古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第二十章 乍恐奉申上返答口上覚ひかえ其の三十四

2014年01月24日 14時42分03秒 | 古文書の初歩

 

「乍恐奉申上返答口上覚控え」第六頁、上の七~八行目

 

解読 右者、串本浦幸右衛門方所持之古證文ニ

    有田領奥地ヶ谷之奥、霞ヶ谷之口と

 

読み 右は、串本浦幸右衛門方所持の古証文に

    有田領奥地ヶ谷の奥、霞ヶ谷の口と

 

解説 「右者」・・・右は。右に述べた事は。 「幸右衛門方所持之」・・・『こうえもん』方。「方」には意味がありません。幸え門さんが所有の。人名でよく出る「右衛門」の崩し方に慣れましょう。 「古證文」・・・昔の証書。「證」は旧字体です。 「有田領奥地ヶ谷」・・・「有」と「奥」の崩し方に注意。これだけ回数が多いと自ずから頭に入ります。 「奥」が続けて出ますが、あとの字は崩していません。


第二十章 乍恐奉申上返答口上覚ひかえ其の三十三

2014年01月24日 07時35分34秒 | 古文書の初歩

「乍恐奉申上返答口上覚控え」第六頁、上の五~六行目

解読 彼是申義間違之心得違ニ而御座候との

    義申出候。

読み 彼是申す義、間違いの心得違いにて御座候との

    義申し出候。

解説 「彼是」・・・『かれこれ』。辞書には、「彼此」と載っています。何やかや。あれやこれや。 「申義」・・・申す義。何やかやと言うのは。 「間違之心得違」・・・間違っているし、心得違いでもある。強調した言い方。六行目の最初は「義」です。前行の「義」と同じ字ですが、異なる字の様に見えます。 次は「申出」・・・申し出で。 最後の「ト」の様な字は「候」です。 

この一つ書きの文意は【有田上村から言って来たのは、田並上村から下浦の孫四郎へ売り渡した昔の証文を添付して、串本の幸右衛門が買い入れたという古い証文の文中に、(有田領奥地ヶ谷の奥の霞ヶ谷の入り口)と書き入れていて、役人の印鑑も有るので、当村(有田)領に違い有りません。田並上村領ならば、右の通り認めてくれる筈も無く、更に役人の印鑑も無く、現在は荒れ放題になっていますが、瀧の底まで検地を受け、田畑も有り水の流れもはっきりしているので、谷の内は残らず有田上村領に間違いなく、田並上村からとやかく言うのは間違い且つ心得違いであります、と言って来ました。】

 

 


第二十章 乍恐奉申上返答口上覚ひかえ其の三十二

2014年01月23日 05時02分38秒 | 古文書の初歩

 

「乍恐奉申上返答口上覚控え」第六頁、上の三~四行目

 

解読 尻迄御検地等請ケ、田畑も有之水流相分り

    谷内不残當村領ニ相違無御座、田并上村より

 

読み (瀧之)尻迄御検地等請け、田畑もこれ有り水流相分かり

    谷内残らず当村領に相違御座無く、田並上村より

 

解説 「瀧之尻迄」・・・瀧の底まで。「尻」はこの様な崩しも有ります。戸に丸と見えます。次は分かりにくいですが、「迄」・・・異体字で「乞」の部分が「占」ですが、この崩しでは説明がつきません。 隅々まで検地を受けたと言うこと。 「田畑も有之」・・・「有之」も難解。 「水流相分り」・・・この意味はよく分かりません。 四行目最初の「谷」も分かりにくい。 「当村領」・・・この場合理屈を言っているのは有田上村ですから、「当村=有田上村」です。 「田并」・・・「田並」。


第二十章 乍恐奉申上返答口上覚ひかえ其の三十一

2014年01月22日 07時26分55秒 | 古文書の初歩

 

「乍恐奉申上返答口上覚控え」第六頁、上の一~二行目

 

解読 認入申筈も無之其上村役人印形仕候義者

    無御座、只今山川成荒ニ御座候得とも瀧之

 

読み 認め入れ申す筈もこれ無く、其の上村役人印形仕り候義は

    御座無く、只今山川成り荒れに御座候えども、瀧の

解説 「認入」・・・墨が濃くて読めませんが、形から「認め入れ」と読んでおきます。「認入」という言葉はあまり聞きませんが、或いは他の字かも知れません。「右の通り承認する筈も無く」と言う意味に解釈しておきます。 「其上」・・・「其」も読むのは難しい。  「村役人印形仕」・・・村の役人が印鑑を押すこと。 「候義者無御座」・・・役人が捺印していないことを回りくどく書いています。 「只今」も読むのは困難。 「山川成荒」・・・山も川も荒れている状態。「成荒」も読み方が解りません。 「御座」の次の「候」はほとんど字になっていません。 最後は「瀧之」。

解読 


第二十章 乍恐奉申上返答口上覚ひかえ其の三十

2014年01月21日 04時14分37秒 | 古文書の初歩

 

「乍恐奉申上返答口上覚控え」第五頁、上の九~十行目

 

解読 古證文ニ有田領奥地ヶ谷の奥、霞ヶ谷之口と

    書入、勿論村役人印形御座候得者、當村

 

読み 古証文に有田領奥地ヶ谷の奥、霞ヶ谷の口と

    書き入れ、勿論村役人印形御座候えば、当村

 

解説 「古證文」・・・「右證文」とも見えますが、矢張り「古」でよいと思います。 「有田領奥地ヶ谷の奥」・・・「奥」と言う字が二回続けて出て来ますが、形は違います。下の方が楷書に近い形です。 つまり、有田領は、奥地ヶ谷の奥、霞ヶ谷の入り口までと言う主張になります。 十行目はじめは難しい崩し字ですが、「書入」・・・『かきいれ』です。「書」は形から推定出来ない崩し字の一つです。 「印形」・・・『いんぎょう』と読み、「印形御座候得者」で、「捺印して証明しているので」となります。 最後は「当村」