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ある公爵夫人の生涯

2013年04月20日 18時05分29秒 | 洋画2008年

 ◇ある公爵夫人の生涯(2008年 イギリス、フランス、イタリア 110分)

 原題 The Duchess

 staff 原作/アマンダ・フォアマン『Georgiana : Duchess of Devonshire』

     監督/ソウル・ディブ

     脚本/ソウル・ディブ ジェフリー・ハッチャー アナス・トーマス・イェンセン

     撮影/ギュラ・パドス 美術/マイケル・カーリン 音楽/レイチェル・ポートマン

     衣装デザイン/マイケル・オコナー ヘアーデザイナー/ジャン・アーチボルド

 cast キーラ・ナイトレイ レイフ・ファインズ シャーロット・ランプリング ドミニク・クーパー

 

 ◇1774年6月6日、ジョージアナ、結婚

 ジョージアナ・キャヴェンディッシュことデヴォンシャー公爵夫人が生まれたのは、

 1757年6月7日だそうだから、結婚した翌日に17歳になってる。

 にしても、たった17歳で英国屈指の名門に嫁がされるってのは、

 現代のぼくらから見ると、ちょっとばかし酷かもっておもっちゃう。

 恋愛の経験もないだろうし、まだまだやっぱり子どもだもんね。

 それはさておき、ジョージアナの生涯はなかなか波乱万丈だ。

 だんなの公爵がちょっとばかし女好きすぎたのか、

 女召使を孕ませてしまったもんだから、生まれた娘の養育もしないといけなかったし、

 ジョージアナの親友のエリザベス・フォスターを愛人にしちゃったために、

 24年間も3人で暮らさないといけない羽目になり、

 くわえてエリザベスは、この間に、1男1女を産んじゃってる。

 なんだか『華麗なる一族』をおもいだしちゃうけど、ともかく、公爵、すごいです。

 とはいえ、ジョージアナもなかなかのもので、

 人並み外れた美貌と知性でもって社交界の花になって、一大サロンを形づくり、

 チャールズ・グレイ伯爵(紅茶のアールグレイで知られた、後の首相ね)と不倫して、

 娘をひとり産んじゃった。

 この娘は、グレイ家にひきとられちゃうんだけど、

 だんなとの間にも、ふたりの娘とひとりの息子を産んでるし、

 それよりなにより、選挙と飲食と賭博が大好きだったみたいで、借金まみれだったらしい。

 これがそのまま映像化されてたら、なんだか、すさまじい映画になったんだろうけど、

 この映画は、ジョージアナの不倫を中心にして、綺麗かつ儚く撮られてる。

 ま、めりはりのきいた顔と態度のキーラ・ナイトレイが超豪華な衣装をまとってるし、

 そうしたところは目の保養にはなるんだけど、

 夫に愛されず、単に世継ぎを産むためだけの道具のように扱われ、

 くわえて親友を愛人にされたばかりか同居までさせられることに耐え切れず、

 真実の愛を求めて不倫に走り、それを認めてほしいと嘆願したら、

 その台詞が逆鱗に触れてしまったのか、暴力的に犯されて、

 もう産みたくもなかったはずの夫の子を身ごもり、まわりの期待どおり男の子を出産する、

 っていう展開は、ああ、そうか、そういうことだったのかって感じで、なんだか息苦しい。

 さらに、夫の愛人になって一緒に住んでる親友はあいかわらず優しく接してくれるし、

 一連の不倫劇を経てから、

「おまえの苦しみは理解していたのだよ、わたしも」

 ってな態度で夫が接っしてきたことで、なんだか、心底からの悪人はいないって感じで、

 結局は、

「王室には絢爛豪華な暮らしとひきかえに真実の愛には恵まれない時代があったのだよ」

 とか聞かされてるような気も、ちょっとだけ、した。

 まあ、考えてみれば、どこの国だって似たようなもので、

 名門の血を継がせるための生殖がいちばんの役割という立場は、なんだか哀れだ。

 ただ、どうだかなあ、彼女の悲しさや儚さは十分にわかるし、不倫する気持ちもわかるし、

 不倫相手の子を身籠りたいだろうし、でも産んだら産んだで引き裂かれる辛さもわかる。

 だけど、

 ジョージアナの人生が真実の愛を求めてるだけなように見えちゃうのは、ちょっとね。

 現実の彼女は、彼女なりに頑張って生きてるんだから、

 もうすこし生き生きさせてほしかったな~とかおもうのよね。

 あ、ちなみに、

 だんなの飼ってる2匹の犬は、ジョージアナとエリザベスの暗喩かしら?


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