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ゴジラ(1984)

2014年09月10日 20時22分31秒 | 邦画1981~1990年

 ◎ ゴジラ(1984年 日本 103分)

 英題 The Return of Godzilla

 staff 製作・原案/田中友幸 協力製作/田中文雄 監督/橋本幸治 特技監督/中野昭慶 脚本/永原秀一 撮影/原一民 美術/櫻木晶 ショッキラス&スーパーXデザイン/井上泰幸 コンピュータグラフィックス/土屋裕 映像協力/坂田俊文 特別スタッフ/竹内均、青木日出雄、大崎順彦、クライン・ユーベルシュタイン、田原総一朗 助監督/大河原孝夫 音楽/小六禮次郎 主題歌/ザ・スター・シスターズ、作詞:リンダ・ヘンリック、作曲編曲:小六禮次郎 挿入歌/沢口靖子、作詞:荒木とよひさ、作曲:三木たかし

 cast 小林桂樹 田中健 沢口靖子 宅麻伸 小沢栄太郎 内藤武敏 金子信雄 加藤武 鈴木瑞穂 織本順吉 御木本伸介 小泉博 村井国夫 佐藤慶 かまやつひろし 森本毅郎 石坂浩二 武田鉄矢 夏木陽介

 

 ◎特撮とボク、その52

 放射能を中和するカドミウム溶液弾って、なんだ?

 という疑問は浮かぶものの、それ以外ではまあなんの違和感もなく、ひさしぶりにまともなゴジラに再会できたって感じはしてる。物語の設定としては、1954年から30年ぶりに現れたことになってるけど、オキシジェン・デストロイヤーによって東京湾の藻屑になった初代の次に、二代目がアンギラスと戦ってるわけだから、ゴジラの正当な設定を考えるなら、氷山に埋もれていたゴジラでなければならないはずが、大黒島の爆発によって目覚めたのではないかという推論がなされるのはちょっとおかしいような気がするんだよね。

 で、ゴジラが静岡県の井浜原発を襲うんだけど、原子力をエネルギーにするって、なんだ?

 という次なる疑問が浮かぶ。ゴジラって、原水爆の実験によって目覚めたものの、それで巨大な爆発で目が覚めて、放射能を浴びたせいで突然変異をひきおこして巨大化したんじゃなかったっけ。となれば、ゴジラが放射能を必要とするようになったのは、生きるための栄養源として体内に放射能を蓄積させておかなくちゃいけなくなっちゃったからなんだろうか。で、ときどき熱線として噴出させることもあるわけなんだろうか。そのあたりの疑問がどうしてもぼくには解けない。今回もまた解けなかったんだけど、ただ、ゴジラの場合、移動していくときに微量な放射能は残していくんだけど、それはどうやら人体にはさほど影響がない被曝量ってことかしらね。それはたぶんそうで、フナ虫は数百倍に巨大化してショッキラスっていう怪物にはなっちゃってるけど、人間はそうでもないらしい。

 でもって、ゴジラの帰巣本能って、なんだ?

 ゴジラはそもそも水爆実験によって目覚めたんだけど、そのとき帰巣本能によって呉爾羅大明神として祀られていた小笠原諸島の大戸島へやってきた。それは水爆の恐ろしさから逃げるためでもあったかもしれないし、島民を頼ったつもりが怪獣の襲来とされてしまい、ついには骨にされてしまったのかもしれないんだけど、ともかくも、ゴジラが帰巣するとすれば大戸島かビキニ環礁しかありえない。にもかかわらず、なんで帰巣本能を刺激されて三原山に誘い出されるのか、ぼくにはよくわからない。

 まあ、そんな疑問は浮かぶものの、あくまでも非核三原則を前面に打ち出した日本政府の姿勢は好しとしたいし、すぐにアメリカのせいにしたがるソ連の横暴さもあんなものだろうし、核ミサイルの脅威を感じる部分もちゃんと描かれてるし、いちばんの疑問のカドミウム溶液弾なるもので動かなくなっていたゴジラが核ミサイルが粉砕された際の放射能の放射によって蘇生するっていうのもわかるんだけど、それじゃあ日本の国土はかなり放射能に見舞われてるんじゃないかっていうさらなる疑問も残ったりする。どうにもこうにも、ゴジラのシリーズにおける放射能の扱いはちょいときつい。

 さらにいえば、三原山の火口に消えていくゴジラってどうよっていう気にもなる。ラドンがそれで斃されてるんだからゴジラはもうちょい別な最期を考えてほしいっておもうのはダメなのかしらね。ただ、ゴジラの造形はかなりの部分、初期に戻されてるんで、それはそれでよかったけど、やっぱり眼がかわいいんだよな~。

 いずれにせよ、ここでゴジラはある程度、完結してるわけだから、この後、昭和時代とおなじようなシリーズ化がされたのは少しばかり残念ではあるんだけどね。どうせならミレニアムまで飛ばしてほしかったかも。


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