感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

妊婦と咳

2014-03-03 | 感染症
妊娠初期で半月以上つづく咳のため受診されました、前医呼吸器科では吸入ステロイドが処方されましたがあまりきかなかったとのこと。妊婦と咳嗽について諸文献をしらべました。やはり妊娠中喘息は結構あるようです。気管支拡張薬への応答性をみるのが大事。 必要性があれば胸部XP検査はためらわない。 あと下のまとめには触れませんでしたが、百日咳や結核の検討も重要ですね。


まとめ

・妊娠中の呼吸困難は、生理的でありうるが咳や喘鳴などの他の症状を伴う場合、それは、喘息に起因する可能性がある
・妊娠中の喘息の有病率は7%と比較的高いので、診察や気管支拡張薬への応答性(ベースラインと気管支拡張薬後のスパイロメトリー)をみて呼吸困難を評価するべき

・妊期間中の息切れは一般的(健康で正常妊娠の60%-75%に存在)なので、妊娠中の呼吸困難は多くで調査されていない可能性がある
・喘息の女性は健康な妊婦よりもアレルギー性鼻炎が有意に高い率(P = 0.04)

・生理学的呼吸困難は多くの場合、安静時または通話中に発生し活動にて改善するが、対照的に、身体診察、咳や喘鳴、運動後症状、および喘鳴など症状を伴う呼吸困難の存在は、喘息と一致している。

・妊娠中喘息の研究でかなり多くの喘息女性は少なくとも2回目以降の妊娠であった。 (中絶数はこれらで高くはなかった)。このことは増加した出産回数が、妊娠中の喘息のリスクを上昇させることを意味する。

・慢性咳嗽の症例で、 後鼻漏、喘息、胃食道逆流症、上気道感染症の後遺症、および好酸球性気管支炎 は 少なくとも90%の原因である。
・継続的な咳嗽評価では、胸部X線撮影が考慮される。妊娠中の胸部X線撮影は、放射線の胎児への影響は最小量で医学的に必要であれば許容される。
・妊娠中に電離放射線の受け入れられる累積線量は5 radであり、単回検査ではこの最大値を超えることはない。 (母親への2方向胸部X線にて胎児への曝露量は0.00007 rad)

・鎮咳薬、デキストロメトルファン(DM)(メジコン など)は、一般的にOTC(店頭の)風邪薬で見られる薬剤。 妊娠中のこれの使用に関してヒトの研究では、先天性欠損リスク増加との関連性を見つけることができなかった。 この薬剤を使用した第一妊娠期の別の調査では、ベースラインより上回る主要な奇形リスクの増加を記録した。
・キシロメタゾリン(点鼻)およびオキシメタゾリン(点鼻)も店頭利用可能である。 キシロメタゾリンは、局所使用後に全身性に吸収されるが全身性吸収の程度とそれは胎盤を通過するか否かは不明である。 これら薬剤でのヒト妊娠での調査では先天性欠損症の発生率の増加を示すことができなかった。
・ジフェンヒドラミン(ベナ、レスタミン)およびクロルフェニラミン(ポララミン)などの第一世代抗ヒスタミン薬は、眠気に関連付けされているが、ベースラインより上まわる奇形リスクを増大させることが見出されていない。
・グアイフェネシンは多くの風邪薬で見られる去痰剤であるが、主な奇形リスクの増加を報告されていない。
・妊婦に与えられたコデイン含有鎮咳剤は、新生児禁断症候群の原因として同定されている。コデインはモルヒネと同様の薬力学的効果を有するオピオイド。


参考文献
Int J Gynaecol Obstet. 2010 Nov;111(2):140-3.
Can Fam Physician. 2008 May;54(5):687-9.
Clin Pediatr (Phila). 2007 Sep;46(7):639-45.
N Engl J Med. 2007 Aug 2;357(5):489-94.
J Obstet Gynaecol. 2007 Feb;27(2):199-200.

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