
WBCスーパーバンタム級タイトルマッチ
メキシコのWBC王者ウーゴ・ルイス選手(Hugo Ruiz) に日本の長谷川穂積選手(Hozumi Hasegawa)が挑んだタイトルマッチは大阪で行われ、長谷川選手が劇的な9回終了TKOで勝利して3階級目となるSB級王座を獲得した一戦でした。
リラックスしていてよく出る右の探り、 スムーズに無駄なく動くステップワークを見せる長谷川選手のスタートの様子からコンディションの良さが感じられた試合立ち上がり。ボディへ伸ばす左ストレートの踏み込みも鋭く、非常に良い流れ、リズムを掴んだ序盤戦でした。
しかし試合の展開を「作って」はいるものの、ラウンドを奪うのに決定的なショットというものは実は少なく、それは公開採点でも明らかになりましたが、4回からはシャープな踏み込みから放たれる左ストレートを再三決めて試合のペースを掌握していった長谷川選手。
5回にはプレスを強めたルイス選手が長谷川選手をロープに詰めてワイルドな左右連打で迫る、というシーンがありましたが、落ち着いて王者の攻撃に対処しながら正確な反撃で対抗してペースを譲りません。
偶然のバッティングによるカットと結構酷い鼻血にも悩まされるルイス選手で、長谷川選手のスピードに大いに手を焼いている様子が見えた中盤戦でした。
それでも8回には右ストレートを何度か決めてペースを引き寄せかけるラウンドも作った王者。そして続く9回に左右で迫ってさらにフォローした左アッパーで長谷川選手を大きなトラブルに陥れる大チャンスを掴みます。 深いダメージを感じさせる長谷川選手が力なくロープに後退したところにさらなる追撃を次々と集めて一気に決めに来たルイス選手。しかししかし、ロープを背にしながら渾身の左ストレート、右フック攻撃による反撃を見せ、ルイス選手を逆に後退させた長谷川選手。一気に勢いが削がれたルイス選手に対して何事か叫びながら左ストレートでさらに迫ったこのラウンドの長谷川選手の戦い、ガッツは本当に見事でした。そして続く10回開始にルイス選手が応じず長谷川選手の約5年半ぶりの王座返り咲きが成し遂げられています。
9回のピンチから見せたの魂の逆襲には震えました。スツールから立ち上がってこないルイス選手、そして勝利をコールされる長谷川選手というこの場面は日本ボクシング史に刻まれる劇的シーンでした。
モンティエルに敗れてから約6年、ジョニゴンに敗れてから5年半、 自分でも想像していなかったほど心震わせてしまっています。35歳になった長谷川選手。本当によくやってくれました。ボクシングファンで良かったと思わせるものを見せてもらいました。
長谷川選手は36勝(16KO)5敗。ルイス選手は36勝(32KO)4敗。
長谷川穂積対ヘナロ・カマルゴ(2013/08/12)
長谷川穂積対フェリペ・フェリックス(2012/04/06)
長谷川穂積対ジョニー・ゴンサレス(2011/04/18)
長谷川穂積対ファン・カルロス・ブルゴス(2010/11/26)
長谷川穂積対フェルナンド・モンティエル(2010/04/30)
長谷川穂積対アルバロ・ペレス(2009/12/18)
長谷川穂積対ネストール・ロチャ(2009/07/14)
長谷川穂積対ブシ・マリンガ(2009/03/12)
長谷川穂積対アレハンドロ・バルデス(2008/10/16)
長谷川穂積対クリスチャン・ファッシオ(2008/06/12)
長谷川穂積対シンピウェ・ベチェカ(2007/05/03)
伝説級の試合の2連発。昨日の興業を現地観戦できた人たちは超絶勝ち組でしょう。
何年経っても自慢できる体験だと思います。
いい試合で感動しました。
9回に効かされて打ち合いに行ったシーンでは、キコマルチネス戦2Rのダウンシーンが蘇るような気持ちで見ていましたが、本当に気迫が違いました。
防衛が途切れた辺りから、打ち合いに望んで行くスタイルに変化してきたイメージがありますが、今回の試合でその選択は間違いではなかったと周りを黙らせるに十分な結果を残してくれたと思います。
この試合の興奮と感動を味わうことができる時代に生まれて良かったと思える程の勝利でした。