狷介不羈の寄留者TNの日々、沈思黙考

多くの失敗と後悔から得た考え方・捉え方・共感を持つ私が、独り静かに黙想、祈り、悔い改め、常識に囚われず根拠を問う。

戦後米国的民主主義、経済至上主義により失われた日本の美と、阿波・祖谷・・・「美しき日本の残像」を読む

2016-05-08 07:08:06 | 歴史・伝統・文化
 「美しき日本の残像」(著者:アレックス・カー氏、出版社:朝日新聞社、出版日:2000/10/01)を読んだ。
 バブル景気(1986年(昭和61年)12月から1991年(平成3年)2月まで)の後のバブル崩壊(1990年(平成2年)2月21日、一般的には1991年(平成3年)3月から1993年(平成5年)10月まで)の景気後退期に雑誌「新潮45」に2年間連載されたものを纏めて単行本にし、それを後に文庫化した本書。
 そのバブルに象徴される様に、日本の戦後におけるアメリカ的民主主義、個人主義、経済至上主義、自然破壊、伝統・文化の退廃、道徳の荒廃、日本の古来からの価値観や美意識の衰退等の現状を、日本通であり日本古来の美術・芸術・自然・風俗を愛した著者が、その現状への憂えを著わしている。
 阿波・徳島の祖谷茅葺屋根の家を建てて住むが、付近は都会と同様に、看板や電線、コンクリート、鉄塔が建てられている。祖谷には蔓橋剣山が在り、平家の落人赤旗が遺る。祖谷には昔から山の上の方に家を建てる風習が在る。他の地域の山では、神社や寺が建てられる他はタブーとされている。祖谷の人々は地元の人の事を「上の人」、外の人を「下の人」と呼んでいる。祖谷の人は昔から「独立心」が強く、御上に対し抵抗して来た。
 その後、京都・亀岡の神社の境内にある、築400年程の日本建築の空き家にも住む。しかしその付近も、アパートやパチンコ店などが立ち並ぶ。
 歌舞伎と交流を持ち、日本古来の美術品のコレクターとして活動する。
 祖谷の自然の中に住み、世間・社会・都会から離れた山奥の田舎で、隠居するように生活して閑居し、静寂、落ちつき、暇、ゆとりに佇む。そして、無、簡素、質素、侘び寂び、静寂の中に在る自然の音、木の文化に美意識を感じる。自然の中でゴルフやスキーをするのでも無く、読書や詩吟をする他は、何もしないでそこに佇む。
 ところで、日本の現教育は「平凡」な人を作ろうと努めている。個性やユニークさを否定して、生徒が皆画一的に成る様に育てようとしている。その事が、芸術、美術、工芸等の創作の衰退に影響を与えている。
 因みに、阿波・祖谷は不思議な所である。山上には民家の他、昔からの多くの人工池が存在している。九州説や畿内説ばかりがマスコミで取り上げられるが、実はその阿波にこそ、大和朝廷の基である邪馬台国が存在したのである。

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  ・2014/01/26付:「多くの中国史書を根拠に、その邪馬台国についての多くの『特徴』が四国山上の天然自然と一致・・・『邪馬台国の結論は四国山上説だ―ドキュメント・邪馬台国論争 』を読んで」
  ・2014/01/26付:「679年の『吉野宮の会盟』により、大和朝廷発祥地・阿波の隠蔽を行なった『大秘密政策』・・・『古代ユダヤと日本建国の秘密―消えた『ユダヤの秘宝』と四国・剣山の謎』を読んで」
  ・2016/04/17付:「低く暮らし、高く思う」

 参考文献
「美しき日本の残像」(著者:アレックス・カー氏、出版社:朝日新聞社、出版日:2000/10/01)
「美しき日本の残像」(著者:アレックス・カー氏、出版社:朝日新聞社、出版日:2000/10/01)

 

  上図:出典:大杉博著「四国は死国にされていた」
     (経由:宇野正美著「古代ユダヤは日本で復活する 剣山の封印が解かれ日本の時代が始まる」)
        ・・・クリックにて拡大

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