない。いよいよ私も未知の領域に踏み入ろうとしているのかもしれない。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )