狷介不羈の寄留者TNの日々、沈思黙考

多くの失敗と後悔から得た考え方・捉え方・共感を持つ私が、独り静かに黙想、祈り、悔い改め、常識に囚われず根拠を問う。

カジノ法案、経済(お金)至上主義は精神を退廃・堕落させる・・・日本独自の歴史・伝統・文化・自然景観を売りとする観光が国の品位・誇り・自尊心を保つ

2016-12-12 06:09:27 | 社会・経済
 経済(金銭)至上主義は、精神を堕落させる。
 博打を目的に外国人が日本に観光に来るのであろうか。
 欧米諸国等の真似をしない、日本独自の伝統、文化、歴史的遺物、景観、風土、古来から培われた日本精神によるおもてなしを売りにした観光こそが、日本国の品位、誇り、自尊心を保ち、更には戦後失われかけているそれらを取り戻し回復する事が出来ると思うのである。
 現政権が安定している事は良い事ではあるが、投資や雇用促進を促す経済面における成長戦略の目玉と位置付けるカジノ法案(統合型リゾート(IR)整備推進法案)にしろ、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)にしろ、経済政策の行き詰まりが感じられる。特にカジノ法案の場合、道徳的には全く悪い事と言える博打を政策としている為に、アイデアの尽きた上での末路に思える。
 確かに、日本は社会保障費や防衛費の成長が将来的にもより一層見込まれ、経済成長による税収の成長が必要である。しかし税収に関しては、所得税の累進課税の再強化や、消費税率の引き上げ大企業への法人税率引き上げ等によっても成長が見込まれる。消費の落ち込みや外国企業との競争力に影響が出る等の事からそれらの税率を下げているが、日本の一般市民一人ひとりが、国の歳入の少なさと歳出の多さを自覚してその辺りを許容し、特に富裕層が清貧の精神による贅沢の放棄と公共への奉仕・犠牲の精神を持つべきである様に思うのである。国民一人ひとりの意識改革が必要である。
 成長に伴い破壊が行われる。高度経済成長の頃には自然環境を破壊した。また戦後のアメリカナイズにより、世界一長い歴史を持つ日本国の伝統・文化が廃れ壊されかけ、特に日本の精神・誇り・魂が破壊された。此の度のカジノ法案はその象徴でもあり一層輪を掛けるものと思えるのである。
 カジノに当たるギャンブルは、日本に既に存在している。パチンコ、競馬、競艇、競輪、宝くじ、サッカーくじ、私はそのどれもしないが、事業者、勝った者は、負けた者のお金で儲けて喜んでいるのである。
 そもそも博打は、モラル上、間違った悪いものである。カジノの施行により、既に5百数十万人も存在するギャンブル依存症の増加や、借金・失業・離婚等からの犯罪による治安の悪化、自殺、麻薬、日本の暴力団や海外のマフィアの資金源、マネーロンダリング、そして売春が行われる可能性が高い。また、外国や多国籍企業へ日本のお金が流れていく危険性も含んでいる。
 アメリカでカジノが行われているラスベガスを含むネバダ州は、売春が合法化されている。ラスベガス自体は違法であるが、その近辺・周囲は合法であり、売春へのエスコートサービスが行われている。その他のカジノが行われている国々でも、カジノと売春がセットの様にして関連深く存在しているのである。
 温泉等の観光で泊まるホテル内には、ゲームセンターや居酒屋、喫茶、キャバレー、クラブ等が存り、そしてコンパニオンの接待も存在する。コンパニオンは様々であるが、中には性風俗紛いの接待を行っているものも在る。カジノはそれを公認して大きくするものである。
 そのようにカジノは精神を蝕み退廃させるものであるが、日本のこころを大切にする党は、自民党と日本維新の会と同様に、その党名とは矛盾して推進派である。日本のこころを大切にするのであれば反対のはずである。
 民進党、公明党と同様に、自民党内でも中谷元・前防衛相や西田昌司・参院国対委員長代理、山本一太・元沖縄北方担当相等が反対して賛否が分かれている。問題・課題を多く含んでいるのにも関わらずに早急・強引に進めている事に、危機感・違和感が表れている。保守派の産経新聞も含めたメディアも一斉に、その事に懸念を示している。
 カジノは、ローマ帝国の崩壊の原因となった「パンとサーカス」に当てはまる娯楽である。社会保障やレジャー施設のばらまきによる財政破綻、国民精神の堕落、社会モラルの低下が原因となって崩壊したのである。
 日本は何事も後手後手となりがちだが、シンガポール等の海外のカジノや国内の公営ギャンブル、パチンコは、総体的に収益が下がっているとの事である。海外のグローバリズムの衰退、食品・医薬品・環境指標の基準値・規制の変更等、欧米各国から遅れを取っている。TPPへの対応も、それを多くの識者が指摘している。又、カジノ法案も結局は、グローバリズムに則ったものとも言う。
 もっとも、カジノ法案を推進するのは利権が絡んでいる事も理由にあるのであろう。2016年12月10日付のしんぶん赤旗「カジノ解禁推進法 中東和平の観点からも反対」にての、元国連人権高等弁務官事務所パレスチナ副所長・高橋宗瑠氏のコメントは以下のとおりである。

