感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

リウマチ性多発筋痛症の治療が難渋したらどうするか – その2

2015-05-13 | 免疫

前回のつづきです。

 

 

初期治療、ステロイド (プレドニゾロンとメチルプレドニゾロン)

 

・単発のリウマチ性多発筋痛症(PMR)例にプレドニゾン(PSL)の初期投与量は15~20 mg /日で、一般的に巨細胞性動脈炎(GCA)(いわゆる側頭動脈炎)例よりも低い [ N Engl J Med. 2014 Jul 3;371(1):50-7. ]

・少数の患者でPSLは最大20 mg/日を必要とするかもしれないが、実際にはPMR例のほとんどは15 mg/日のPSL投与量に反応する。

・より高いグルココルチコイド(GC)開始用量はGCAが疑われる患者でのみ開始されるべきである。

・0%-13%患者はまだ症状を制御するために、15mg/dよりもより高い初期用量を必要とし得る。

・単発のPMRを持つ少数の患者では30mg/dの漸増的な投与量付加が必要。

・HunderらはPSL15mgから開始した1週間後に症状がよく制御されていない場合は、5mgの用量増量を勧めている。そして20mg用量で1週間後に寛解にならない場合はすべての例で併存したsubclinical or silent GCAや別の疾患が考慮されるべきとしている。(Treatment of polymyalgia rheumatica. UpToDate

・1週間、PSL 30 mg/dでも改善がないことは、医師に診断の疑問を警告する必要がある。

 

・PMRには普遍的に受け入れられている治療計画はない

・BSR and BHPR のPMR診療ガイドラインでは、最初3週間はPSL15mg/日(またはそれに相当)で、その後3週間は12.5mg、その後4-6週間は10mg、そしてその後の4-8週間ごと1mgずつ漸減によって再燃せず提供使用できることを示唆している [Rheumatology (Oxford). 2010 Jan;49(1):186-90. ]

・初期投与量は、通常、2〜4週間維持される。 続いて、10mg/dになるまでPSLは2-4週毎に2.5mg減少させることが推奨。その次にPSLは1mgごとに1か月ごとに漸減していく [Arch Intern Med. 2009 Nov 9;169(20):1839-50.]

・(GC関連合併症のリスクとなる)複数の併存疾患を有し軽症の患者では、そのリスクを低減するため 120mgの3-4週間毎の初回投与量で筋注メチルプレドニゾロンを用い、 続いて2-3ヶ月ごとに20mgで漸減して使用することができる[Rheumatology (Oxford). 2010 Jan;49(1):186-90. ]

 

・二重盲検では、対照試験の筋注メチルプレドニゾロン(mPSL)は、同様の寛解率に関連付けられているが、より低い累積GC用量と経口プレドニゾンよりも少ないGC関連有害事象を意味した[Br J Rheumatol. 1998 Feb;37(2):189-95.]

・GLsの非常に高用量のみに反応する患者の割合は定まっていない、そして患者の一部はPSLよりmPSLへよく反応するように見え、またはその逆もある。

・Viapianaらは52名のPMRの患者は、固定されたPSL用量(25mg/d)またはmPSL(20mg/d)にランダム化された(比1:1)。PMRの臨床的および生化学的寛解がmPSL治療患者の100%において、およびPSL治療患者の89%で観察された。投与開始後に完全寛解達成するまでの平均時間はmPSL群に比べて(15.2日)、PSL群にて有意により長い(20.3日間)(p<0.05)。[Rheumatol Int. 2014 Aug 23.]

・PSLがmPSLと差異があるのは、活性であるために11β-HSD1型による水酸化を必要とするところで、 この酵素は、多様な遺伝子発現があるかもしれない。または それは炎症状態において過剰発現され得る。

・11β-HSD1遺伝子およびヘキソース6リン酸デヒドロゲナーゼ(11β-HSD1に還元当量を供給する補酵素)をコードする遺伝子内の多型は、それぞれ、3及び4%の人口の有病率に記載されている

・PMRから影響を受けた患者がPSL治療に対する不完全な応答や無応答がある場合に臨床診療ではPSLで長く治療する、またはその代わりmPSLに切り替えることを検討することができる。

 

 

次回に続く

 

 


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