あるのですよう。
なぜでござ~♪~ますか?
卑弥子さんも言ったけれど、額田女王と鏡王女は有名なのですよう。ところが、それ程有名なのに、この二人については出生がぼかされている。つまり、分かっていないのですよう。当たり障りの無い解釈がなされている。それで、この二人は姉妹だろうと言われていた。
でも、そうではないのですか?
鏡王女は額田女王の姉という説がこれまでの通説だったのですよう。でも、『日本書紀』には二人が姉妹だという記述はなく、確証はないのですよう。そのため、最近では二人の姉妹説を積極的に支持する研究者はいなくなってきているのです。
つまり、どこの馬の骨だか分からないと言うことでござ~♪~ますか?
一口で言ってしまえば、そう言う事になるのですよう。鏡王女は最初、天智天皇の妃だったのですよう。その後、藤原鎌足の正妻となっている。『日本書紀』の天武天皇12年7月の項には、天皇が鏡王女の家に見舞いに行ったと書いてある。その翌日に亡くなった事が分かっているのですよう。この鏡王女の歌は『万葉集』に四首が収録されている。天智天皇・額田王・藤原鎌足との歌の問答が残されている。でも、これだけ重要人物なのに、詳しい出自は全く分かっていないのですよう。額田女王も謎の多い女性だけれど、鏡王女の素性は額田女王以上に謎に包まれているのです。
なぜでござ~♪~ますか?
書きたくても詳しく書けなかったのですよう。
どうして。。。?
詳しく書いたら、当時の藤原政権ににらまれてしまうからですよう。首が飛んでしまう。万葉集の編者と考えられているのは大伴家持だけれども、この人は藤原氏の政権に対して批判的だった。実際に反政府事件に絡んで罰せられた事もあるほど反骨精神を持っていた。
。。。んで、その反政府派の大伴家持が万葉集の中で暗に藤原政権を批判しているとデンマンさんはおっしゃるのでござ~♪~ますか?
その通りですよう。でも、あからさまに藤原政権を批判する事はできない。それで、当たり障りの無いように、愛の歌、恋の歌として万葉集に載せているのですよう。
つまり、上の鏡王女と額田女王の歌は、良く読むと政治批判の歌になっている。。。そうデンマンさんはおっしゃるのでござ~♪~ますか?
その通りですよう。
たとえば、どのように。。。?
額田女王が上の歌を詠んだのは天智天皇9年(西暦670年)のことです。その前の年の12月に大蔵に火災があった。同じ冬に、斑鳩(いかるが)寺にも火災があった。
それは大火事だったのですか?
小火(ぼや)程度であったらしい。でも、この火災を見逃す事だできないのですよう。
どうしてですか?
当時、天智天皇の人気は底をついていたのですよう。厭戦気分が広がります。それを煽り立てるのが大海人皇子(後の天武天皇)を始めとする新羅派です。
つまり、放火の可能性があったと。。。?
そうですよう。火事があった頃、筑紫より唐人の郭務宗(かくむそう)ら二千余が来航したとの報せが入った。これを聞いた天智天皇は、前の年の八月に考えていた高安城の修理を急がせ、畿内より祖として納められた稲を、同城に蓄えさせた。
また、唐との戦争があるかもしてないと天智天皇は思っていたのでござ~♪~ますか?
その通りですよう。でも、二千余というのは誤報か誤記だったらしい。実際は数百の規模であり、しかも短期間の滞在だった。外交交渉で大きなトラブルを避けたらしい。
どうして、そのような事が分かるのでござ~♪~ますか?
郭務宗(かくむそう)たちが帰ってゆく船に、第六回目となる遣唐使が便乗したからですよう。でも、天智天皇はそれで安心しては居なかった。猜疑心のある人でしたからね。
唐と戦争になる事も考えていたのでござ~♪~ますか?
そうなのですよう。670年の春になっても、前の年の冬以来の高安城の修理を続けていた。さらに食料の穀と塩とを積み増した。また長門国(ながとのくに)に一城、筑紫に二城を築いたのですよう。
でも、結局、唐との戦争は無かったのでござ~♪~ますわね。そうでしょう?
なかった。大海人皇子(後の天武天皇)を始めとする新羅派にとっては、がっかりだったかもしれない。
どうしてでござ~♪~ますか?
世の中が不安になれば、天智天皇政権は崩壊させやすいからですよう。でも、新羅派は暗躍を続けていたらしい。
どうして分かるのでござ~♪~ますか?
旧暦、夏の四月の晦日の夜明け、法隆寺が炎上したのですよ。この法隆寺とは斑鳩寺のことです。
すでに、小火(ぼや)がありましたよね?
そうですよう。これだけ続けて起きたのだから、放火としか考えようがないのですよう。つまり、小火(ぼや)では効果が無いので、このときは、大掛かりに燃やしてしまった。平成16(2004)年の暮れ、焼けた壁画の破片が出土して、焼け落ちたことが、考古学的に実証されています。
しかし、このような事と額田女王が関係あるのでござ~♪~ますか?