米国で『カジノ王』と呼ばれるシェルドン・アーデルソン氏は、イスラエルロビーの中心人物で、イスラエルに周辺国への戦争をけしかける戦争屋でもあります。米政府に、イスラエル寄りの政策を要求し、猛烈な圧力をかけるのがイスラエルロビーの人たちです。
 イスラエルがパレスチナを占領し、その土地や水などの資源を収奪し、兵士による暴力や無人機による爆撃・暗殺など人権侵害を繰り返すことができるのは、米政府の後押しがあるからです。
 イスラエルロビーの人たちは、共和党にも民主党にも大口の政治献金をし、イスラエル政府と右派組織とも濃密な関係をもっています。アーデルソン氏は共和党への巨額の献金者としても有名で、トランプ次期大統領へ2,500万ドル(約28億円)提供したと報じられました。
 当初、トランプ氏はパレスチナ問題では中立だと宣言していましたが、途中から態度をイスラエル寄りに変えました。
 アーデルソン氏は、カジノが解禁されれば日本に進出すると公言しています。日本のカジノでもうけたお金が、イスラエルの戦争政策推進のための資金となる危険は十分にあるわけです。」
 「安倍政権は、武器輸出三原則を変更し、イスラエルへの兵器輸出・共同研究に道を開こうとしています。無人機の共同開発を考えているとの報道もありました。
 『日本は中立だから中東では信頼されている』とよくいわれますが、そんな状況ではなくなりつつあると思います。カジノ解禁・推進が、日本の国際社会での立ち位置とも関係する問題だととらえることも必要です。」

 行き過ぎた成長偏重ではなく、地方・過疎・貧困・下層への発展、質素、清貧、足るを知る精神を国民一人ひとりが持ち、贅沢・華美を拒む様になる、その基盤となる精神の改革が、財政規律を高め、国家の存続を維持するものと私は思うのである。低い生活を営みながら、高い思想・精神を抱くのである。それらの事を一人ひとりが自覚する事を促す事に於いて、デフレは決して無意味では無いのである。精神的な面での成熟が必要である。
 最後に、再び三島由紀夫氏の戦後の日本に向けた檄を次に引用する。

 「『経済的繁栄にうつつを抜かし、国の大本を忘れ、国民精神を失ひ、本を正さずして末に走り、その場しのぎと偽善に陥り、自ら魂の空白状態へ落ち込んでゆく』姿、『政治は矛盾の糊塗、自己の保身、権力欲、偽善にのみ捧げられ、国家百年の大計は外国に委ね、敗戦の汚辱は払拭されずにただごまかされ、日本人自ら日本の歴史と伝統を涜してゆく』国となってしまったことを憂い」

 本ブログ過去の関連記事
  ・2012/11/27付:「真実・予見・発明に対する嘲笑・・・ 『カサンドラのジレンマ ~地球の危機、希望の歌』を読んで」
  ・2012/11/27付:「一握りの支配層による「益」と「害」の決めつけの結果の環境破壊・・・『沈黙の春』を読んで」
  ・2013/06/23付:「『アベノリスク』と言う危険・・・『アベノミクス』と『TPP』、国民の資産が米国・ユダヤに流れる」
  ・2013/07/15付:「借金依存からの脱却・・・所得税の累進課税強化等の税収増額が不可欠、但し米国・ユダヤに増額分が流れてしまわない様にする事が必要」
  ・2013/09/01付:「際限無き歳出で借金依存体質は続く・・・借金減額の為でないなら増税は辞めるべき」
  ・2014/12/07付:「世間に迎合する政治家・・・『経済的繁栄にうつつを抜かし、国の大本を忘れ、・・・』」
  ・2015/06/21付:「橋下市長は『パンとサーカス』を欲する高齢者から嫌われ大阪都構想否決・・・大衆迎合によるローマ帝国崩壊」
  ・2016/04/17付:「秩序・モラル・伝統・文化を破壊する保育園・・・女性解放・男女平等・LGBT・同性婚、大衆迎合、共産化」
  ・2016/04/17付:「有名人の覚醒剤使用と世間の人達の欲望への依存は同じ・・・際限ない一時凌ぎ・暇つぶしからの自立の必要性」
  ・2016/04/17付:「低く暮らし、高く思う」
  ・2016/05/08付:「自ら考え学ぶ高い道徳感と真心から健全財政に戻す為の消費税導入を決心・・・『大平正芳の人と政治』を読む
  ・2016/05/08付:「閑寂の中に独立し、心に礎を据え成熟する・・・『孤独の価値』を読む」
  ・2016/05/08付:「戦後米国的民主主義、経済至上主義により失われた日本の美と、阿波・祖谷・・・『美しき日本の残像』を読む」

 参考文献
  ・2014/4/24更新・ウィキペディア:「ネバダ州における売春」
  ・2016/12/03付・神戸新聞朝刊:「カジノ法案、成立の公算 観光戦略への言及なし 政策上の位置付け不透明」等
  ・2016/12/06付・毎日新聞:「カジノ法案 自民内に不満 衆院議長も国会運営に注文」 
  ・2016/12/07付・高知新聞:「カジノ法案に高知1区の中谷元氏は棄権 県内の自助団体も批判」

 引用文献
  ・2016/12/10付・しんぶん赤旗:「カジノ解禁推進法 中東和平の観点からも反対 もうけが戦争の資金に 元国連人権高等弁務官事務所パレスチナ副所長 高橋 宗瑠さんに聞く」
  ・2016/06/01更新・ウィキペディア:「檄 (三島由紀夫)」

 関連文献 (2016/12/15追記)
  ・2016/12/06付・iRONNA:「『カジノ解禁』でぼったくられる日本人」

 参考動画
 

YouTube: 『日本にカジノはいらない①』稲村公望 AJER2016.11.29(9)
 

YouTube: 【施光恒】破滅の道?!「カジノ法案」が危険なワケとは?<2016年12月9日>【報道二郎・保守論NEWS】
 

YouTube: 青山繁晴★シンガポールのカジノは既に破綻している実態を暴露!カジノ法案は自民党内でも賛否両論! #青山繁晴 #有本香
 

YouTube: 上念司★カジノの売上は世界的に下がっている実態を暴露!カジノ法案はなぜ賛否両論あるのか?民進党の狙いは日本を滅ぼす事である! #上念司 #半井小絵


最新の画像もっと見る

コメントを投稿