額田女王は放火事件に直接関係していません。でも、次のような事があった。6月になって甲羅(こうら)に“申”の字が描かれた亀が獲えられた。それを聞いた額田女王は、親しい人に次のように語ったのですよう。
今年は庚午(こうご)、従って来年は辛未(しんぴ)で、
再来年は壬申(じんしん)、つまり申の年で、
この年に“申”の字さながらに、
日を貫(つらぬ)き割(わ)り、
天地を逆にするような大変なことが起きる。
そんな年となります。これを何とか防ぎたいが…
つまり、壬申の乱を予告しているのでござ~♪~ますわね?
そうですよう。誰が読んでもそのように感じ取りますよう。この話を天智天皇は、ウワサで耳にして久しぶりに額田女王を訪ねようと思った。
。。。んで、訪ねたのでござ~♪~ますか?
当時、天智天皇は、個別に新羅に対しても外交策で問題解決の道を探っていたらしい。それで、新羅へ使いを遣る準備で忙しかった。
額田女王訪問は、延び延びになったのでござ~♪~ますか?
そうです。一日延ばしに延び、一時はどうなることかと思えたが、万障繰り合せた結果、ようやく秋8月15日の夕刻に訪問ということとなった。
。。。んで、天皇は額田女王にお会いしたのでござ~♪~ますか?
額田女王が、天智天皇を待っていたら、ほかならぬ鏡王女がやって来たというのですよう。
それで詠んだ歌が上の2つの歌でござ~♪~ますか?
そう言う事ですよう。
。。。んで、結局、額田女王は天智天皇に会えなかったのですか?
キャンセルになったようです。
でも、上の歌がどうして天智天皇政権批判の歌なのでござ~♪~ますか?
これまで僕が説明してきた歌の背景を読んでも、卑弥子さんには理解できないのですか?
だってぇ~。。。歌そのものには批判の意味が込められていないと思いますわぁ~。
だったら、僕がどう解釈したかをここに書き出しますよう。読んでみてください。
君待つと
わが恋ひをれば
わが屋戸(やど)の
簾(すだれ)動かし
秋の風吹く
額田王
万葉集 巻第四・488
久しぶりに愛しいあなたにお会いして、
あの不吉な“申”を背負って出てきた亀のお話を
お聞かせしようとしているのに、
あなたは聞く耳を持たずに
大防衛網を構築なさっている。
でも、巷(ちまた)には怨嗟(えんさ)が
満ちているのです。
あなたにとって怨嗟の声は
簾を動かしながら、
私の宿を吹き抜けて行く
秋風のようなものなのでしょうね。
風をだに
恋ふるは羨(とも)し
風をだに
来(こ)むとし待たば
何か嘆かむ
鏡王女
万葉集 巻第四・489
その通りですわよう。
愛しい人を思うあなたの気持ちは良く分かります。
でも、あの方は、巷の怨嗟を聞く耳を
持たないようです。
巷の怨嗟は簾を動かす秋風のようにむなしく
吹き抜けてゆくばかりです。
でも、やがて怨嗟の声が無い
世の中が来ると思えば、
それ程嘆く事もありませんわよう。
僕は、時代的、政治的な背景を考えて、このように解釈したのですよう。卑弥子さんはどう思いますか?
【卑弥子の独り言】
ですってぇ~。。。
なんだか、こじつけのようにも思えるのですわよね。
でも、亀のお話を持ち出してきて、
額田女王に壬申の乱を予告させている箇所を読むと、
政治的な批判の目を感じる事もできます。
あなたは、どう思いますか?
とにかく、あさっても面白くなりそうでござ~♪~ますわ。
あなたも、どうか、読みに戻って来てくださいましね。
じゃあ、また。。。
ィ~ハァ~♪~!
メチャ面白い、
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こんにちは。ジューンです。
額田女王は謎の多い女性ですけれど、
小説などを読むと、絶世の美人として
書かれていますよね。
でも、額田女王に関する記述は
極めて少ないのだそうです。
しかも、その容貌について物語る史料は
全く無いのだそうです。
梶川信行さんが書いた
『創られた万葉の歌人 額田王』によれば、
彼女の容貌については上田秋成が
『金砂』で書いたのがその初めだと言うことです。
額田女王が歴史上有名な二人の男性に愛された事から、
「絶世の美人」のイメージが
後世になって付け加えられたそうです。
ともかく、この「美人伝説」には根強いものがあるようです。
梶川さんが、「額田が美女であるとの根拠はない」
と発言をしたところ、
聴衆から食ってかかられたことがあると言う事です。
ところで、英語の面白いお話を集めました。
時間があったら覗いてみてくださいね。
■ 『あなたのための愉快で面白い英語』
では、今日も一日楽しく愉快に
ネットサーフィンしましょうね。
じゃあね。
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